共和党の第5弾新型コロナウイルス対策法案/失業給付上乗せ600$は終了予定

5月に、民主党は3兆ドル規模の第5弾コロナウイルス対策法案を作成し、下院でThe HEROs ACTを通過させた。共和党は”Dead On Alive”としていたが、この法案を審議にさえ取り上げなかった。マコネル上院院内総務は、宣言した通り、7/20~8/7の会期中に第5弾コロナウイルス対策法案を作成して通過したいとしている。

マコネル上院院内総務は、13日(月)に、ムニューシン財務長官と次の 型コロナウイルス対策法案を協議していることを明らかにした。(TheHillの報道

肝心なのは財政支出規模と中身だ。

PoliticoとHillによると、共和党案およびトランプ政権との合意がとれているのは1兆ドルの財政支出。主な内容としては以下の通りが見込まれている。

〇学校を再開させるための財政支援(最優先事項の一つ)
〇給与保護プログラム(PPP)は対象企業を限定して継続する意向
△州政府・地方政府への財政支援
△年収4万ドル以下への現金給付(前回同様1200$くらい)は可能性あり
△失業保険給付が失業前給与100%を上限として何らかの形で継続可能性あり
✖PUA( Pandemic Unemployment Assistance )は終了。
✖州政府が展開する失業保険給付の600$/weekは7月末で終了

トランプ大統領が主張している給与税減税については、メディケアや社会保障の財源となっているので民主党は猛反発。共和党も冷ややかな対応。

参照記事
https://www.politico.com/news/2020/07/15/coronavirus-relief-showdown-congress-364173
https://thehill.com/policy/healthcare/507370-gop-coronavirus-proposal-takes-shape#.XxDw84eyBSk.twitter
https://www.bloomberg.com/news/articles/2020-07-16/white-house-says-stimulus-bill-must-include-payroll-tax-cut?srnd=politics-vp&sref=lw8NgS9l


実体経済への影響

まずは、現金給付について。
前回は、8~9割の世帯が1人1200$給付を受けたが、今度は4万ドル以下の収入となると最大40%世帯が受給することになりそうだ。商務省が発表している2019年職業別年収統計をみると、ファストフード店員、スーパーのレジは年収25000ドル、トラック運転手で4万ドル以下みたいな人達が対象になりそうなことがわかる。彼らは、労働時間を減少したり、週ごとに雇用されたり、非雇用になったりしていた可能性が極めて高い。そのため、1200$1回給付を受けるだけでも、連邦政府による失業保険2週分に該当するので貴重な給付となる。

https://www.statista.com/statistics/203183/percentage-distribution-of-household-income-in-the-us/

なんといっても、 PUA( Pandemic Unemployment Assistance )と、州政府が展開する失業保険給付の600$/weekは7月末で終了するのは個人消費にかなり響くことになる。

この連邦政府による失業給付上乗せ600$/週は、労働時間を減らされて給与が減ることで州政府失業給付保険の対象になればもらえる。
また、雇用主によっては、失業給付をもらった方が従業員にとっていいと判断したケースもあるようだ。その場合、週ごと、あるいは隔週で雇用と失業を繰り返していて失業給付を受けていることになる。雇用主が給与保護プログラム(PPP)でローンを受けていた場合でも、従業員を呼び戻して給与を提供するのも返済免除の対象となる。

JPモルガンチェースの調査では、受給者も、最初は支出を減らしていたのに、給付を受け始めたら支出が通常月よりも増加してしまったことを報告した。
しかし、6月末からカード支出は減り始めているようだ。

“Although average spending fell for all households as the economy shut down at the start of the pandemic, we find that unemployed households actually increasedtheir spending beyond pre-unemployment levels once they began receiving benefits,” JPMorgan Chase wrote. “The fact that spending by benefit recipients rose during the pandemic instead of falling, like in normal times, suggests that the $600 supplement has helped households.”

https://thehill.com/policy/finance/economy/507695-enhanced-benefits-helped-boost-spending-by-those-unemployed-in-the#.XxDu8zLoXmg.twitter

連邦政府による失業給付600$/weekがなければ、州政府が提供している失業保険給付だけになる。州によっても、失業前の給与によっても給付額は異なるが、平均は330$/weekくらいだ。つまり、1000$/weekもらっていたのが、いきなり3分の1になる。しかも、最大給付期間は26週以内が大半だ。仮に4月第一週から失業していた場合は、9月末で支給が途絶えるはずだ。
パンデミックが広がっているフロリダは給付上限期間が12週(3か月!)だが、7月末以降、どうなるんだろうか。フロリダ州は、現段階では、立ち退き禁止期間が8/1で終了し、失業給付金上乗せ終了と重なるのでかなり厳しい現実に直面するかもしれない。