給与保護プラグラムPPPで2回目の融資が申し込めるようになる動き。

給与保護プログラム改正法(Paycheck Protection Program flexibility Act) が6/4に両院で可決した。その時点でまだ1400億ドルほど予算が残っていたが、2週間経過して、本日時点でもまだ1300億ドルも残っているようだ。
結局のところ、ニーズと合致していなかったし、融資返済条件である給与以外の使用(家賃・備品)が40%に上昇したところで、小規模事業者にとっては魅力的ではなかったということだろう。

パンデミックが長引くにつれて、もう一点、課題が浮き彫りになってきた。それはこの給与保護プログラム(Paycheck Protection Program) 申込が1法人1回限りになっていることだ。
ローン可能額は、 給与保護プログラム改正法で結局変更がなかったようで、従業員給与総額の月額平均の2.5倍(最大1,000万ドル) だ。
なので、従業員給与に減額がないという条件ならば、従業員給与2.5か月分と考えられる。
パンデミックが起こった3月中旬からすでに3か月が経過していて、 PPPの第一回目の申し込みは4/3、第二弾は4/27開始だった。多くの中小企業は5月中旬までにPPPの融資を受領しているようなので、このままだと、7月後半~8月にかけて融資を使い切るため、支払いが苦しくなっていることが予測される。再度、レイオフの増加がここからはじまるのかもしれない。
当初の融資返済免除ルールを守って融資額の75%を給与に支給して、家賃などのに全く使用していなかったとしても、3か月目には給与に割り当てられるのが今までの半分になることが考えられる。

という問題点が浮き彫りになってきたこともあり、超党派で二回目を申し込めるように動いているようだ。100人以下の従業員で収入が半分になった企業限定など、制限する動きもあるようで、まだどういった企業が二回目対象になるかは明らかになっていないようだ。
特に、サービス業、レストラン業は、苦しんでいる状況だ。レストラン業界は特に苦しんでいて、全米レストラン協会によると全体の3%が閉店ということになり、まだまだ閉店が出てくるとのことだ。

Bipartisan support is growing to let businesses apply for second Paycheck Protection Program loans, recognizing that the restaurant and hospitality industries will struggle to bounce back even as social distancing measures are eased.
Restaurants have been particularly hard hit, with about 3 percent having already closed permanently and the full tally expected to be in the tens of thousands, according to the National Restaurant Association.

https://www.politico.com/news/2020/06/18/debate-small-business-loan-program-ends-329187

一方で、レストラン業界だけの救済を目的とした法案も超党派で提出された。
非上場企業で150万ドル以下の収益であるレストラン(フランチャイジーも含めて)に対しての助成金だ。予算は1200億ドル。この助成金では、給与だけでなく、食材費、家賃、備品などいろいろなものに使用できる。

Sen. Roger Wicker (R-Miss.) and Rep. Earl Blumenauer (D-Ore.) introduced legislation on Thursday to establish a $120 billon fund for independent food service or drinking establishments devastated from the coronavirus pandemic.
The bill, dubbed the Real Economic Support that Acknowledges Unique Restaurant Assistance Needed to Survive Act, or Restaurant Act, would provide grants to restaurants that are not publicly traded and have $1.5 million or less in revenue under normal circumstances.

https://thehill.com/business-a-lobbying/business-a-lobbying/503389-bipartisan-bill-introduced-to-provide-120b-in-relief

尚、全米レストラン業界によると、レストラン産業は、2018年実績で8330億ドルの規模で1500万人の雇用を生み出している。

https://restaurant.org/downloads/pdfs/research/restaurant2030.pdf

最後になるが、POLITICOによると、全米経済研究所の調べでは、2月から4月までで中小企業経営者は22%も減少したようだ。特に、レストラン、ホテル、建設、輸送関連の企業が大幅な減少に直面している。人種別では、アフリカ系アメリカ人の経営者が41%減少し、 Latinx businesses (ヒスパニック系ビジネス?)も32%減少したとのことだ。

According to an analysis published by the National Bureau of Economic Research, the number of working business owners — including small business owners — fell by 22 percent from February to April, in the largest drop on record. Restaurants, hotels, construction and transportation companies faced large declines. The damage was even worse for African American employers, which experienced a 41 percent drop, and Latinx businesses, which fell 32 percent.

https://www.politico.com/news/2020/06/18/debate-small-business-loan-program-ends-329187

さて、現時点では、連邦政府による失業給付600ドル/週上乗せが7月末で終了予定だ。仕事に戻るよりも、失業しているほうが給付を多くもらえるから労働意欲を欠いているという議論もでているので、延長される可能性は低いように思われる。共和党議員が、仕事に戻った人には、連邦政府から一時支給のボーナスを出すという法案まで検討するほど、とにかく失業者数を減らして雇用を戻したいと考えている。

しかしながら、失業者に対して就業復帰させる仕掛けとともに、これ以上失業者を出さないような仕掛けを同時にしなければならない。カラダがあちこち傷んでいるのに、止血しながら、リハビリを進めるようで、お金が潤沢にあったとしても難しい舵取りをしているのだろう。

始末が悪いことに、先週以降で人口が多いカリフォルニア州、フロリダ州、テキサス州、アリゾナ州で感染者が過去最高を記録している。この状況では、まだ失業者数が増えることが予測されるが、すでにPPPを受領している企業にとっては今月いっぱいは従業員給与を支払えるだろうが、来月後半から苦しくなってくることが予測される。

https://www.washingtonpost.com/graphics/2020/national/coronavirus-us-cases-deaths/?itid=hp_hp-banner-low_web-gfx-death-tracker-duplicate%3Ahomepage%2Fstory-ans