トランプ大統領2020年再選の可能性はいまだ高い

先週、NYタイムスもCNBCも全米有権者による調査で、トランプ大統領が2020年大統領にふさわしいと回答したのは4割に満たなかった。
特にNYタイムスは、スウィング州かつトランプ大統領が勝利した州の調査結果を公表した。なんと、まさかの結果でこれらの州ですべてバイデン大統領候補がリードしているという結果がでたのである。この結果に、メディアは飛びついて、こぞってトランプ大統領はもう負けたといったような記事を書いた。

https://www.nytimes.com/2020/06/25/upshot/poll-2020-biden-battlegrounds.html

選挙人数を考えるとウィスコンシン州(10)、アリゾナ州(11)、ノースカロライナ州(15)、ミシガン州(16)などは敗退してもまあいい。選挙人数からいえば、フロリダ州(29)、ペンシルバニア州(20)はぜったいに落としたくな州だ。大統領選挙は、勝利した方が選挙人を総取りできる仕組みなので、選挙人が多い州を獲得したいわけである。

一方で、トランプ大統領が有利である側面はあまり報道されていない。
2016年大統領選挙勝利に導いた福音派からのトランプ支持はほぼ落ちていないようだ。これは重要な側面である。

しかしながら、これらのスウィング州における福音派比率は、ノースカロライナ州を除くと全米平均 25.4%を下回る州でもあり、影響力が大きいとは言い難いのである。テネシー州、ケンタッキー州などは福音派が50%を占めるのでとても大きな勢力であり、共和党岩盤の地でもあるのだ。(それでも、この2つの州は、クリントン大統領の時は民主党が勝利している州なのであるが)
※参照元は、Pew Reserch Center

ミシガン州      25%
ウィスコンシン州    22%
ペンシルベニア州   19%
フロリダ州  24%
アリゾナ州      26%
ノースカロライナ州  35%

また、Black Lives Matterの影響がある状況なので、スゥイング州の人種比率というのを確かめる必要がある。ノースカロライナ州を除けば、アフリカ系アメリカ人の比率は少ないので大きな影響はないだろう。また、アリゾナ州、フロリダ州はヒスパニック州も多い州だが、ヒスパニック系の投票率は最も低い。

          White / African-American
ミシガン州      78.95% / 14.17%
ウィスコンシン州   86.20% / 6.32%
ペンシルベニア州   81.92% / 10.85%
フロリダ州  75.04% / 15.96%
アリゾナ州      73.01% / 4.05%
ノースカロライナ州  68.47% / 21.48%


トランプ大統領は、確かに2016年当選時、2019年よりは支持率が落ちているものの、いまだに白人男性には指示があることは留意しなくてはいけない。
それにしても、アフリカ系アメリカ人、ヒスパニック、白人大卒、女性全般の民主党支持の強さもちょっと異常に感じるし、白人男性、特に非大卒のトランプ支持はさらに異常にも感じる。
全米平均では学位をもつ人は30%ていどのようだが、残念ながら上記にあげたスウィング州は全米平均を上回ってはいないようだ。

白人男性の支持率が急落しない限り、まだまだトランプ大統領当選は濃厚ではないのかと思われる。


最後に、資金集めについても触れておく必要がある。
バイデン大統領が5月、6月はトランプ陣営を上回ったというニュースがでてバイデン陣営が有利な側面がでてきているが、トランプ氏陣営の手元資金が2億9500万ドルを超えている。資金面ではバイデン氏陣営が依然として不利な状況と考えられている。

資金集めも重要なことは間違いないんだが、トランプ大統領は2016年に集金力、投入資金ともに劣勢だったのに、初めて勝利したケースだ。しかも、2倍近くの差があったにも関わらず、当選しているのだ。

集金力
トランプ陣営 6億4000万ドル
クリントン陣営11億9000万ドル、

実際に投入した資金
トランプ陣営 6億1000万ドル
クリントン陣営11億8000万ドル