4/4-4/9の米議会/来週から休会、今月は採決が進まなそうな1週間

今週は、上下院ともに本議会を開催する。今週を終えると、4/11からの上下院ともに2週間休会となりワシントンを離れて地元での選挙活動が待っている。 4/17のEasterはクリスチャンにとって重要な復活祭となりますね。

上院議会は月曜日に上院司法委員会での最高裁判事候補カタンジ氏の承認採決が実施予定で、その後は今週の休会に入るまでに上院での承認をおえたい意向ですね。まぁそれを各州に持ち帰って選挙演説したいのでしょう。

https://www.majorityleader.gov/calendar

米議会、注目議案の進捗

先週は、下院議会がインシュリンの自己負担上限設定する法案を可決するやら、今度はレストラン支援$420億、特に打撃をうけた中小企業向け支援$130億の法案が提出される見込み(引用元:The Hill)やらで、中間選挙を控えたアピール法案が激しいなぁと感じております。
いずれも財政調整法案に入れて採決しない限り、上院議会で可決は無理なので今はさらっと流すようにしております。そして上院議会は、今週はカタンジ最高裁判事候補承認が主な議題なので、以下の法案もどこまで進むかは不明。

①バイデン政権が求めている$325億のコロナ対策費

今のところ、$100億に減額して進めているようで、ワクチンを含む治療薬への資金は$50億になるみこみ。下院民主党から反発くらっていますが、州や地方政府への振り分け資金が今回はなくなりそう。合意したというが、これも今週採決できるのかまだ不明(引用元:The Hill

  America COMPETES Actと The U.S. Innovation and Competition Act の進捗

上下院それぞれで可決している相違点を解消するために、上下両院の会議委員会の設立に向けた第一歩を踏み出した(引用元:nbcnews.com)とのことだけど、音沙汰がない。どうやら7月までに可決させたい意向なので、まだ時間がかかるだろう。もともとは、 2021年6月に上院は半導体産業に$520億、技術革新への支援なども含む「The U.S. Innovation and Competition Act」に総額 $約2500億を可決していた法案に対して、2022年2月に「America COMPETES Act」として気候変動対策なども含めて可決してしまったので調整が必要になっている。

また、外国企業説明責任法(HFCAA)に基づく措置 で上場廃止を3年から2年に短縮するかどうかにも注目しておきたい(引用元:The Forbes
下院はこれが盛り込まれているが、 上院の法案では含まれていないので協議はこれからとなる。先週もバイドゥが上場廃止警告リストに含まれたことが発表された(引用元:Bloomberg
中国企業約200社の上場廃止の回避に向けた合意が間近になっているとの観測も出ていたけど、どう考えても中国が従わない限り厳しいと思うんだけどなぁ。「 米国内市場での取引継続が認められるのは、これら企業が米国の監査を完全に順守する場合のみ」というのは 外国企業説明責任法で立法されてしまっているからSECが判断するとかいう問題ではないとは思う。中国側も一部の企業の監査書類を検査できるように交渉してるみたいだけど、ゲンスラーSEC委員長も 外国企業説明責任法(HFCAA)の下ではunworkableだってはっきり回答していると思うわけです(引用元:Bloomberg

③  マリファナ合法化(刑事罰の廃止)法案

下院は先週可決しましたが、上院では難航しそうですね(引用:The Hill)
下院では、 220-204で党派的な投票になり、共和党は大多数が反対したが3名のみ賛成、民主党は2名のみ反対となった。

シューマー上院院内総務は、マリファナ合法化法案については優先アジェンダだと発言していて4月にも採決にかける勢いであることは確か。民主党の公約でもあるので、選挙前に実現しなくてはいけない政策だ。
問題は60票を超えるかどうかなのだが、どうも上院民主党議員2名は懐疑的なのですでに厳しくなっている。共和党マコネル上院少数党院内総務が賛同すれば共和党も見込めそうだが、なにせ今回の法案の一部である「過去のマリファナ刑事罰を抹消する」がかなり共和党から反対されているので厳しいかもしれない。

また、マコネル上院院内総務の選出州であるケンタッキー州が、医療用マリファナ合法化でさえ州議会で今年は立法できなくなったので、たぶん無理だろうなぁ。上院議員は州の代表なので、州議会と足並みそろわないようなことは基本的にはないと思われる(引用元: WKYT

あと、合法化するだけでなく、銀行融資の罰則禁止やクレジットカード支払いの承認も進めないと普及は難しいね。VOXによると、現行法では、連邦政府の訴追を懸念して、VisaやMastercardを含むほとんどの大手金融機関がマリファナビジネスとの取引を拒否している状況。従来の銀行サービスが利用できないため、大麻販売店は現金のみの営業を余儀なくされ、盗難、詐欺、暴力犯罪に特に遭いやすいようだ。なお、この問題を回避する法案(SAFE(Safe and Fair Enforcement)銀行法)は、なぜかすでに下院で可決したAmerica COMPETES Actに盛り込まれている…

なお、共和党がぜったいに大麻反対かというとそうでもない。医療用大麻なら南部州でも合法化されているし、レクリエーション用であってもAK州、SD州、MT州などのファーイーストエリアでも合法化されている。ただ、最優先順位ではないのだ。おそらく、そこがまた共和党と民主党で調整が難しい理由でもある。

  ロシアとベラルーシに対する最恵国待遇を撤回する法案/ロシア産原油禁止法案

ランド・ポール共和党上院議員が、人権関連の制裁に関連する文言を法案に追加することを要求しているため全会一致での採決が阻まれていたわけだが、やっと協定が結ばれたようだ。
ただし、上院可決後に、下院でも再採決が必要となるので今週は難しくなるだろうと予測されている (引用元:The Hill

11月の中間選挙に向けた動き

さて、中間選挙が11月に控えているのだが、選挙区割りがまだ決まっていない週がいくつかある。10年に1度の国政選挙にあわせて、選挙区割りも変更する決まりになっていて、コロナ禍の影響で国勢調査発表も遅れてしまい、そのため選挙区割りもさらにずれこんでしまったのだ。
で、選挙まであと6ヵ月ちょっとしかないのに、まだ決まっていないのはコロナ禍だったからだけではない。基本的には各州議会や党派に中立な選挙区割り委員会などが各州の法律に決められたように制定する。しかしながら、それでは終わらない。これは、州議会を制覇できない民主党の選挙対策なのでもある。一方で、民主党よりも多く州議会をおさえている共和党については、州議会でやりたい放題できるのも事実だ。こうやって自分達に有利なように選挙区割りをつくってしまうことを「ゲリマンダリング」という。もちろん、中立的な選挙区割り委員会をしているところもあるが、そうではないところも多い。

で、その訴訟をしきっているのが、民主党弁護士マーク・エリアスね。定期的にどの州を訴えているかこうやってツイートしています。特に問題が大票田のフロリダなんですよね。まだ決まってない。

そういうわけなので、特に下院選挙なんかは、ゲリマンダ次第で、選挙する前から区割りでだいたいどちらが勝つか決まってしまうわけですよ。現時点では、前の選挙区割りよりも民主党が有利になっていますが、あとはフロリダ次第かなぁ。

https://projects.fivethirtyeight.com/redistricting-2022-maps/?cid=rrpromo

あと、民主党も分裂しているんですが、共和党もトランプ元大統領の扱いというか、プーチンへのコメントに対する対処というか、ここも見解が分かれているので対処に苦労しそうですね(引用元:The Hill)。上院再選挙にあたる議員をトランプ元大統領が支持するかでも変わってくるし、そのあたりがちらほらでてきています。