マコネル上院院内総務は年内にコロナ追加対策予算を可決させたい見込み/何倍もの資金調達したのに負けた民主党上院選

あれだけ上院も民主党が多数党になるんだと書いていたメディアでさえ
米上院選、共和党が多数派維持の見通し」が多数になってきましたね。
共和党は既に48議席とれていて、残っているのは赤い州ですし、大半では共和党がリードしているから少なくとも51議席、52議席の着地ではないでしょうか。
NC州は郵便投票到着を12日まで待つはずですが、得票差が10万票なので逆転がないことはないですね。ジョージア州は残り15万票くらいの集計ですが、得票差がそのくらいついているので既にリードしている共和党現職議員が勝利かな。また、ジョージア州1議席は1月に決選投票となりましたが、共和党で決まりでしょう。あとは、真っ赤な州のアラスカ州で共和党が勝てないわけがないでしょ。

東部標準時間午前の段階では、The Hillによるとマコネル上院院内総務は勝利宣言を避けたようです。まだこの発言の段階では、メイン州も獲得できていなかったですしね。

今年の上院議会はレームダック会期にはならなそう

マコネル上院院内総務は無事にケンタッキー州上院選で圧勝したこともあり、11月からはじまる会期に向けて動いております。何度か書いていますが、今回当選した議員は2021年1月4日からはじまる新会期からです。年内は落選した議員も参加して審議しますので、例年では新しい審議はあまり進まずレームダック会期とも呼ばれます。

さて、マコネル上院院内総務から意外な発言がでたのですが、コロナ追加対策予算の審議と、つなぎ予算となってて12/11に期限切れを迎える2021年度予算を年内に可決させたい意向を示しました。マコネル継続予算決議(CR)で来期に審議すると思いきや、

Senate Majority Leader Mitch McConnell (R-Ky.) said Wednesday that he wants a deal on a fifth coronavirus relief bill by the end of the year as coronavirus cases are spiking across the country.
McConnell, speaking to reporters in Kentucky, outlined a busy end-of-year agenda that will include attempts to get another stimulus deal, a large spending deal by the Dec. 11 deadline to fund the government and more judges confirmed — a top priority for the GOP leader.

引用元:The Hill

何度も民主党にクローチャーで阻止された5000億ドル規模の共和党案のコロナ追加予算ですが、再度、審議にかけたいようですね。過半数で承認されるように委員会を経由した法案に再度やり直すのかなあ。
また、注目ポイントは州や地方政府への助成金も視野に入っているようです。 “possibility.” っていう返答は微妙だけど、今までは「州も破産手続きをとるのが望ましい」とかいう発言に比べれば和らいだので期待はできるのかもしれない。

McConnell instead put legislation on the Senate floor that would have provided about $500 billion in additional aid. Democrats blocked that bill from advancing past a procedural vote.
Additional aid for state and local governments is one of the areas where Democrats and Republicans have yet to agree. But McConnell said Wednesday that more funding for state and local governments is a “possibility.”

引用元:Roll Call

「小さな政府」が共和党と覚えている方も多いと思いますが、今の共和党議員をみているとそれを掲げているのは少数です。共和党もだいぶ変わってきたということです。マコネル上院院内総務自身は1兆ドルこえる財政支援も容認派だと思いますよ。
一方で、ティー・パーティー団体に指示されている議員は「小さな政府」を支持してます。ランド・ポール上院議員はびた一文追加財政は必要なし!と主張を曲げないし、テッド・クルーズ上院議員、ジョシュ・ホーリー上院議員あたりは5000億ドルで妥協したけどそれ以上は無理でしょう。

あと、忘れてはいけないのは11/17(まだスケジュールには入ってないので予定)、上院司法委員会公聴会でまたFacebook、GoogleCEOが召喚受けることですね。

何倍もの資金調達をしても負けた民主党上院選

まだ選挙が続いているので、資金調達と選挙結果の記事があまり見かけないのですが、やっと少しづつ書かれてきましたね。民主党は今年多額の資金を投下したにも関わらず、上院選で多数党をとれなかったのです。これは大敗退です。

Congressional races saw record-shattering fundraising numbers this year, with Democrats pouring money into candidates challenging Republican incumbents.
Why it matters: Democrats heavily invested in these contenders with the hope of flipping the Senate. The races brought in an outpouring of small-dollar donations.

引用元:AXOIS

2020年の上院選では、候補者の資金調達額が過去最高値に達した州がいくつかあります。サウスカロライナ州、アイオワ州、ノースカロライナ州などです。
サウスカロライナ州では共和党グラム議員を倒すために、1億ドルの資金調達がありました。また、メイン州では約7000万ドルなど。
詳しいことは最後に過去のブログをリンクさせますが、まあ2~4倍の資金調達を行い、多額のキャッシュを確保していたわけです。
更に、シューマー上院少数党院内総務のPACや、各候補者への少額献金などが集中し、明らかに共和党が危うい議席の州を狙っていたんですよね。

資金調達では圧倒的に現職を上回ったのに、それでも民主党立候補者たちが負けたってすごいことだと思うんですよ。

私は「 より多く資金調達できた候補者が勝つ」という法則をふまえつつ、世論調査、各州の独自の事情をふまえて分析していました。
メイン州でコリンズ議員が勝利したのは完全に予測を外しましたけどねw

トランプ大統領が2016年に当選するまでは、より多く資金調達できた候補者が勝つものだったのです。ところが、2016年にそれを覆したのがトランプ大統領ですね。2016年ヒラリー陣営+民主党14億ドルに対して9.5億ドルだったわけです。さらに、2018年、現職テッド・クルーズ共和党議員に対抗して出馬したベト・オルーク民主党立候補者は、テッド・クルーズ議員の2倍の資金調達を行い、非常に話題になりました。世論調査では接戦でクルーズ議員がわずかにリードでしたが、選挙結果としてはテッド・クルーズ議員の圧勝でしたね。

直近2つの事例をふまえ、「 より多く資金調達できた候補者が勝つ 」という法則は崩れているのか、まだ有効なのか非常に気になっていたわけですが、2020年上院選でかなり明確になったかと思います。

まあキャンペーン内容が悪かったとか、キャンペーン広告が悪かったとか、コロナだったとか色々あるのは確かですが、 「 より多く資金調達しても、勝てない 」ということを米民主党は絶望感とともに思い知ったと邪推しています。


さて、もう私の中で上院選はほぼ終了(共和党勝利でしょ)して、もう目線は2022年に向いています。2022年も共和党は20議席が再選挙になり、民主党は12議席です。共和党は2020年は2014年初当選で2期目を争う議員が多くてかなり苦しかったはずですが、2022年は2期目議員が3期目を争うケースが多く、今年よりは楽なはずです。ただし、PA州のトゥーミー議員は引退宣言は再選挙ではなく引退宣言してます。PA州はスゥイング州ですし、その空席を埋められるほどの候補者を見つけられるかに共和党は苦労するとは思います。

米民主党は2022年に多数党をとれないと、2024年以降の8年は上院多数党になるのはかなり厳しいと思います。再選の人数が逆転するからです。かなり厳しいと思いますよ。

https://www.270towin.com/2020-senate-election/

また、「資金投下すれば勝てる」と考えていた民主党シューマー院内少数党総務はもう指導部から外れないと、アウトでしょう。あれだけ共和党案のコロナ追加予算を邪魔したのに結果がこれだからお粗末だと思いますよ。
彼が居座ると選挙手法もまた同じようにやりそうなので2022年も米民主党にとっては絶望的になりそうな予感がしています。

余談ですがAOC下院議員(NY州選出)は「ずっと下院議員に居座るつもりはない」みたいな発言をしたことで上院選に出馬するのではないかという報道がでています。シューマー院内少数党総務はNY州選出なので、シューマーvsAOCという何とも面白い戦いが2022年待っているかもしれない!
これって「ウォール街とずぶずぶの民主党議員 vs 財政出動で大きな政府の民主党議員」の内戦で非常に面白いです。

あ、この4人組”Squad”はまた下院再選ですって。米民主党の内部崩壊が着々と近づいているようにもみえます。


過去ブログでいかに民主党候補者の資金調達が莫大だったかを書いてますのでご参考までに。