米上院議員選挙①NC州とAZ州/2014年~2018年の上院議員選挙振り返り

極めて接戦になっている州は、ノースカロライナ州、アイオワ州、アリゾナ州、メイン州だ。コロラド州は共和党は議席を失い、アラバマ州では民主党は議席を失うだろう。なので、ノースカロライナ州、アイオワ州、アリゾナ州、メイン州はトス・アップでありこの4議席で共和党、民主党のどちらが多数党になるか、あるいは50vs50になるかが決まるだろう。

①ノースカロライナ州

ノースカロライナ州では、カニングハム民主党候補者の女性スキャンダルがでたにも関わらず、カニングハムがリードしている。調査では、カニングハム上院議員候補者が圧勝のようだ。 カニングハム上院議員は、元州議会上院議員&陸軍にも従事した経験あり。

トム・ティリス議員は、共和党議員には珍しく、ゴールドマン・サックス、ブラックストーン、ウェルズ・ファーゴといったウォール街から献金を受けている議員だ。

一方で、カニングハム民主党上院議員候補者は、デューク大学・ノースカロライナ大学などからの献金がある。デモクラシー・エンジン(PAC)は民主党上院議員候補者で接戦州に多額の資金を振り向けている。2020年8月末までに2200万ドルもの資金を集めているね。

トム・ティルス上院議員といえば、 2014年上院選挙でケンブリッジ・アナリティカ を利用したことでも有名だ。2014年~2015年までに「マイクロターゲティング」に34.5万ドルを費やし、当時としては史上最も高額な資金を費やしている上院議員選挙になった。2020年も引き続き、もっともお金がかかっている上院議員選挙になっている。これもあって、2014年に民主党の現職ケイ・ヘイガンを打ち負かすできたことができたとも言われている。

ケンブリッジ・アナリティカの影響なのか2014年の調査では、 民主党候補のKay Haganが調査ではリードしていたのに、結局は、共和党のトム・ティルス上院議員が勝利している。

尚、ノースカロライナ州の連邦上院議員は、1900年頃から1970年頃まではずっと民主党議員から選出されていた。それを打ち破ったのが故ジェシー・ヘルムズ上院議員であり、 30年ちかく上院議員を経験した。彼が引退してからは、民主党議員が当選したこともあったが、2名とも民主党議員になったことは1970年以来ないのだ。そういった経緯をふまえても、基本的には共和党が選出されやすい州なのであろう。

一方で、州知事は1905年以降で共和党知事になった人は3名しかいなくて、2020年は州知事選挙も並行しているけど現職の民主党州知事が当選確実みたいね。

②アリゾナ州

アリゾナ州も民主党候補者で元宇宙飛行士のマーク・ケリー候補が圧倒的なリードとなっている。マーク・ケリーの妻は、ガブリエル・ギフォーズ元下院議員。銃規制を熱心に唱えていた彼女だが、銃規制反対派から頭部を撃たれて一時重体になったが復活して2020年の民主党大会にもビデオメッセージ出した。ちなみに夫妻ともにユダヤ系。

献金額は圧倒的にマーク・ケリー民主党候補がリード。デモクラシー・エンジン以外にも大学からの献金が大きいね。マクサリー候補の献金上位と桁が違う…

アリゾナ州は、30年ほど上院議員をつとめた故ジョン・マケイン共和党議員のイメージが強いが、上院議員を連邦議会に送り出せるようになってから民主党と共和党議員が1人ずつ選出していることが多かった。
それを打ち破ったのがJon Kyl共和党議員で、しばらくは共和党支配が続いたが、2018年のKyrsten Sinema民主党議員の当選でアリゾナ州から20年ぶりに民主党が議席を獲得した。
ちなみに、2018年のアリゾナ州上院議会選挙ではマクサリー現上院議員が調査ではリードしていたにも関わらず負けた。元空軍で女性パイロットのマクサリーだけど選挙が弱い印象。


選挙調査の信頼性についていろいろ思うことがあるので、結果としてどうだったかをおさえておきたい。2018年、2016年の上院選挙をみてみることにする。

2018年上院選挙振り返り

引用元:RCP

2018年上院選挙のトス・アップ8名だった人達の結果でいくと、1名は調査上も平均が同じだったので除外すると7名の予測のうち、4名は予測通りだけど3名は予測を外した。

トスアップとなっている州のみ
州名/ リードしている候補者とリードポイント/結果
・Arizona  McSally(R) +1.0 →  Sinema (D) 勝利
・Florida  Nelson(D) +2.4 → Rick Scott (R)勝利
・Indiana  Donnelly(D) +0.7 → Mike Braun (R) 勝利
・Missouri Josh Hawley (R) +0.6  → 予測通り
・Montana Tester (D) +3.3      → 予測通り
・West Virginia  Manchin +5.0  →予測通り
・Tennessee     Blackburn +5.2   →予測通り
・Nevada   Tie   →  Jacky Rosen (D) 勝利

調査よりも、赤い州か青い州か、あるいはスゥイング州かをベースに考えて、あとは州議会・州知事はどちらがコントロールしているかで判断したほうがわかりやすいのではないか…と思う気もします。

2016年上院選挙振り返り

引用元:RCP

2016年上院選挙のトス・アップ8名だった人達の結果でいくと、3名は予測を外してるね。スウィング州以外は、やっぱり赤い州か青い州で判断したほうが当たっているのでは…。

トスアップとなっている州のみ
州名/候補者リードポイント/結果
・Pennsylvania  /McGinty(D) +2.0 → Pat Toomey (R )
・Indiana    /Young(P) +0.7 → 予測通り
・Wisconsin  /Feingold (D) +2.7 →  Ron Johnson (R)
・Missouri   /Blunt(R) +1.3  → 予測通り
・Nevada     /Cortez Masto (D) +1.8   → 予測通り
・New Hampshire/Ayotte (R) +1.5 → Maggie Hassan (D)
・lorida     /Rubio (R) +3.7   → 予測通り
・North Carolina/Burr (R) +2.0   → 予測通り

2014年上院選挙振り返り

引用元:RCP

トスアップとなっている州のみ
州名/候補者リードポイント/結果
・ North Carolina/ Hagan(D) +0.7 → Thom Tillis (R)
・New Hampshire/Shaheen (D) +0.8 →予測通り
・Iowa     /Ernst +2.3(R) →予測通り
・Kansas    /Greg Orman (I)+0.8 → Pat Roberts (R)
・Alaska     /Dan Sullivan (R)+2.4 →予測通り
・Colorado    / Cory Gardner (R) +2.5 →予測通り
・Georgia     / David Perdue (R)+3.0→予測通り

2014年については、8名のトス・アップ中、予測を外したのは2名。2016年、2018年と比較すると的中率は高かったのだね。やっぱり、赤い州か青い州かで単純に判断したほうが的中率が高い気もしないでもない。

それにしても、2014年、2016年、2018年と並べてみると予測を外した8名中6名が共和党議員の方って、たまたまなんですかねぇ。

では、2020年上院選挙

2020年でトスアップとされているのは7名。

引用元:RCP

現状の調査でいくと、民主党51議席 共和党49議席になる。

・ North Carolina /Cal Cunningham (D) +3.9
・Iowa     /Greenfield(D) +4.8
・Maine    /Sara Gideon (D) +4.2
・Georgia     / David Perdue (R) +2.3
・Michigan     / Gary Peters (D) +4.2
・Montana     / Steve Daines (R) +3.3
・South Carolina     / Lindsey Graham (R)

で、2014年、2016年、2018年をみてきて、赤い州と青い州だけで判断すると
共和党51議席 民主党49議席で逆転するかと。ノースカロライナ州はスゥイング州じゃないかという突っ込みがあるとすれば、やっぱり50vs50なんだよなあ。

・ North Carolina /共和党
・Iowa     / 共和党
・Maine    /民主党
・Georgia     /共和党
・Michigan     / 民主党
・Montana     / 共和党
・South Carolina   / 共和党

というわけで、予測が更新することになるかと思いましたが、やっぱり変わらずとなりました。