米議会7/24-29:夏の長期休暇前、最後の1週間/イスラエル・ヘルツォグ大統領の議会演説

2024年度予算作成に向けて、連邦議会の各委員会では公聴会開催・マークアップ・採決など着々と進んでいる(参照元:www.majorityleader.gov
とはいえ、7/31からは約1か月間の休会が予定されており、投票予定をみても2024年度予算のすべてが揃うのは夏期休暇以後の9月になるだろう(参照:www.majorityleader.gov/schedule/
上院もほぼ同じ休会スケジュールだが、9月第一週から再開する。

FRAでは、2024年度歳出予算は国防費 $8863億 、非国防費$7037億以下にすると(合計$1兆5900億)立法された。この時、70名ほどのフリーダムコーカスを中心とした共和党下院議員が反対した。翌週から彼らに「マッカーシー下院議長は約束を破った」として投票妨害を仕掛けられて、再びマッカーシー下院議長と約束をした。それがFiscal responsibility actで決定した支出削減から追加で約$1000億の削減合意だ(引用元: 米議会6/19-24下院共和党内の内乱は収束し、さらなる歳出削減で合意
この合意が守られるのか半信半疑だったが、どうやら今度こそ共和党下院指導部と下院フリーダム・コーカスは、歳出委員会を通過した法案は2022年度予算案の$1兆4,710億に可能な限り近づけることで合意したとされている。
この金額は、FRAで可決した予算案から約$1000億削減されていることになるので6月の約束を守っていることになる(引用元:Roll Call

尚、FRA( Fiscal responsibility Act of 2023 )についての振り返りはこちら

Fiscal responsibility Act of 2023で制約をうける2024年予算
①国防費は2023年度の水準より△約3%、$280億多い$8863億に制限。
(3%というのは、米インフレ率の約半分に相当するので実質減額となる)
②非国防費(退役軍人給付は維持)は2023年度の水準より▼約9%、$700億少ない$7037億に制限
[予算編成に関して注意点]
注意1:2024年度と2025年度の年度予算法案がそれぞれの会計年度の1月1日までに制定されない場合、裁量支出は現在の2023年度より強制的に1%削減となる(PAYGO原則の復活)。つなぎ予算で可決することは認めていない。
つまり、
注意2:特定の部分で1%引き下げではなく、全体的な削減
1985 年均衡予算法(Balanced Budget and Emergency Deficit Control Act of 1985) に基づきOMB(行政管理予算局)が削減可能な範囲を算出することになる。
参照元:『米議会6/5-9:FISCAL RESPONSIBILITY ACTの整理と政治的勝者・敗者 』https://ni225-topix.com/?p=9891
Automatic spending cuts would threaten infrastructure funding

イスラエル・ヘルツォグ大統領の議会演説

東部標準時間の18日、米合同議会でイスラエルのヘルツォグ大統領が演説した。イスラエル建国75周年を記念して米議会に招かれた。(引用元:イスラエル大統領府)ちなみに、マッカーシー下院議長も5月にイスラエル訪問してイスラエル議会で演説をしている(引用元:The Times of Israel

プログレッシブコーカスのジャヤパル議長がイスラエルを “racist state.” と発言したことで物議をかもし、多くの民主党議員からもバッシングをうけた。ヘルツォグ大統領が演説する数時間前に、3点をシンプルに記した 決議案を412票が賛成、反対9票と圧倒的多数で可決した。
(1) the State of Israel is not a racist or apartheid state;
(2) Congress rejects all forms of antisemitism and xenophobia; and
(3) the United States will always be a staunch partner and supporter of Israel.
(引用元:www.congress.gov/bill

今回の演説だが、イランはイスラエルと米国にとって共通の敵だと改めて再確認させたのだなあ。 PBSでは空爆があるたびにさらっと報道されているが、イスラエルとパレスチナは今年入ってから対立が激化している。 さらに、ネタニヤフ首相が 司法改革案を進めているがイスラエル史上最大級の抗議運動が起きている。
名指しではなかったが、イランとロシアの結びつきが強まったことや、サウジアラビアと国交回復してきているのも強い懸念だろう(引用元:TIMES

今回のヘルツォグ大統領の議会演説でもイランの懸念は色濃くでている。

・イスラエルと米国が現在直面している最大の課題は、イランの核開発計画。イランは中東全域に憎しみと恐怖と苦しみを広げ、ウクライナの悲惨な火と苦しみに拍車をかけている。

・イランは地球上で唯一、イスラエルを消滅させようと公然と呼びかけ、画策している国。

ちなみに、ヘルツォグ大統領の演説、少なくとも旧約聖書の大きなあらすじがわからないと何言っているかわからないのではないかな?私も旧約聖書をそんなに理解しているわけではないので、調べながら読んでいった。このあたりは歴史的に知らなかった。

・今から160年前、エイブラハム・リンカーン大統領は、ユダヤ人を祖国に帰すという夢を、多くのアメリカ人が共有するものとして語った。
・1949年、トルーマン大統領は大統領執務室で、新たに建国されたイスラエル国家の首席ラビであり私の祖父であるヘルツォグ師と会談した。イスラエル建国から11分後に、世界の指導者として初めてイスラエル国家を公式に承認した当時のトルーマン大統領ことに感謝した(←知らなかった)
・フィラデルフィアのLiberty Bellに書かれているのはレビ記の聖句からなんだね。“Proclaim liberty throughout all the land unto all the inhabitants thereof”と知らなかった。

インドもイスラエルも自国をdemocracyを体現していると宣言しているんだが、もう一回 democracy の定義を確認する必要がある気がしてきた。

・1948年にイスラエルが建国されたとき、全能の神がアブラハムに約束し、モーセがイスラエルの民を導いた乳と蜜の聖書の地は、民主主義の地へと発展した。Jews, Muslims, Christians, Druze and Circassians, secular, traditional and orthodoxなどあらゆる宗派、あらゆる考え方、ライフスタイルの人々がモザイクのように混在する美しいイスラエルの民主主義国家となった(←言い切った)

イスラエルの件は気にはなっていたがあまり追えていなかった。何か起きてもおかしくない状況になってきたので継続的にみていかねば。