米議会は夏期長期休暇まであと2週間。
9月末までに2024年度予算の可決を目指している下院共和党ですが、夏期長期休暇をはさんであと5週間しかないですね(黄色でカラーリングが本会議開催)
もはや年度予算が期日通りに9月末に可決したことがないわけですが、2024年度と2025年度はPAYGOの影響があるため遅くとも1月1日前には可決しないと強制的に1%削減となります(引用元:米議会7/10-21:2024年度予算にむけた動きが本格化)
強制的に1%削減は両党避けたいはずなので、遅くとも年内には解決するでしょう。マーケットが一番気にするのは政府閉鎖が実現するかどうかですが、民主党と共和党は債務上限引き上げの時のように協力しあえる関係なので政府閉鎖までは起こらないと私はみています。
さて、 2024年度予算 について動きがありました。
7/14(金)に、次年度予算の1つである国防権限法(NDAA)が可決しました。国防権限法とは、 米国の国防予算の大枠を決めるために議会が毎年通す法律だ。下院のNDAAは、2024年度の国防費に関して$8860億の支出を下院共和党215票+民主党4票で賛成で可決。
この$8860億は、6月に可決したFiscal responsibility Act of 2023で決められた通り、 国防費は2023年度の水準より△約3%、$280億多い$8863億に制限を守った。今回下院で可決した国防権限法には以下が追加されてる。みればわかる通り、単純に国防予算の策定というより、下院共和党が実現したいWokeness排除に着手しているということだ。
・軍人の給与引き上げ△5.2%
・ウクライナ追加支援$3億
・国防総省内にD&I責任者や上級顧問のような役職を設置して連邦政府の資金を使用することを禁止
・トランスジェンダーのためのホルモン治療や性別確認手術を、軍人の医療プログラムに適用することを禁止
・士官学校の図書館に「ポルノや過激なジェンダー・イデオロギーの本」を購入したり置いたりすることを禁止
・国防総省が人工妊娠中絶に関連する経費の支払いや払い戻しを禁止。軍人の中絶手術のための旅費を負担し、休暇を認める国防総省の方針を事実上撤回することにつながる。
(参照元:ロイター/Roll Call)
ちなみに、反対票は共和党から4票、民主党206票、両党から無投票5票だった。
民主党の大多数が反対票に投じた理由は、NDAAに対して D&I推進を弱め、LGBTQ+の権利も弱め、人工妊娠中絶の払い戻し禁止などを追加したからというのが大きい。民主党下院指導部は事前に反対声明をだしていた。(引用元:The Hill)
また、反対に投じた共和党議員4名はAndy Biggs, Ken Buck, Eli Crane,Thomas Massie。Massie以外はフリーダムコーカスメンバー。ただし、フリーダムコーカス議長のスコット・ペリーからは事前に支持をとりつけていたのでフリーダムコーカスの大半は賛成し、反対票はおさえこむことができた(引用元:The Hill)
さて、次は上院議会での審議になる。シューマー上院院内総務は何も方針を示していないが、下院のNDAA法案を修正しまくることになるのではないかと思います。もしくは、下院とは別にNDAA法案を可決するかですね。
ちなみに国防権限法をはじめとした12分野ていどに分かれた予算をすべて束ねて2024年度予算として審議にかけるので、まだたった1つなのでまだまだ続くことになります。
2024年米大統領選にむけた動き
結論からいうと、バイデン大統領と民主党全国委員会は第2四半期に$7200万調達して順調という話。民主党は小口献金がメインなのは有名な話ですが、 第2四半期の資金調達もバイデン大統領も同様で 97%が$200以下の小口献金者。
同時期のトランプ前大統領は第二半期で$3500万調達なので、その2倍近くをバイデン大統領(とDNC)は集めていることになる。
今期のバイデン大統領の強みの一つは、手持ち資金が豊富なこと。大統領再選に向けてスタッフも少なく(というかほぼいない?)、選対本部もまだ発表していない。今のところ、再選に向けた政治集会は、バイデン大統領の支持団体である労働組合が費用を負担。 さすがPro-Union大統領ですね(引用元:Politico)
というのと、共和党大統領候補はどうしたって予備選で広告費など投下して消耗することになるが、バイデン大統領はほぼ決まりなので資金を温存しておけるのでかなり有利ですよ。すでに労働組合と環境保護団体はバイデン大統領への支持声明だしているので、すでに草の根活動できているフェーズです。
ちなみに、共和党の期待の星だったデサンティスFL州知事はやや苦境に陥っているようです(引用元:NBCnews)。スーパーPAC経由で$1億以上は調達しているが、小口献金者はたった14%しかいないというのもまた厳しいところ。
一部の共和党メガドナーの何名かからは献金を見送られている。Thomas Peterffy, John Catsimatidisはすでに報道があった。また、ピーター・ティールからはそもそも2024年大統領選への献金は今のところ関与しそうにない(引用元:ロイター)