Juneteenthで米市場も休場ですが、議会も休会です。
来週から7/4(火)はIndependence Day(米独立記念日)があるため米議会は2週間の休会に入ります。
下院共和党内の内乱はいったん収束。さらなる歳出削減で合意。
6/6から Fiscal responsibility actに未だ納得いかないフリーダム・コーカスを中心とした10名強が法案採決前に行う審議手続き規則投票に否決投票しはじめて投票が進まない事態が発生していた。党内メンバーからの投票妨害だ。
この審議手続き規則投票とは、特定の法案について、審議時間の長さ、修正案の提出の可否など、審議の詳細を定めるルール投票だ。 この審議手続き規則の投票で可決しないと、法案の投票に進むことができない(引用元:House Floor)
基本的にこの審議手続き規則の投票は多数党が賛成を投じて、少数党が反対投票して進める。ただし、先日の Fiscal responsibility act では共和党内から多数反対がでそうなので民主党から審議手続き規則投票の協力を得て進めることができた(引用元:Roll Call)
ちなみに、日本ではこの 法案採決前に行う審議手続き規則投票の仕組みはない(引用元:法律案審議の流れ)
で、やっと先週にはやっとマッカーシー下院議長と取引が完了して妨害が終了した。しかしながら、この合意内容がまた問題を引き起こした。
まず、銃規制を覆す投票に合意。すでに連邦政府が今年1月に実施した銃規制を撤廃する決議案を投票済で219対210で可決している。とはいえ上院で可決する見込みはないし、これだけなら問題にもならなかっただろう(引用元:AP)
次が問題だ。 Fiscal responsibility actで決定した支出削減から追加で約$1000億の削減合意した。これが実現すれば、国防と退役軍人費用を除く非国防費で約30%の削減となる。また口約束かと思ったが、すでに下院歳入委員長は Fiscal responsibility actで決められた上限よりももっと低い歳出で約1200億の削減になる予算を作成している(引用元:Hill)
確かに Fiscal responsibility act では非国防裁量支出の上限(Limit)は決められたが、下限は決められていない。ただ、民主党は上限まで歳出できるという前提で合意していたので約束破りだと非難している(引用元:Roll Call)
②2024年度の非国防裁量支出を$約7040億が上限。2025年度の裁量支出は1%増加が上限。
https://ni225-topix.com/?p=9891
今回は義務的支出の話ではなく、裁量的支出の削減。裁量的支出は毎年議会で議決しなくてはいけないほうの単年度予算。
2024年度
・国防費は2023年度の水準より△約3%、$280億多い$8863億に制限。
(割合でいうと、米国のインフレ率の約半分)
・非国防費(退役軍人給付は維持)は2023年度の水準より▼約9%、$700億少ない$7016億に制限
2025年度
・裁量支出は1%増加が上限。裁量支出の上限が$1兆606億
・国防費$8952億、非国防費 (退役軍人給付は維持) $7107億ドルに制限
[注意が必要]
・2024年度と2025年度の法案がそれぞれの会計年度の1月1日までに制定されない場合、裁量支出は現在の2023年度より1%引き下げられる。特定の部分で1%引き下げではなく、全体的に削減される。さらに、2024年度と2025年度の支出上限は、これらの支出上限を超えた場合に自動的に支出削減が発動される隔離措置によって強制( PAYGO原則の復活)
米国の年度切り替えは10月なので、9月末までに2024年度の予算を米議会で可決する必要がある。7月後半~8月はほぼ1か月半休会して地元で活動(選挙も控えている)のが通常だが、今年は議員らはワシントンに残らなくてはいけなくなるかもしれない。
ちなみに、もはや毎年の年間予算は9月末に決まらず、期限付きの暫定つなぎ予算(今までの予算と同じくらいの歳出を許す)で乗り切ってきた。ただし、今回は2024年1月1日までに予算を可決しないと自動的に歳出削減がされるPAYGO原則が復活しており、義務的支出の社会保障費や共和党にとって削減したくない国防費まで強制的に1%カットされてしまう恐れがある。なので、民主党はなんとしても2023年末までには2024年の年間予算を可決したいだろう。
Fiscal responsibility act で民主党・共和党超党派の合意がとれたこともあるので、政府閉鎖を起こさないように両党がつなぎ予算を可決することはじゅうぶんに考えられる。議員らが政府閉鎖を懸念しはじめたので、メディアも政府閉鎖を懸念しはじめたが、どちらかといえば歳出削減に注目しておいたほうがよさそうだ。ただし、議員らが懸念していることにくわえて、民主党は「共和党が政府閉鎖を引き起こそうとしている」と見せたいので、政府閉鎖のニュースは明らかに多くなるだろう。
バイデン大統領は再選にむけて集団票をかためる
主要環境保護団体(Sierra Club, NRDC, LCV,NextGen)はバイデン大統領の再選を支持した(引用元:Bloomberg)
この環境保護4団体が共同で大統領選の支持を表明するのは初めてのこと。WV州のMVPやAK州ウィロー石油開発許可などバイデン政権の環境政策や制作決定に不満はあれど、総じてバイデン政権の環境政策に満足しているということなのでしょう。というか、他に代替候補がいないのでしょう。
また、 AFL-CIO(米労働総同盟・産業別組合会議)が正式にバイデン大統領再選を支持し、土曜日にフィラデルフィアでイベントを開催しました。
See this crowd?
— AFL-CIO ✊ (@AFLCIO) June 17, 2023
These are teachers. Construction workers. Electricians. Actors. Culinary workers. Government employees. & More.
These are UNION members all under one roof, rallying & having a conversation with @POTUS. #LaborForBiden
We take care of our own. pic.twitter.com/Py8AB75ipI
当ブログを数年前から読んでいただいているかたにはおなじみですが、バイデン大統領は米史上最も親労働組合な大統領になると宣言しているし、約束もしています。毎回思うけど、労働組合の演説だと、ほんといきいきしていますよね。
You know, there are a lot of politicians in this country who can’t say the word “union.” (Applause.) But you know I’m not one of them. I’m proud to say the word. I’m proud to be the most pro-union president in American history. I promised you I would be.
https://www.whitehouse.gov/briefing-room/speeches-remarks/2023/06/17/remarks-by-president-biden-at-a-political-rally-hosted-by-union-members-philadelphia-pa/
But what I’m really proud about — what I’m really proud about is being re-elected the most pro-union president in history. (Applause.)
なお、面白い動きが全米自動車労働組合は、バイデン大統領支持を少しためらっているとのこと。EVシフトに伴い自動車製造に携わってきた労働者がおきざりにされているということだ。UAW会長は“just transition”という表現をつかっているが、EVシフトする時に我々をおきざりにするなという強いメッセージだろう(引用元:The Hill)
ちなみに、バイデン大統領は pro-union であり、Pro-manufacturing だとよくわかる演説ですな。
People studying this right now are astonished at what’s going on — a boom they never saw coming. Well, we’re going to show them.
https://www.whitehouse.gov/briefing-room/speeches-remarks/2023/06/17/remarks-by-president-biden-at-a-political-rally-hosted-by-union-members-philadelphia-pa/
Who do you think is going to get stamping these products “Made in America”? You are. You are. (Applause.)