米議会4/17-21:The Lower Energy Costs Actも債務上限交渉に盛り込まれる

2週間の休会を終えて、今週から米議会は再開する。下院で審議・投票される議案で興味ある方は、こちらを確認ください。

何度か書いているが、上院議会は数か月前から病欠で欠席者が相次いでいた。マコネル上院少数党院内総務は1か月(半月は休会だったので、実質は半月)の欠席を終えてやっと戻ってくる。
しかしながら、もう数か月も欠席しているCA州ファインスタイン上院議員がまだ戻ってくる気配がない。民主党 51議席と共和党 49議席が続いている上院議会では1票が入らないと可決できない決議や法案がそれなりにある。特に上院司法委員会では、バイデン政権が承認した司法関連の高官が承認できない問題が続いていた。やっと先週になって司法委員会メンバーから退くとシューマー上院多数党院内総務に依頼した(引用元:Politico
多くの民主党議員はファインスタイン上院議員のことを擁護する発言をしているが、CA州カンナ下院議員は「退任すべき」と発言して物議をかもしているが、おそらくCA州のプログレッシブコーカス所属議員は同じ意見なのだろう。
ちなみに、もしファインスタイン上院議員が任期前に引退を決断した場合、CA州法のもとでは選挙ではなく州知事が指名することになっている。どうやら2021年の時にニューサム知事は「もしファインスタイン上院議員が任期前に引退したら黒人女性を指名する」と約束してしまっているので困ったことになるはずだ。というのも、現時点で2024年CA州上院議員立候補者に黒人女性がいないためだ。今のところ有力候補は下院議員を長く務めたシフ議員とポーター議員(プログレッシブコーカス所属)だ。まあ現状はファインスタイン上院議員が早期復帰してくれるのが一番よい(引用元:The Hill


債務上限の交渉はこれから

まだ読んでいない方は、こちらの記事の最後のほうにまとめているのでご一読ください。

そのうえで、最近の動きとしては債務上限交渉をスタートするにあたっての共和党案がやっとまとまりそうという段階だ。上記ブログを書いた時点では「 The Lower Energy Costs Act 」を含めたい意向ではあったがもはやこれが含まれる前提で話が進んでいるようだ。現段階で出てきているのは以下のような内容だ(引用元:rollcall

・2024年5月までを乗り切る債務上限額 を設ける予定
・少なくとも2024年度の裁量支出に上限を設ける

現在の検討案は裁量的支出を$5840億削減(2023年度の22%削減になる)
・バイデン政権が実施した学生ローン債務免除取消も含む
・下院ですでに可決されたThe Lower Energy Costs Actを含む
主には以下の内容
-大統領権限による水圧掘削禁止を禁じる
-国家環境政策法(NEPA)に基づく審査を1年以内、調査を2年以内とする
-最終的な行政決定に関しての訴訟できる期間を120日以内に定める
-2023-28年の海上石油・ガスリース販売計画の公表を政権に義務付ける
-メタンガスを削減するEPAプログラムと連邦グリーンバンクプログラムを廃止


「 The Lower Energy Costs Act 」 は①米国内エネルギー・重要鉱物の増産②全産業に関わる許認可プロセス改革(特に鉱山開発・エネルギー開発)を目的としたものだ。民主党(主に環境保護団体)は反対する内容が数多く盛り込まれているので、すべてが可決するとは思い難い。少しでも詳細を詳しく知りたいかたは、法案作成の中心となったスカライズ下院院内総務から発表されているこちらをご覧ください。

なお、米石油連盟からも「 The Lower Energy Costs Act 」について指示する声明を発表している(引用元:API
American Public Gas Association、Independent Petroleum Association of Americaも指示している(引用元:Roll Call
あと、National Mining Associationもホームページで下院通過を歓迎し、すみやかに上院で可決するように声明を発表している(引用元: National Mining Association