12/20-25 米議員はクリスマス休暇へ突入/マンチン議員、BBBに投票しない宣言

上院議会は、先週金曜日に明け方4時頃まで投票し続けて休会に入りました。
プロ・フォーマセッションというクローズドの会議は一部でありますが、投票を伴う本議会はもう年明けまでありません。年明けは1/3から開始です。

一方で、下院議会はスケジュールが空白ですが、 今のところ次の投票は1/10なので特に何かない限り、休会ということですね。下院議会は年明け1/10から開始。


先週の上院議会の振返り

1. 債務上限$2.5兆引上。初の$30兆超え!$31.4兆となる決議を上院可決

先日のブログで書いた通り、具体的な債務上限引き上げ額は後から決めるということで法案を可決していたため、具体的な金額が上院で決まった。12/14に上院、12/15に下院で可決してバイデン大統領は12/16署名というフローとなった。
共和党からは1票も賛成を出さなかったので、これで形式的には「民主党が債務上限を引き上げた」と全責任を負わせる形になったのでマコネル少数党院内総務の勝利ですな。

https://www.congress.gov/bill/117th-congress/senate-joint-resolution/33/text

まあそれにしても、「金額は空欄にして後から決める」という法案可決して後から決議で債務上限金額を決めるなんてできるんですね。米議会つき記者でさえ、こういった進め方があるなんて誰一人書いてなかったけどね…

そして忘れてはいけない問題が、また債務上限問題が2023年のどこかでやってくるということだ。2022年11月中間選挙を無事通過することは確実だが、今度は大統領予備選が本格化する頃に、また債務上限問題がやってくるということを忘れてはいけない。

2. NDAA可決/ウイグル強制労働防止法案の可決

NDAA(国防権限法)は無事に可決。ノードストリームへの制裁義務化や台湾支援など議論を呼ぶものは盛り込まれなかったが、国防予算総額は$7700億となり共和党の勝利ともなった。
とはいえですね…現在の国家予算は2022年度つなぎ予算(前年と同じ規模で歳出する)で運営されているので、そもそも2022年度年度予算を可決しなければならないわけで。次のつなぎ予算期限は2/18なんですが、無事に可決しますかね

また、共和党ルビオ議員が交渉で勝利したわけだが、 ウイグル強制労働防止法案、あとは大統領署名。 ウイグル以外で生産された商品であっても、ウイグル人の強制労働により利益を得ている企業や、ウイグル人労働者を強制的に動員する中国政府の労働プログラムを導入している企業が生産した商品の輸入を禁止。強制労働に加担する海外の個人や団体のリスト作成を大統領に求め、制裁対象とする。輸入禁止は法成立から180日後に発効。なんだけど…まだ公式の法案進捗サイトをみると、バイデン大統領が署名していないようだ。タイミングをみているのかもしれないですね。

3. 上院はいっきに政府高官の承認を終えた

共和党議員、数十名がワシントンを離れている状態で、民主党上院議員は黙々と政府高官の承認を実施した。共和党議員、数十名が参加しなかったのは驚くべきことだが、まあ政府高官は上院50名で承認されてしまうので興味がないのだろう。金曜日深夜から明け方に、9名の連邦判事と41名の各国大使を承認した。
ラーム・エマニュエル駐日大使も遂に承認されたが Warren, Markey, Merkley の民主党3議員が反対票を投じた。

マンチン議員のBuild Back Better反対表明

マンチン議員はFOXニュースにてBuild Back Betterに「can’t vote」と宣言したし、自身のホームページでも声明文だしました。以前から言われていることですが、彼の主な反対理由がインフレ懸念だとするとエネルギー価格がやや落ち着くのは初夏ではないでしょうか。だとすると、もう中間選挙には使えないねぇ。
もしくは、ビジネス界隈のロビー活動が主要な反対理由だとするとインフレが和らいでも何らかの理由をでっちあげて反対するでしょうね。マンチン議員にロビー活動したビジネス界隈、米商工会議所、WV州に追加投資したトヨタなどの大勝利ですな(引用元:The Hill

多くの民主党議員が失望を示し、ホワイトハウスは約束違反だと声明文をプレスリリースまで出した。
個人的には、「フレームワークに合意した」と書いてあるけど、まあそれはそうだとして、そのフレームワークから除外されたものを再度盛り込んで可決までした下院議員はどうなんですかね。個人的には、どっちもどっちじゃないですかねという感じがしてならない。

まあいずれにしろ、民主党内が分裂しているのをこうやって公にするのは、これから選挙に向かっていくのにマイナスですよね。

民主党指導部もマンチン議員に対して不快感をもつなら、WV州で民主党議員を勝利させる選挙戦略をやればいい。
とはいえ、マンチン議員は2024年まで上院議員を続けるので、バイデン政権の政策は、2024年までマンチン議員の壁があるということは理解しておいた方がいいですね。