下院議会は、9/6 Labor Dayがあるため連休です。9/9~委員会が再開予定。
一方で、上院議員は今週も本議会は休会。委員会も9/15に2件しか入っていないので上院議会が本格的に再開するのは、9/20~になりそうです。
さて、動きがゆっくりな米議会ですが、問題は山積みです。
特に、「3.債務上限引き上げ法案 」は米国債デフォルト危機を招き、「4.2022年度年度予算」については政府閉鎖を招く。
1. $3.5兆(10年間)の財政調整法案
2. インフラ法案(新規支出は上院では$5500億/下院では$7600億)
9/27までに可決する予定
3. 債務上限引き上げ法案
10月までは大丈夫…?
4. 2022年度年度予算(10/1から2022年度予算になる)
9月末には、つなぎ予算を可決する必要がある。そうしないと政府閉鎖。
また、「 1. $3.5兆(10年間)の財政調整法案 」については、マンチン上院議員が「Why I Won’t Support Spending Another $3.5 Trillion」というタイトルで寄稿。 インフレと政府負債の増加を懸念しているとマンチン上院議員は書いているけど、以前から言及していますね。債務を増やさないという点でいくと、以前からブログで書いている通り、財政出動は$1.75兆が妥協ラインになるのではないでしょうかね。もしくは、歳入を増やすしかないので、自社株増税とか色々な策を練り始めたようですが、まぁ、マンチン上院議員がどう判断するかですね
それぞれの詳細や、問題点は過去ブログに記載済。
期限切れとなった失業保険とPUA/PEUC
1年以上続いた連邦政府による失業手当も終了する。正式には9/6に失効するようだけど、配布は多くの州が土曜日だから、実質的に9/4で終了だろう。
WPによると
・約750万人が失業給付全額を失う
・約270万人が$300/週の失業給付増額を失う
・2020年3月~、失業給付金は累計約$6800億で、PPP(約$8350億)に次ぐ景気刺激策だった
Direct Payment(小切手配布)が、金額として一番大きな景気刺激策だと思ったら、PPPが第一位( 約$8350億 )、失業給付金増額(約$6800億)だったんだね。Paycheck Protection Programは、主に中小企業に対して、従業員給与支援だったのでこれも雇用維持に役立ったのだよね。
さて、これらがあったから経済が急回復(維持)できたわけなんだけど、これらがなくなっても維持できるのかねえ。
最新のワクチン接種率をみても、フルワクチンは全米で60%台。
死者数は伸びてはいるけど、ここから下落するかはまだわからないしね。
何より、死ななかったとしても、後遺症や何らかで医療費が膨らむと、米国人の債務は膨らむわけですし。
TX州の事実上中絶禁止について
しかしまあ、あんなにメディアはアフガニスタン撤退を「大失敗だー!」と叩いていたのに、ほぼ見なくなってきましたね。今度は、TX州の事実上中絶禁止の話ばっかりになってきて、このメディアの乗り換えのはやさにはうんざりしています。女優の アリッサ・ミラノ が “Texas Taliban” と非難したらしいんですが、アレすぎて絶句したし、これを真似ている日本人が「タリバンとテキサスの違いがわからない」とか言い始めたりしていて、絶句。
私としては、この立法手法に注目した。WPによると、この法律は妊娠6週目以降の人工妊娠中絶の禁止を「政府」ではなく「民間」に委ねるもの。 米国の訴訟制度の一つでキイタム訴訟(qui tam action)の法整備をした。女性が中絶するのを手助けする人に対して、民間人が取り締まる権限が与えられている。見ず知らずの人でも、TX州裁判所に訴訟を起こせば、$1万の報酬が得られる可能性があり、訴訟が成功しなければ金銭的なペナルティはない。
女性が中心となった中絶禁止団体はいくらでもいるので、ネットワークを構築して訴訟合戦やりそうだなぁと推測します。
そして、この立法上の複雑さが問題となり、最高裁は、この法律を停止することを正式に断念した。 この一連の流れから、ロー対ウェイド事件を覆すことはできなかったとしても、連邦政府が中絶保護を実現する見込みは薄いことを示している。少なくとも、今の最高裁メンバーでは。
今回のを通じて、学びとしては以下3点です。
・立法権限がある州議会で多数党をとることが超重要。
・最高裁(司法)が阻止できない立法戦略も必要。
・最高裁承認権限がある連邦上院議会で多数党をおさえることも超重要。
簡単にまとめると、Divide&Ruleおさえるために、どこを制覇すべきかってことだと思いますよ。選挙の区割りも州議会で多数党をとることが重要だし、やっぱりすべては州議会なんだろうなあと感じました。