7/26-31米議会:上院の財政調整法案の予算決議待ち

上院議会は、本来のスケジュールとしては今週2週間、本議会を開催したら9月2週目までの夏期休暇に入るはずだけど…法案次第なのでスケジュールの変動がはげしくなりそうです。下院議会は今週を終えると、夏期休暇に入る予定ではある。しかし、上院の財政調整法案を待つと下院予算委員会が決めている。下院はリモート投票もできる規則なので、まあ夏期休暇はいっても臨機応変に動くでしょう。問題は上院議会ですね。

https://www.govinfo.gov/content/pkg/CCAL-117scal-2021-07-26/pdf/CCAL-117scal-2021-07-26.pdf

【1】$1.2兆インフラ法案( INVEST in America Act )

法案も完成していないのに、21日(水)にシューマー院内総務が動議開始の投票をしたわけだが見事に否決されていた。Nay(否認)が51名だったから、民主党議員の誰が投票したのかと思いきや、 Schumer (D-NY) がNayに投票していて自作自演していた。ちなみに、議員の投票記録はすべてHPに公開されています。今回の動議開始のための投票結果はコチラ
交渉メンバーを急かしたいという理由もあっただろうが、シューマー院内総務の自作自演のパフォーマンスですね。

このインフラ法案を交渉している一人の民主党ワーナー議員は、月曜日には法案を発表できるだろうと発言しているので、月曜日には仕上がるのではないでしょうか。

しかしながら、ペロシ議長は財政調整法案を上院が可決するまで、超党派インフラ法案は下院で審議しないと25日、過去にも発言してきたが再度念押しをした(引用元:The Hill
さらには、 運輸・インフラ下院委員会のデファジオ委員長は、上院超党派インフラ法案について協議をしたいと話を持ち掛けている。下院議会も別途「INVEST in America Act」を先月可決している。超党派で進める上院での法案と民主党オンリーの下院での法案の調整もまた時間がかかることが予測される(引用元:The Hill

上院議員が超党派でせっかく交渉妥結したインフラ法案も下院の壁が2つもあるため、まだまだ長い道のりとなる。

【2】$3.5兆、経済対策の財政調整法案

ペロシ下院議長の発言通りに動くとすれば、財政調整法案の可決が先になる。ペロシ下院議長の発言通りのスケジュールになるとすれば、以下のようなスケジュールになることが予測される。民主党議員は、9/4の失業保険給付が期限切れを迎えるまでにはこの経済対策を可決させたいと以前から発言していたので、9月初旬がターゲットになるだろう。

進捗はどうかというと、予算決議さえまだ可決していない。
しかも、現時点で予算委員会の委員会開催がスケジュールに入っていない。水面下で動いていたとしても、少なくとも、予算決議は予算委員会で投票を行う必要があるためスケジュールに入っていないとおかしい。現時点で入っていないということは、今週に予算決議の投票を行うことは難しいことが予測される。

内容については、 アルミニウム、セメント、鉄、鉄鋼、天然ガス、石油、石炭などの商品に輸入税(import tax)などを実施するなどいろいろと話はでてきている(引用元:The Hill
また、 メディケア「パートD」の給付管理業者に製薬会社が支払うリベートを廃止する案もでてきている。米国議会予算局は、連邦政府のメディケア支出を10年間で約1,770億ドル削減できると推定(引用元:Bloomberg

とはいえ、先週も書いたように経済対策法案のおおまかな予算($3.5兆/おそらく10年か8年分)と概要が民主党上院内部で決定しているだけにすぎない。プログレッシブにとって最重要だったメディケア拡充(65歳→60歳に引き下げ、歯科・視科・聴科について追加適応)は盛り込まれたこともあり、このための歳入確保が重要になってくるだろう。

【3】債務上限の話。

現在の債務上限一時停止期間は今月末で終了する。イエレン財務長官は8月中に実施すべきとしているが、他の専門家は9~10月まで大丈夫だろうという話もある。 債務上限引上法案を再度可決する必要があるが、予算決議に盛り込むか、単独で行うかはまだ決定していない。(引用元:Rollcall
また、マコネル上院少数党院内総務は、債務上限引き上げに賛同しないと言い放った。単独での債務上限引き上げ投票において共和党票が見込めないなら、もう財政調整法案にねじこんで可決するしかないだろう。そうなると、またマンチン上院議員の動向が重要になってくるだろう(引用元:The Hill

【再掲】9月までの財政期限切れ

米政府が実施してきた経済対策スケジュールも期限切れを迎えるのがまさに同時期に起こります。

まず、期限切れを迎える政策
1) 7/31 :賃貸者および住宅ローン滞納者の立退禁止が終了(約700~1100万人)
7月末で連邦政府が実施している立ち退き禁止令は終了する。州独自で延長を決定したのは、把握している限りNY、CA、OR、WA、NJ州の5州。TX州も立ち退きを回避できるプログラムを10/1までの延長を決定したが、あまり賃貸者にやさしくないプログラムだなぁという印象。
8/1に一気に立ち退きが行われるわけではなく、立ち退き訴訟が開始されるので実際に立ち退きになるのは1~2か月くらいかかる見込み。とはいえ、酷い家主だと「今すぐ出ていけ」みたいなことをするかもしれないので、この件は要注意。

2) 9/4:全州で失業給付増額/PUA/PEUC終了  (ざっくり800~1000万人)
 ※マンチン議員が延長不要と宣言してるため、さらなる延長はないはず

3) 9/30:学生ローンモラトリアム終了(学生ローン4400万人)
※延長がありうる

4)9/30: 2015年に可決したHighway法案(5年)が期限切れを迎える。
インフラ法案の可決が必要