8/1-8/7 下院議会は休会。上院で予算決議が通過するかは微妙

下院議会は休会に入りました。まあ下院はリモート投票ができる規則だし、上院の予算決議待ちなのでワシントンにいる必要性は低い。
下院の予算委員会の多数が「上院での予算決議の可決を待つ」と判断したので、財政調整法案の予算決議については待つ姿勢でいるでしょう。また、ペロシ下院議長は何度も「$3.5兆規模の財政調整法案可決するまで、インフラ法案は採決しない」と宣言している。なので、私は予算決議の進捗を最優先で考えています。

https://www.majorityleader.gov/calendar

さて、上院議会。本来なら8月9日~9月12日まで長い休会に入る上院議員ですが、財政調整法案による予算決議、インフラ法案ともに採決されていないので、その採決が終わるまでは続行されるでしょう。

【1】$3.5兆、経済対策の財政調整法案

CNN記者の報道によると、上院予算委員会委員長のサンダース議員は、財政調整法案の予算決議は今週にも可決すると意気込んでいるらしい。なんだけど、上院予算委員会のスケジュールが入っていない…。

あと、シネマ議員が明確に$3.5兆という予算を指示しないと Arizona Republic に発言したので、 $3.5兆よりも予算額が下がることは確か。

Sinema, D-Ariz., told The Arizona Republic on Wednesday she had reviewed the Senate Budget Committee’s spending framework and has told Senate leadership and Biden that she supports many of its goals, including job growth and American competitiveness. 
“I have also made clear that while I will support beginning this process, I do not support a bill that costs $3.5 trillion — and in the coming months, I will work in good faith to develop this legislation with my colleagues and the administration to strengthen Arizona’s economy and help Arizona’s everyday families get ahead,” Sinema said in a written statement.

https://www.azcentral.com/story/news/politics/arizona/2021/07/28/arizona-sen-kyrsten-sinema-wont-back-democrats-3-5-trillion-reconciliation-bill/5402193001/

そうなると、予算委員会の予算振り分けからやり直しになるだろうね。予算決議とは、各予算委員会に予算を割り振ったものを予算決議としてまとめているものなので。

また、マンチン上院議員も財政調整法案について曖昧な回答をしている。

“I can’t really guarantee anybody. I have not guaranteed anybody on any of these pieces of legislation. Would we like to do more? Yes, you can do what you can pay for. This is paid for. Our infrastructure bill is all paid for. We don’t have a debt, that we’re going to incur more debt in throwing onto it,” Manchin said.

https://thehill.com/homenews/sunday-talk-shows/565832-manchin-i-cant-really-guarantee-anybody-reconciliation-package

いずれにせよ財政調整法案のための予算決議が本当に可決するのかに注視。
財政調整法案の可決は9~10月の見込みが民主党内部でも濃厚になってきているようです。おそらく、下院での審議は9月になるんじゃないですかね…。

【2】$1.2兆インフラ法案( INVEST in America Act )

ワシントン時間は日曜日夜ですが、数時間以内に完成するという見込みのようです。ただ、それも数時間前にも「数時間以内に完成する」という発言だったようで、未だにテキストがみえない。
インフラ法案については、 メディケア「パートD」の給付管理業者に製薬会社が支払うリベート廃止が盛り込まれるという話だけど、それもテキスト化されてないと最後の最後までわからんよね。
尚、上院議会が考えているインフラ法案(新規は$5500億)は以下の通り。
―道路や橋梁に$1,100億
―電力網整備$730億
―鉄道/アムトラック$660億
―ブロードバンド拡大$650億
―飲料水$550億
―交通関連$390億

これがまた下院が既に可決したインフラ法案と相違があるんですよね。下院の交通委員会委員長は、この上院超党派の法案内容に対して何度も警告を発している。なので、上院で可決に注目していても、下院との調整が入ります。

下院が既に可決したインフラ法案は$7600億。 主な相違点は以下なんですよ。
◆飲料・廃水インフラ:$550億(下院は$1680億)
◆EV用充電ステーション構築&zero-emissionバス等:$100億(下院は$500億)

EV用充電ステーション構築&zero-emissionバス等 に$500億も投資するのを賛同するとは思い難いんだよなあ。



【3】9月までの財政期限切れ

まず、期限切れを迎える政策
1) 7/31 :賃貸者および住宅ローン滞納者の立退禁止が終了しました
ロイターでは650万世帯で1500万名が家賃滞納者として報道されているが、滞納者数が増えてないですかね!?
把握している限りNY、CA、OR、WA、NJ州の5州が独自の延長を実施。TX州も立ち退きを回避できるプログラムを10/1までの延長を決定したが、TX州についてはあまり賃貸者にやさしくないプログラム。
8/1に一気に立ち退きが行われるわけではなく、立ち退き訴訟が開始されるので実際に立ち退きになるのは1~2か月くらいかかる見込み。

尚、不動産市場では小規模事業者の家主が減少しているようだ。立ち退きについては、大手なら粛々と訴訟して粛々と立ち退いてもらうようになるだろう。

尚、サキ報道官が “Unfortunately, the Supreme Court has made clear that this option is no longer available,” she added. と発言していたので、私の推測通りだった。とはいえ、完璧に自信があったわけではなくて、バイデン政権が司法判断をどれくらい重んじているかは未知数だったわけだ。しかし、今回の判断で、司法判断を重んじる(少なくとも通常程度)というのがわかったので、今後の政策に対してのアクションが推測しやすくなった。

以下は再掲となりますが、自分のためにリマインドです。

2) 9/4:全州で失業給付増額/PUA/PEUC終了  (ざっくり1200万人)
 ※マンチン議員が延長不要と宣言してるため、さらなる延長はない見込み

しかしながら、AR州では、打ち切られた失業給付増額を再開せよという判決がでた。IN、MD州に続いた判決で、要は知事にその権限はないということ。最高裁までいくんじゃないかね…。州が最終的に負けたら、打ち切られた失業給付一括支払いとかありそうなのでこの件は継続して追う(引用元:CBS

3) 9/30:学生ローンモラトリアム終了(学生ローン4400万人)
※延長はありうる。

4)9/30: 2015年に可決したHighway法案(5年)が期限切れを迎える。
インフラ法案の可決が必要

【再掲】債務上限の話

現在の債務上限一時停止期間は今月末で終了する。イエレン財務長官は8月中に実施すべきとしているが、他の専門家は9~10月まで大丈夫だろうという話もある。 債務上限引上法案を再度可決する必要があるが、予算決議に盛り込むか、単独で行うかはまだ決定していない。(引用元:Rollcall
また、マコネル上院少数党院内総務は、債務上限引き上げに賛同しないと言い放った。単独での債務上限引き上げ投票において共和党票が見込めないなら、もう財政調整法案にねじこんで可決するしかないだろう。そうなると、またマンチン上院議員の動向が重要になってくるだろう(引用元:The Hill