7/19-24 米議会/$3.5兆経済対策法案の予算決議は今月中に提出される?

上院は先週から本会議開催してますが、下院議会は今週から再開です。
「8月の休暇はないと思え」と民主党議員には内部通達がでているようですが、現段階ではスケジュールの変更なし。

【1】$3.5兆経済対策法案と$1.2兆インフラ法案

まずは、$3.5兆経済対策法案の進捗。
先週は、経済対策法案のおおまかな予算($3.5兆/おそらく10年か8年分)と概要が民主党上院内部で決定した。まあサンダース議員が妥協したわけだ。
ただし、サンダース議員、プログレッシブにとって最重要だったメディケア拡充(65歳→60歳に引き下げ、歯科・視科・聴科について追加適応)は盛り込まれたた。あと、Child Tax Creditの延長、気候変動対策も含まれるようだが、正直、内容をつめていくのはこれからですね。まずは、予算規模とおおまかな内容について合意というわけ。次のステップである予算決議もこれからなので、【2】のステップにさえ至っていないということです。さすがに7月中にでてくるとは思われますが、内容が出てこないだけでなく、予算決議のスケジュールさえもまだでてきていない。

肝心のマンチン上院議員については、財政調整法案じたいには反対していないので「法案をみてから」という発言をしています。マンチン上院議員の過去の発言を私は重視しています。前回のAmerican Rescue Planでも土壇場で彼の意向が通ったように、彼の意向が基本的に通ると思っています。特に歳入まわり(主に税金)は注目した方がよさそうです。

まあ歳入を増やす案としては、 価引き下げ(価格交渉)で$5000~6000億を捻出 (引用元:Roll Call)、 米国よりも炭素排出量の規制がゆるい国からの輸入品に対して税金を課すという新たな税金(引用元:Roll Call)とか、アイディアとしては色々でてきているようだけど、まだわからんね。

下院プログレッシブコーカスはどう出るかなぁと思っていたが、 プログレッシブコーカスのジャヤパル議長はサンダース議員がメディケア拡充を入れ込んだことを賞賛しているので、下院議会で大きな反対がでることはなさそうですね。


次に、$1.2兆インフラ法案について。
まだこの法案が出来上がっていないのに、シューマー院内総務は7/21(水)にこの法案にむけた動議投票を行うようです。この法案に関わっている超党派インフラメンバーは、なんとか週末あるいは週明けに完成予定と発言しているので、おそらく目を通すのは数日になるでしょう。動議投票とはいえ、「$3.5兆経済対策法案と$1.2兆インフラ法案をリンクさせること」に大きく反発している共和党がどう出るかは見ものですね。

2】対中国法案の進捗

先週、上院は①を可決している。②も先月可決している。
①新疆ウイグル自治区から全ての産品輸入を原則的に禁止する法案
②中国に対抗するための研究開発、半導体製造など全体で$2500億

問題は、 下院議会での進捗なのだが、一応進んでいるようだが7月中に採決かけられるかどうかは未定といったところだ(引用元:ブルームバーグ

また、久々にロイターから強烈な記事がでていた。長いけど引用。
何が強烈かってこの3つの点なんですよ。
① 「修正米国防授権法」の存在
②BYDのロビイスト雇用とロビー活動。
④BYDは米国内で雇用を創出し、人々にキャリアを提供しているという主張。労働組合にも手厚い対応

BYDノース・アメリカは、公共交通事業者が電動バスを購入する際に米政府が支給する補助金の適用対象から除外されている。その理由は、BYDなどを念頭に置いて、中国政府が所有・管理するか助成している企業に連邦補助金を使用することを禁じた「修正米国防授権法」の存在にある。
BYDノース・アメリカの広報担当者は、中国の親会社から助成金を受け取っていない点を根拠に、この決定に対して異議を申し立てる方針を表明。
(中略)

それでも19年の米議会報告書で、BYDが中国国有投資ファンドと中国政府の助成金によるメリットを享受して、同社の供給網の一部となったバッテリーセル工場を建設した実態が詳しく記されると、鉄道車両を手掛ける中国国有の中国中車(CRRC)とともに修正国防授権法の標的になってしまった。
この法律は、来年から中国の国有企業もしくは中国政府の管理下にある企業からのバスおよび鉄道車両購入に米政府の補助金を利用できなくなると定めている。
(中略)

BYDノース・アメリカは、報告書の内容を否定した上で、自分たちは完全に別の事業体であり、中国政府から直接助成金は受け取っていないと主張。米政府の補助金対象除外決定の撤回を求める運動の準備を進めている中で、労組を尊重する経営を行っている点も熱心にアピールしている。
米政府が公表しているロビー活動記録を見ると、BYDは既にバイデン氏や民主党と近い有力ロビー企業のキャピタル・カウンセルと契約を結んでおり、議会やホワイトハウスに対して修正国防授権法の手直しを説得する手段として活用するもようだ。
BYDのロビイストになったのは、大統領選でニューヨークにおけるバイデン氏の選対陣営を取り仕切ったロバート・ダイヤモンド氏と、下院民主党と太いパイプを持つリンドン・ブーザー氏。キャピタル・カウンセルには第1・四半期に5万ドルが支払われた。
さらに議会の懸念を和らげようと法律事務所のオメルベニー・アンド・マイヤーズを起用し、BYDは国防授権法で想定されているような中国国有企業とは異なると論じるリポートも書かせている。
労組もBYDを援護射撃している。「板金工組合」の下部組織を統括するウィリー・ソローザノ氏は「この手の問題は中国が雇用を奪っているという話ばかりだが、(BYDは)雇用を創出し、人々にキャリアを提供している。みんな充実した生活を手に入れ、家を買う人もいる。地域社会全体が恩恵を受けている」と述べ、BYDで働く労組メンバーの平均時給は20ドルだと指摘した

https://jp.reuters.com/article/biden-infrastructure-buses-analysis-idJPKBN2EL0MP

① 「修正米国防授権法」の存在
中国政府が所有・管理するか助成している企業に連邦補助金を使用することを禁じているのは、インパクトが大きいね。しかも来年からと書かれているけど、米財政の年度切替は、10月で新年度になるから、もうすぐ目の前ですね。

②BYDのロビイスト雇用とロビー活動。
「BYDは国防授権法で想定されているような中国国有企業とは異なると論じるリポート書かせてる」ってあるけど、さすがだね。おそらく修正米国防授権法の改正は難しいと思うわけですよ。そうなると、「自分たちは違う」という証明をするしかないが、それを容認するかはねつけるかですな。

③BYDは米国内で雇用を創出し、労働組合にも手厚い対応
正攻法ですね。現在のバイデン政権や民主党指導部は、労働組合の代表者だから、労働組合が支持する企業は色々と免れていくかもね。
中国共産党が米議会のロビー活動に多額の資金を費やしているけど、失敗続きだという話を去年くらいに見かけていたけど、労働組合を味方につけたロビー活動してくると、政権や民主党指導部も中国に対する方針を変えてくるかもしれないね。

AFL-CIOの元幹部 Thea M. Leeは5月に国際労働問題担当の副次官に就任していて、このポストは、世界中の労働者の権利、強制労働、児童の人身売買などを調査する局を監督する。バイデン政権が中国に対して強硬に思える政策もこのあたりの「労働者の権利」の観点からなんだけど、米国内の労働組合が中国企業フレンドリーになると、このあたりはどうなっていくんだろうね。
ちなみに、 Thea M. Lee はキャサリン・タイ米通商代表とも仲良し。 現在の労働長官マーティ・ウォルシュも労働組合出身だし、もうバイデン政権と組合の関係はほんとずぶずぶですよ。

【再掲】9月までの財政期限切れ

米政府が実施してきた経済対策スケジュールも期限切れを迎えるのがまさに同時期に起こります。

まず、期限切れを迎える政策
1) 7/31 :賃貸者および住宅ローン滞納者の立退禁止が終了(約 700万人)
※延長ない予定

7/21にWHで第2回「全米の立退き危機への対応」が開催予定です。第1回と同様に「立ち退き禁止」の延長は行わない方針。テナントや家主への賃貸料の救済策を早急に講じるよう圧力を再度圧力をかける狙い。(引用元:WP
延長されると思っている人が多いようですが、連邦政府としては延長しないと繰り返している。あとは、州や自治体次第が立ち退き禁止令を独自で対応するかになるでしょう。忘れてはいけないのは、延長されたとして、先月、訴訟で家主側が勝利して連邦政府が控訴している最中だから、訴訟中は「立ち退きOK」になるはずです。

2) 9/4:全州で失業給付増額/PUA/PEUC終了  (ざっくり800~1000万人)
 ※マンチン議員が延長不要と宣言してるため、さらなる延長はないはず
3) 9/30:学生ローンモラトリアム終了(学生ローン4400万人)
※延長がありうる
4)9/30: 2015年に可決したHighway法案(5年)が期限切れを迎える。

【ブリンケン国務長官】

世界中でワクチン無償で提供しているはずなんだけど、どうもウクライナとか、東南アジアとか中国の周辺のアジア諸国とかを優先的に配布している気がするのは気のせいだろうか…?どうもアフリカ諸国に提供しましたというツイートを視てことがない気がする。