2020年下院議席数は僅差に。2022年中間選挙、米下院は共和党が多数党になる

116会期の下院議席数は、民主党232議席、共和党197議席、無所属1議席、空席5議席の定員435議席となっていた。既に民主党は過半数の218議席は死守した。
しかし、共和党議席獲得の勢いが予想以上に伸びてきていて、下院選挙が非常に面白いことになってきる。
現時点で民主党は220議席(▼7議席)、共和党は208議席(△8議席)を獲得していいて、残りが7議席となっている。
その7議席の進捗は日本時間11月14日15:00時点で、各候補の得票率以下の通りとなっている。参照元は、RCPだ。

民主党 共和党開票進捗
New Jersey District 7 Malinowski 50.5 Kean Jr. 49.5 97%
New York District 3 Suozzi 49.6 Santos 49.9 100%
Iowa District 2Hart 50.0 Miller-Meeks 50.0 89%
California District 21Cox 49.3 Valadao 50.7 91%
California District 25Smith 50.0 Garcia 50.0 99%
Utah District 4McAdams 46.9 Owens 47.5 97%
New York District 22 Brindisi 44.1 Tenney 53.8 83%

現在の状況をみると、共和党の方がリードしている候補者の方が多く、4議席が共和党がリードしているのだ。トスアップで差がついていないのが2議席、民主党リードがたった1議席しかないのだ。

仮にこの結果のままいき、トスアップのところはお互い1議席だとしよう。
そうなると、結果としては、民主党は222議席、共和党は213議席となり、たった9議席(9票)しか差がなくなるのだ。
さて、これは想定外の共和党議席確保なんだが、報道はわずかだ。


トランプ・ファミリーの腰巾着であるマッカーシー少数党院内総務はこの現状をふまえ下院は大勝しつつあるので、力強い発言をしている。また、RollCallへのインタビューでは、下院共和党会議エマ―議長は2022年は共和党が過半数をとり、下院多数党になるとみている。

“We have never been stronger in the sense of what the future holds for us — we have never been in a stronger position,” McCarthy, a close ally of President Trumptold the Post. “We won this by adding more people to the party. And we won this in an atmosphere where we were the one group that everyone guaranteed we would lose. And we’re the ones who won.”

引用元:The Hill

エマ―議長は、2020年の選挙で成功法則をみつけたと語っており、民主党議席をひっくり返したのはすべて共和党女性議員だと指摘している。 また、“It starts with great candidates” と発言しているが、有力な候補者が集まり、過去最高数の女性共和党候補を指名できたことだろう。実際、2020年は 下院立候補申請者227名の女性のうち、94人が指名した。 2004年の過去最高の53人指名を大幅に上回ることができたのだ。

Emmer noted the diversity of the incoming GOP freshmen. Of the nine seats the GOP has flipped so far, eight of them were with Republican women. 

引用元:Roll Call

117会期、女性共和党下院議員が少なくとも27名は誕生する。上院とあわせるとこれは116会期の13名に対して2倍以上なのだ。これは共和党にとっては快挙だ。民主党は上下院あわせて108名ほどいるので、大きく差をつけられてきた。共和党は、2000年から20年間でこれだけしか女性議員を輩出することができなかったのだ。

1900-1949年:上院議員2名/下院議員17名
1950-1999年:上院議員6名/下院議員51名
2000-現在 :上院議員9名/下院議員58名
( 共和党上下院議員の女性議員数の推移をこれで確認した)

1920年に米女性が合衆国憲法修正第19条により参政権を獲得してから、 今年は100周年を迎えて女性連邦議員は過去最多の127人となった。女性両議員の多くは民主党議員だ。南北戦争で敗れた民主党が勢力を巻き返すキッカケとなったのが女性の取り込みだ。これで民主党が息を吹き返したといっても過言ではないのだ。1920年に参政権を得てから、民主党は何名か女性議員を誕生させている。一方で、共和党の女性上院議員が初めて当選したのは1938年。参政権を得てから18年後であり、女性票や女性議員の候補者をみつけるのに遅れをとった。

共和党が、2020年に30名弱の女性議員を誕生させたことは、間違いなく 息を吹き返すキッカケになるだろう。どう考えても白人人口数が少なる中でジリ貧だったわけなのだから。
そう考えると”colored”の女性候補者が多数でてくるのはまだ時間がかかるかもしれない。キンバリー・クラシックというアフリカ系アメリカ人下院議員候補者がでてきた時もこれはすごいことが起きると予感したが、まだ ”colored” が増えるには時間がかかりそうだ。ミシガン州上院候補のブラックであるジェイムスも僅差で敗退した。まだ時間がかかるのかもしれないが、2022年の中間選挙、2024年の総選挙には共和党の女性候補者に注目したいところだ。

残念ながら落選したのですが、キンバリー・クラシック下院議員候補についても書いてますのでよかったら。