議会の交渉は、難航しています。というよりも、話し合いさえ再開していない。休会中なので多くの議員は地元に戻っています。上下院議員は、Labor Day の9/7(月)を終えて、ワシントンに戻ってくる予定です。尚、ペロシ下院議長は、米郵政公社(USPS)財政支援の法案投票のために8/22(土)に投票予定をスケジュールしています。
さて、交渉妥結が目的だといわれた8/8(土)に行ったトランプ大統領による大統領令。民主党からは猛反発。共和党議員からも好感される行動ではありませんでした。トランプ大統領の助言役でもあり味方でもある共和党重鎮の一人、グラム上院議員でさえ、肯定しつつも「議員立法するのが望ましい」といった発言をしています。
もはやこの大統領令が話題にならなくなっている状況ですが、大統領令に基づうて失業給付上乗せを申し込む州が次々に出てきた。合計で19州だ。
アリゾナ、コロラド、アイダホ、アイオワ、ルイジアナ、メリーランド、ミズーリ、モンタナ、ニューメキシコ、オクラホマ、ユタが既に承認された。失業給付金に上乗せ300ドル提供を承認した。
FEMAによれば、木曜日の時点で最終承認を待っている州が、アラバマ、アラスカ、アーカンソー、カリフォルニア、インディアナ、ミシガン、テキサス、ウェストバージニアと8州もある。
このうち民主党州は、コロラド、ニューメキシコ、カリフォルニア、ミシガンの4州のみ。ただし、ミシガン、ルイジアナ、モンタナは州知事は民主党だが、州議会は共和党が多数党。メリーランドは州知事が共和党で、州議会は民主党多数派。
申請した大半の州は、共和党が州知事、州議会ともにコントロールしている州。共和党州政府は、この大統領令による失業給付を好感もって受け止めたと考えてよいのだろう。
これらの申請した州の失業率が極めて高いかというと、そうでもない。むしろ州ランキングでは、よいほうが多いというのがアレな話だ。
肝心の上乗せ額であるが、どうやら州によって異なることになりそうだ。
今のところ、モンタナ州だけが州政府からさらに週100$上乗せして合計週400$が失業給付に上乗せされる予定。
どうやて州政府が週100$負担するというのは、通常で支払っている州プログラム下の失業給付で100$以上負担されていればよしとすることになったようだ。つまり、すでに支払っている州政府失業給付金+連邦政府上乗せ300$となる。
尚、州政府が週100$拠出することが条件なので、週100$未満しか失業給付を受け取っていない人は、この州政府上乗せが適応外となる。
ところが、こうなってきたとしても問題がでてくる。既に州政府が提供している失業給付プログラムが終了している人も出てきているのだ。
州プログラム下の失業給付の最長支払い期間というのが州によって異なる。たいていの州は26週だが、短い州では合計12週分しかもらえない。
20週以下の州は、ジョージア州(12週)、ハワイ州(14週)、ミズーリ州(13週)ネヴァダ州(12週)、フロリダ州(12週)ケンタッキー州(16週)
アリゾナ、ミネソタ、サウスダコタは20週だ。多くは南部州なのだ。
米国でロックダウンがはじまり失業保険申請数が急上昇したのが3月中旬からなので、3~4月に申請して失業し続けている人は既にきれている。4月第一週に失業給付受領開始した人達は、20週の人達も8月に終わり、26週の人でさえ9月いっぱいとなるだろう。
すでに最大失業給付期間が過ぎて受け取っていない人には、新たに失業給付100$/週を州政府が捻出しなくてはいけない。すでに財政難に陥っている州政府からすれば、そんなに簡単なことではないだろう。実際、フロリダ州などは検討しているが、やはりこれが重しになっているようだ。
That’s a problem because Florida benefits — which pay out a maximum of $275 a week — are capped at 12 weeks. Congress authorized additional payments to workers whose state benefits are exhausted but those are paid entirely out of federal aid.
https://www.politico.com/news/2020/08/20/florida-trump-jobless-aid-increase-399667
この失業給付上乗せ予算は、連邦政府が権限をもつ災害救援基金から捻出される。ハリケーンなどの緊急費用などにも使われている基金だ。約800億ドルほどが残っている中の440億ドルを、連邦政府からの失業給付金に利用するという。しかしながら、8/1時点の州プログラム下の失業保険継続申請者数は1520万人もいるのだ。この1520万人に300$支払ったら、45.6億ドルもかかる。
FEMAによると、8/1からさかのぼることが可能であり、3週間の給付は保証されている。しかし、それ以上は未定のようだ。やはり長期的な支援としては、議会の立法化がどうしても必要になるだろう。
The Blue Dog Coalition of moderate House Democrats is circulating a letter they plan to send to congressional leaders urging them to get back to the bargaining table on a new round of coronavirus relief legislation.
https://www.rollcall.com/2020/08/20/blue-dogs-call-for-restart-of-relief-negotiations/
下院民主党の穏健派ブルードッグ連合は、交渉再開して妥結しようとペロシに書簡を送ったようだ。とはいえ、このブルードッグ連合のうち、再選が難しくなっている人も多いみたいね。だからこその行動ともいえそう。
私自身は、失業保険上乗せを含めた新型コロナ追加経済対策については、選挙後の対応になるのではと考えています。理由はここに書きましたので、再掲しておきます。
参考資料
https://www.cnbc.com/2020/08/18/7-states-approved-to-offer-extra-300-weekly-unemployment-benefits.html
https://www.cnbc.com/2020/08/20/will-it-be-an-extra-300-or-400-unemployment-benefit-it-depends.html
https://www.cnbc.com/2020/08/10/extra-unemployment-could-be-300-a-week-and-you-may-not-qualify.html
https://www.politico.com/news/2020/08/20/florida-trump-jobless-aid-increase-399667