共和党上院内ティーパーティ議員がコロナ救済法案に反対

本日もこの表をつかって更新。ムニューシン財務長官は、おおむね合意したとあるが、それは共和党幹部とホワイトハウスが合意しただけ。
共和党内部での合意はとれていないし、民主党とは話し合いさえされていない。
ムニューシン財務長官が、給与税減税が含まれていないことを認めたみたいね。
一番重要な現金給付、失業保険週600$継続の有無は結論でずに終わった。

共和党案民主党案
1現金給付 年収4万ドル以下に
1人$1200 給付
1人$1200
世帯$6,000 上限
2失業保険週$600増額失業保険週$100に減額$600増額を2021年1月まで継続
3学校への支援$1050億政権で合意)$1750億
4給与保護プログラム(PPP)申請可能な企業を再設定
・従業員300人以下に制限
・収入上限を設ける
同じ条件で
年内継続
5 COVID-19テストや防護服など費用支援 COVID-19テストや防護服 などの経費50%までを給与税控除 不明
6 COVID-19
テストキット費用
$160億 (政権で合意) 不明

まずは、新型コロナウイルス対策法案第五段のスケジュール感。
共和党上院議長代理であるチャック・グラスリー議員は「月曜まで出てこない」と発言し、歳出委員会委員長シェルビー議員も「月曜になるかもしれないし、今日になるかもしれない」なんて発言しているから、まあ来週になるだろう。
初回提案内容まで来週にならないと出てこないなんて、ひどい状況だと憤っている議員も多いみたいね。

さて、共和党上院内部が混乱していてまとまっていないと連日書いてきたが、共和党上院内部のティー・パーティー議員が新型コロナ救済目的の財政支出に反対の立場を強めてきた。

テッド・クルーズ(テキサス州)とランド・ポール議員(ケンタッキー州)がティー・パーティー団体(Tea Party Patriots)と結びついているのは有名な話。マルコ・ルビオ議員(フロリダ州)もそう。更に、ロン・ジョンソン(ウィスコンシン州)、マイク・リー(ユタ州)、パット・トゥーミー(ペンシルヴァニア州)、ジョン・コーニン(テキサス州)までいたなんて!
ざっくり10人前後、ティー・パーティー団体によって支持されて当選した議員がいるみたいね。

”ティー・パーティー”とは、 小さな政府を掲げる憲法保守派を指す。 支持者は、強硬な財政タカ派であることが多い。 2009年頃から勢いづき、次々に共和党へ議員を送り出すようになる。WSJによると、 ティーパーティー運動は2009年、政府による金融機関の救済への抗議をきっかけに始まった。その後、オバマケアへの反対姿勢を掲げて勢いを増し、課税反対、政府への不信感の受け皿となっている。 この動きでできた団体が、 トランプ大統領支持にまわったことも、当選要因の一つとなっている。とはいえ、最初はテッド・クルーズ議員支持だったが、クルーズ議員が脱落して、トランプを支持するか微妙だったようだけど。

2010年にティー・パーティー・コーカスが和党内部でつくられたが、数年後から活動は鎮静化して2016年には完全になくなってしまっていたようだ。しかし、ティー・パーティー団体からの支持によって当選した議員は10数人ほどまだ残っている。彼らの考え方は、基本的に小さな政府で財政タカ派なのだ。

コーカスは消滅してしまったが、ティー・パーティ-の基本的な考えは変わらない。クルーズ議員、ランド・ポール議員は、これ以上の財政支出には反対なのだ。特に富の再分配につながる、現金給付や、過剰な失業給付には特に反対の立場をとることだろう。特に、テッド・クルーズ議員は、11月選挙でテキサス州が”青い色”になってしまうかもしれないと警告を発している。

Cruz and Paul are reviving traditional fiscal concerns of the Republican Party that have diminished under the Trump presidency; the administration paid little attention to rising deficits as the GOP passed costly tax cuts and made pricey spending deals with Democrats.
Trump — who four years ago campaigned on a pledge to eliminate the national debt in eight years — has otherwise not concerned himself much with the amount of red ink dripping from the government’s ledger.

https://www.washingtonpost.com/politics/worries-about-trump-and-a-bloodbath-at-the-polls-this-fall-stokes-republican-feuding-this-week/2020/07/22/820e038e-cc2a-11ea-b0e3-d55bda07d66a_story.html

現在の共和党上院は53議席なので、民主党が全員反対にまわり、共和党内部で数名でも反対にまわれば採決は失敗になる。仮にマコネル上院院内総務が無理やりにでも採決をした時どうなるか。おそらく通過しないだろう。

共和党指導部は、共和党内のティー・パーティー議員を説得にまわるか、民主党指導部と妥協するか、非常に難しい選択を迫られているのではなかろうか。

また、2020年4月に、ワシントン・ポストで「The tea party is back 」と書かれた記事がでてきている。財政支出が拡大してきたことで、ティー・パーティー・ムーブメントが活発化してきたのだ。まさに2008年~2010年のリーマンショック後の財政出動の時と酷似しているらしい。これがすぐに支持を増やすとは考えにくいが、2022年の連邦議員選挙、2024年の大統領選挙&連邦議員選挙には、共和党が再度「小さな政府を目指す党」となるのかもしれない。

参考資料
https://thehill.com/homenews/senate/508677-mnuchin-says-gop-has-fundamental-deal-on-1t-coronavirus-relief-bill
https://thehill.com/homenews/senate/508623-tea-party-rises-up-against-mcconnells-1-trillion-relief-plan
https://thehill.com/homenews/senate/508823-senate-gop-punts-coronavirus-package-to-next-week
https://www.politico.com/news/2020/07/23/republican-setback-pandemic-aid-380148
https://www.politico.com/news/2020/07/23/senate-gop-covid-relief-bill-unemployment-379754
https://www.washingtonpost.com/politics/worries-about-trump-and-a-bloodbath-at-the-polls-this-fall-stokes-republican-feuding-this-week/2020/07/22/820e038e-cc2a-11ea-b0e3-d55bda07d66a_story.html
https://jp.wsj.com/articles/SB12363839694362934444104582071161982477278
https://www.washingtonpost.com/opinions/the-tea-party-is-back–and-endangering-lives/2020/04/20/e7b30dec-8314-11ea-ae26-989cfce1c7c7_story.html