大統領選挙については、まだ株価を動かす段階に至っていないので、両候補の資金集めは注視しつつも、基本的には静観していました。
静観している大きな理由が、バイデン候補のランニングメイト(副大統領候補)が5/1発表予定だったのに、未だに発表されていないことが一点。上院議員のカマラ・ハリス議員が選ばれれば、黒人票がほぼ確実に流れるので、彼女を起用することが当選に一歩近づくと私は考えている。トランプ大統領は、カトリック票と黒人票に苦戦するのが目に見えている。そのため「Black Voices for Trump」とターゲットを絞ったキャンペーンを実施しているが、うまくいっているという記事を見たことはない。
もう一点が、新型コロナウイルス対策法案に民主党がぜひとも盛り込みたい郵送投票がどうなるかが重要だからだ。
トランプ大統領とバイデン大統領候補の選挙資金
3月末でバイデン大統領候補は、トランプ大統領に対して選挙資金が大きく後れをとっている。トランプ大統領の4分の1ほどしか資金が集まっていない。
そもそも民主党大統領候補が乱立していた頃からバイデン大統領候補は、資金集めがうまくいっていなかった。1月末の時点で、富豪のステイヤー候補、ブルームバーグ候補を除いたとしても、サンダース議員、ウォーレン議員、 ブティジェッジ候補の方が選挙資金が集まっていた。PACを受け付けないサンダース議員の2分の1しかバイデン候補は選挙資金が集まっていなかったのは大問題だったのだ。しかしながら、スーパーチューズデー直前になって、特にシリコン・バレーあたりの富豪から一気に選挙資金が集まってきたのだ。
このまま資金集めが成功するのかと思いきや、新型コロナウイルスの影響もあって流れが少し止まっているようだ。選挙資金が豊富にあっても、支持率が高くなるとは限らないというのは富豪のステイヤー候補とブルームバーグ候補で実感している。しかし、選挙資金がない候補者というのも、支持率が追い付かないのもまた事実なのだ。有権者を惹きつける魅力がなければ、いくらカネをつぎ込んでも無駄なのだ。
ところで、WSJの記事を読むと” The campaign has held nine “virtual” fundraisers via the Zoom platform”が気になる。バイデン候補は、昔ながらのテレビ広告・集会などの選挙手法で戦ってきて3月になってやっとデジタル広告にシフトしていった。同年代のサンダース議員の方が、AOC議員など若手議員の力を多分に借りてツイッター、インスタグラム、ビデオ配信などソーシャル広告のやり方が上手だった。となると、バイデン候補にとっては、有権者と直接触れ合えないのは非常にやりづらいのだろう。
トランプ大統領への寄付
トランプ・キャンペーンで2.4億ドルほど調達しているわけだが、そのうち65%は200ドル以下の個人献金で1.6億ドルも集めているのだ。大口献金だけかと思いきや、小口献金も集めていることは理解しておくべきなのであろう。
そして、SuperPACをつかった献金でも3000万ドルほど集めているのだ。もちろん、その中にティー・パーティー団体もいるので、結び付いているということは間違いない。
一方で、バイデン大統領候補は、トランプ・キャンペーンと真逆なのだ。大口献金で6割を占めて200$以下の個人献金は4割しかない。ただ、SuperPACは5000万ドルほど集められている。
つまり、何が大きな差をうんでいるかというと200ドル以下の小口献金の差が両者の資金集めの差になっているということが読み取れるのだ。
繰り返しになるが、 選挙資金が豊富にあっても、支持率が高くなるとは限らないと。2016年の大統領選挙では、資金調達はヒラリー・クリントン陣営が圧倒的な差を示した。資金があれば勝つとは限らないのは、ブルームバーグ民主党大統領候補がいい事例になってくれた。
しかし、選挙資金がない候補者というのも、支持率が追い付かないのもまた事実なのだ。バイデン大統領候補の資金調達がどうなっていくかは、目が離せない。
米大統領選の投票まで残り3週間を切った時点で、民主党候補ヒラリー・クリントン前国務長官が保有する現金は共和党のドナルド・トランプ氏の4倍となった。これは前例がないほど資金面でクリントン氏が有利になっていることを示し、トランプ氏がテレビ広告や地上戦で追いつくことは実質的に不可能になっている。
https://jp.wsj.com/articles/SB11740957682223234214304582401574170896802