昨日は、早ければ月曜日に合意と予測されていたが、民主党の要求を共和党は受け入れていないようだ。3000億ドルの給与保護プログラムPPP増額、1000億ドルの医療機関向け財政支援については共和党と民主党で合意しているようだ。しかし、共和党が拒んでいるのが300億ドルのCOVIT19の検査キット提供支援、地方政府への1500億ドルの財政支援だ。
驚くべきことに、民主党のシューマー上院議員が、連邦準備制度が小規模な地方政府のバックストップになればいいとか言い始めた。しかもそれをパウエル議長と電話で話したというもんだから驚く。確かに、FRBは 地方自治体流動性ファシリティー で人口100万人以上の都市、200以上のCOUNTYにしか財政支援していない。それは10の都市と、15のカウンティしか対応できていない。漏れている地方政府は数多くあるのである。
もしかしたら、財政支援ではなく、FRBが融資として地方政府に貸出することで対応する可能性もでてきた。
The two stumbling blocks are Democratic demands for a $30 billion national coronavirus testing program and $150 billion to fund state and local governments that have seen costs soar and revenues drop because of the coronavirus pandemic.
https://thehill.com/homenews/senate/493766-lawmakers-struggle-to-reach-deal-on-new-covid-relief-package
(中略)
One possible compromise on state rescue funds would be for the Federal Reserve to step in and backstop municipal loans for smaller governments, as it has for corporations now facing liquidity shortfalls.
Schumer on Monday announced that he spoke with Federal Reserve Chairman Jerome Powell to open up the Fed’s lending program to nonprofit organizations, cities and counties.
一方で、共和党内部でも異なる動きがでてきた。共和党のカシディ上院議員は、超党派で地方政府向けの5000億ドル支援を提案してきた。
米共和党のカシディ上院議員(ルイジアナ州)と民主党のメネンデス上院議員(ニュージャージー州)は20日、新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受ける州政府や地方自治体に対する5000億ドルの支援策を提案した。
https://jp.reuters.com/article/health-coronavirus-usa-local-idJPKBN2222YW
それでは、なぜここまで州政府、地方政府への財政支援が必要か。
まず、州政府の支出は、州によってバラつきはあるもののメディケイドが約3割を占めて、大きな負担になっていることがわかる。
今回のコロナウイルス検査キットについては連邦政府負担だが、コロナウイルスが陽性になったメディケイド加入者の医療負担は州が負担しなければならないのだ。州政府の財政を考えれば、低所得者層のメディケイド陽性者が増えれば増えるほど、負担が増えるのだ。一方で、NY州は低所得者層が特に陽性率が多いというデータもあるほどなので州政府としてはおさえたいのであろう。
残念ながら、地方政府の支出内訳のいい資料がなかったので、後日宿題としたい。
2018年度の支出は前年比で4.6%増えて2兆300億ドルに達し、17年度の前年比3.8%増と比べて高い増加率となっている。主な要因としては、連邦政府および州政府予算で賄われる低所得者向けの公的医療保険制度であるメディケイドが適用される人数が33州およびコロンビア特別区(首都ワシントンDC)で増えたことによる。メディケイド関連支出は18年度支出全体の29.7%を占め、次いで、初等中等教育の19.6%、高等教育の10.1%、交通インフラの8%、刑務所や拘置所の設置・運営の3.1%、公共サービスの1.3%と続く。公衆衛生、司法、経済開発、州警察、環境保護、失業保険等を含めたその他の支出は28.3%である。
https://www.keidanren.or.jp/journal/times/2019/0101_12.html
給与保護プログラムの問題
ハンバーガーチェーンのシェイク・シャックが、PPPで1000万ドルの融資を受け取っていたのにも関わらず、株式市場で資金調達して批判を浴びた。
従業員500人未満が中小企業とされるが、売上が1億ドルをこえるような上場企業が受け取っていたことが観測されて批判を浴びている。米民主党が、単にPPPに資金増額するのではなく、大手銀行ではなくコミュニティバンク、個人事業主などへの割り当てを主張するのももっともだ。
ブルームバーグが確認した規制当局への届け出によれば、売上高が1億ドルを超える上場企業十数社が、「給与保証プログラム(PPP)」の資金が底を突く前に融資を受け取った。議会では、同プログラムへの資金上積みで近く合意する可能性がある。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-04-20/Q937M1DWX2PS01?srnd=cojp-v2
共和党内部でも、この制度には問題があると指摘する議員もでてきた。フロリダ州選出のリック・スコット上院議員だ。給与保護プログラムなのに、シェイク・シャックや Potbelly 、Ruth’s Chris Steak House などの大手飲食チェーンが申請して受け取っているという状況だ。
Scott is also calling on Congress to “clarify” that PPP assistance should only be available to businesses that can “show a substantial reduction in revenue due to the Coronavirus.” Scott also wants Congress to specify that banks cannot add qualifying requirements for the PPP funds beyond what was included in last month’s $2.2 trillion bill.
https://thehill.com/homenews/senate/493663-gop-senator-millions-of-dollars-are-being-wasted-in-coronavirus-small