金曜日の終値。
週末、気になることについてまとめると
- トルコとシリア(背後にロシア)が衝突しはじめて、シリア難民がギリシャ国境まで押し寄せたが、ギリシャは催涙ガスなどでなんとしても入国阻止をする姿勢
- バイデン氏の得票率は49%で、2位のバーニー・サンダース上院議員の20%を大きく上回ってサウスカロライナ州で勝利。富豪のステイヤ-候補は撤退。
- 私がチェックした限りでは、アメリカ本土でカリフォルニア、シアトルだけでなく、テキサス州、ヴァージニア州、ニューヨークでもパニック買いが起きている。田舎州も検索してきたけど、出てこない。テキサス州でパニック買いがおきているのは意外。
- CDCが健常者がマスクつけても、ほぼ意味ないから買い占めるなと注意喚起しているがパニック買いが起こっているようだ。医療関係者にマスクが行き渡らないと危険な感じがしてならない。
- 米国は、韓国とイタリアでコロナウイルス感染が広がっている地域への渡航について、警戒レベルを「渡航中止」(レベル4)に引き上げた 。日本はまだレベル2
- イタリアとイランの感染者数増加に気をとられていたら、先進国のフランス、ドイツが感染者数100名を超えてきている。実は火種は欧州になる気もしている。なぜかというと、中国経済減退で基盤が弱っていた上に、中国人観光客激減、コロナウイルス蔓延、シリア難民が押し寄せるという最悪な事態がすべて重なっているのだ。
さて、利下げが期待されているのですが、冷静に考えてみましょう。
現在のFF金利は 150-175 (Current) レンジです。
3月18日は100-125 のレンジが100%予測
4月29日は 75-100 のレンジが70%予測。
7月29日は 50-75 が34%予測。
もうFF金利利下げは0~1.75%しかないわけですよ。
できるだけレポ市場で調達したい金融機関ですが、最後の貸し手として存在しているのが各地区連銀なわけで、その地区連銀の利率も以下です。2.25%しかないんですよ、ディスカウントレートは。
いわゆる大手銀行はPrimary Creditを適用で、それ以外についてはセカンダリーになると考えてよいです。ちなみに、地区連銀からお金を借りる場合の担保についてのレートはこの表になっています。国債、社債、各種ローン債券、によって評価額が変わるので貸付余裕額が変わるはずです。詳しく説明できるほど理解できてませんが、ポールソン回顧録、ガイトナー回顧録を読んでなんとなくは理解できてきました。
で、リーマンショックの時はどうだったかというと、2006年6月時点で5.25%もFF政策金利があったわけですよ。ディスカウントレートは5.75%あったわけです。そこから0%近くまで下落させたわけだから、そりゃ5%の幅もあれば効果的でしょう。それが今回の下げ幅は2%しかないんですよ。それで収束すればいいかもしれないですが、おさまらなかった時が恐怖ですね( ゚Д゚)
尚、コロナウイルスが中国のみだと思われていたこと、2月上旬にパウエル議長は議会証言で、 次のリセッション(景気後退)と闘う弾薬がないかもしれないとほぼ認めています。議会に財政赤字を抑制して、財政出動に備えられるように要請までしています。今思うと、絶妙なタイミングでしたが、時既に遅しという感じもしますが。尚、リーマンショックの2007年での財政出動ですが、景気底座支えに1500億ドルも費やしています。ファニーメイ、フレディマックの救済のための財政出動とは別です。つまり、現在の2.5億ドルだの8億ドルだのという議論は、まだまだ危機を小さく見積もっているということだと思います。
パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、米金融当局には次のリセッション(景気後退)と闘う弾薬がないかもしれないとほぼ認め、議会に支援の用意を促した。 議長は11日の下院金融サービス委員会での証言で、現在の低金利は「景気が弱くなった時に財政政策による支援が重要になることを意味する」と語った。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-02-12/Q5KXYP6JIJUX01?srnd=cojp-v2
さて、今回の暴落をふまえて、読むべき本の優先順位を変えました。
バーナンキの回顧録も読もうと思っていますが、これを先に読んで正解でした。ポールソン回顧録と異なり、基本的な用語に注釈がついているので、こちらの方がお勧めです。ただし、めちゃ分厚いです。覚悟してください。
ティモシー・ガイトナー元財務長官の経歴はおおまかには、米財務省→IMF→NY連銀総裁→オバマ政権での財務長官です。
驚愕したのは、日本バブル崩壊の時に、バブル崩壊を眺めながら日本市場をこじあけさせた担当の一人であり、メキシコ危機も担当した経験があり、財務省ではアジア担当だったがゆえにアジア通貨危機では最前線で取り組んだ経歴の持ち主です。
結果論ではあるのですが、信用危機の現場第一人者のような存在だった人です。まさかそんな人がリーマンショックで最前線に立つリーダーの一人だったことは、不幸中の幸いだったと感じてならないです。バーナンキ元FRB議長も、大恐慌の経済専門家でありすしね。そこへまた、ポールソン財務長官でしたから、彼は就任当初から、党派を超えて議会との連携、対話にとにかく注力してきた(少なくとも本人の自伝からは)ので、政権、連銀、議会と連携をとれたのが功を奏したのでしょう。
リーマンショックで何が起こっていたか、その時の政権と議会の動向はどうだったかをトレースしているうちに一つだけ、コロナショックとの共通点が見つかりました。それは、危機と大統領選挙、連邦議会選挙が平行していることです。
これは非常に厄介な問題です。議員は、支持基盤からの批判を避けたいし、なんとしても議会で多数派を占めようとするし、大統領選挙でも自分の党が勝ってほしいので、財政出動を極力控えようとします。危機が大火事だと認識しないまで財政出動もしないし、財務省や行政府に権限も与えないように動くようです。大統領を含め、行政府に大きな権限はありません。財政出動を伴うなら、なおさら議会と対話して連携しなくてはなりません。
オバマ大統領が誕生したのもありえないと言われたそうですが、もしかしたら、リーマンショックの影響もあった気がしてきました。誰か分析していそうですね。だとすると、サンダース大統領誕生があったとしても、なんら不思議ではないでしょう。