10/30-11/3米議会:ジョンソン下院議長が就任!ジョンソン下院議長が掲げる保守の7定義

下院議会は10/30-31は本議会休会で、11/1(水)から本議会開催予定。上院議会は月曜日から1週間開催。今週はイスラエルの単独支援法案を進めることが主な議題になりそうだ。

下院はイスラエルへの単独支援法案を進める方針

ジョンソン下院議長はイスラエルだけへの単独支援法案を進める方針を示した。これはバイデン政権がウクライナ・イスラエル・インド太平洋の安全保障・国境保全など包括的な$1000億の支援(うちウクライナ支援が$600億)要請に反するということだ。今のところジョンソン下院議長はイスラエル支援の金額について言及していないのでバイデン政権が要求したイスラエル支援として$140億前後になると思われる。また、 マッコール下院外交委員長も今週中に提出される可能性を示唆した。

“We’re going to move a stand-alone Israel funding bill this week in the House. I know our colleagues, our Republican colleagues in the Senate, have a similar measure,” Johnson said in an interview on Fox News’s “Sunday Morning Futures.”

https://thehill.com/homenews/house/4282168-johnson-suggests-israel-only-aid-bill-could-come-to-house-floor-this-week/

ジョンソン下院議員自身は、ウクライナへの$400億支援策にはNOとしたし、9月末に可決したウクライナへの$3億の支援を行う単独法案にさえNOを投じた。金額の問題でもないことがわかる。 この時、 賛成311 対 反対117で、共和党を中心に117票も反対がでている。 ジョンソン下院議長自身の方針だけでなく、共和党を分裂される法案なのでまだ時間が必要ということもあるだろう。とはいえ、バイデン政権はもう資金が尽きるとアラートを出しているが、下院議会は動きそうもない。

尚、Weeklyスケジュールを確認する限り以下の法案も近日中に採決がくると思われる。イスラエル支援パッケージ法案とは別になるか、包括的に含まれるかはまだ未定。
H.R. 340: Hamas International Financing Prevention Act
→ ハマス、パレスチナ・イスラム聖戦、およびその関連団体や後継団体を対象とした金融制裁を課す法案。指定された対象者・団体への財産差し押さえ・安全保障上の理由で指定された軍需関連の輸出禁止などを含む。
H. Res. 559 – Declaring it is the policy of the United States that a nuclear Iran is unacceptable
→イランの核兵器保有を阻止するために必要なあらゆる手段を講じ、パートナーや同盟国にも同様の措置を依頼する決議案

下院議会、12本中5本目の年度予算 (H.R. 4394) を10/26に可決

年度予算は12本の法案をそれぞれ可決した上で、最終的に年度予算として1つにまとめて可決する。やっと5本目のFiscal Year 2024 Energy and Water Development 歳出法案(H.R. 4394)を可決した。

エネルギーと水資源に関する年度予算だが、注目はインフレ削減法から55億8000万ドルを削減が盛り込まれたことだ。特に、
-家庭電化プロジェクト( 電化製品の買い替え) に対するリベート$45億削減
-州と地方自治体が 温室効果ガスの排出が正味ゼロになる最新建築エネルギー基準を導入するための$10億削減
→家庭電化プロジェクトへの設置訓練に$2億
他にも、以下が盛り込まれた。
・バイデン政権の水域規則(WOTUS)を廃止し、連邦政府の管轄下になかった水路管理を州の管轄下におく
・バイデン政権が進めるDiversity, Equity, and Inclusion (DEI)に関する行政命令の廃止
参照資料:https://www.gop.gov/news/documentsingle.aspx?DocumentID=631

尚、上院議員は下院議会の予算案に反対を示しているが本議会では1本も可決できていない。

11/17に期限切れとなるつなぎ予算への対応

ジョンソン下院議長は、先月末に可決したつなぎ予算に反対を示していた。しかしながら、11/17に期限がきれるつなぎ予算への対応は、さらなるつなぎ予算に前向きな方針を示している。共和党内の議長選の時に、年度予算のスケジュールについては方針を示している。それをみる限りは、11月中にはあと4つの年度予算に関する法案を可決させる野心的なスケジュールを示している。特に重要となる国防権限法は12月に可決させる方針を示した。ただ、1~4月に可決させるといった漠然としたスケジュールしか示していない。最新の発言では、1/15か4/15までのつなぎ予算という発言をしている(引用元:The Hill

この方針をすでに示しているということは、つなぎ予算への大きな反対は抑えられそうなので、政府閉鎖はないだろう。今のところフリーダムコーカスもつなぎ予算に反対している気配はない。

しかしながら、何度か書いているように今年度は Fiscal responsibility Act of 2023で決められた通り、「1月1日までに制定されない場合、裁量支出は現在の2023年度より強制的に1%削減」が待っている。
ちなみに、 CRFBの詳細を見る限りは、OMB(行政管理予算局)が削減可能な範囲を算出して 4月30日までに適応をうけることになる(引用元:CRFB

ジョンソン下院議長は“There may be some conditions put on that, perhaps that 1 percent spending cut across the board instead of becoming effective in April,” なんて発言している(引用元:The Hill)。非国防費・国防費の1%削減を容認しているとしか思えないが…。

Fiscal responsibility Act of 2023で制約をうける2024年予算
①国防費は2023年度の水準より△約3%、$280億多い$8863億に制限。
(3%というのは、米インフレ率の約半分に相当するので実質減額となる)
②非国防費(退役軍人給付は維持)は2023年度の水準より▼約9%、$700億少ない$7037億に制限
[予算編成に関して注意点]
注意1:2024年度と2025年度の年度予算法案がそれぞれの会計年度の1月1日までに制定されない場合、裁量支出は現在の2023年度より強制的に1%削減となる(PAYGO原則の復活)。つなぎ予算で可決することは認めていない。
つまり、
注意2:特定の部分で1%引き下げではなく、非国防費・国防費ともに削減
1985 年均衡予算法(Balanced Budget and Emergency Deficit Control Act of 1985) に基づきOMB(行政管理予算局)が削減可能な範囲を算出することになる。
参照元:『米議会6/5-9:FISCAL RESPONSIBILITY ACTの整理と政治的勝者・敗者 』https://ni225-topix.com/?p=9891
Automatic spending cuts would threaten infrastructure funding

マイク・ジョンソン下院議長について

下院議長・上院院内総務は、ともに本議会でどの法案を取り上げるかを決定できる権限をもつ。もちろん、法案を決定するための優先順位・スケジュールも決めることができる。要は米国の歳入歳出や、全国民に影響を与える法案を決める重要な役割なのだ。

「MAGA・MIKE」のような表現でリベラル系メディアで書かれているし、それを主軸に語る人が多いのだが、そこではなくきちんと彼のホームページなりで主張を確認したほうがいい。確かにバイデン大統領2020年大統領選挙での当選を覆そうとする訴訟の準備書面を率先して提出したし、バイデン大統領勝利の承認投票でも否決している。トランプ前大統領を支持していたし、忠誠者といわれればそうかもしれない。ただ、それはあくまで女尊下院議長の1つの側面だ。それがすべてではない。

尚、彼はラッセル・カークの Ten Conservative Principles と同様に、 7 Core Principles of Conservatism を掲げている。要は、米国の保守とは何かをジョンソン下院議長はきちんと定義しているのだ。これは彼のイシューとして掲げているものと一致する。重要なエッセンスだと思うことを抜粋する。なお、彼はキリスト教福音派です。

  1. Individual Freedom
    ” 神から与えられた個人の自由は政府の介入から守られる” と明確に書いているし、その信念によって米国が建国された
  2. Limited Government
    政府の規模と範囲が限定されている方がより効率的で腐敗が少ないと、米国建国の父たちが信じたように我々もそれを信じている 。小さい政府ではありません。規模と範囲を定義する Limited が重要だと考えています。
  3. The Rule of Law
    これは法の支配のこと。権力を法によってしばるという話。
  4. Peace through Strength
    米国は地上最強の軍事大国であり続けなければならない
  5. Fiscal Responsibility
    要は Limited Government の考えに基づき、政府に好き勝手にお金を使わせてはいけないと。財政規律・財政緊縮・減税を重んじるという話ね。
  6. Free Markets
    政府は自由を追及し繫栄する人にとって、頻繁に障害になる。自由市場と自由貿易協定は、事業家にアメリカンドリームを追求するLibertyを与える
  7. Human Dignity
    すべての人は平等に造られ、神に似せて造られたのであるから、すべての人間の生命には計り知れない尊厳と価値がある。政府は、生命を保護し、健全な社会の主要な制度として結婚と家族を尊重する。
    →キリスト教の価値観に基づいて中絶反対・同性婚反対

要は、キリスト教の価値観と、米国建国の理念を重要視する姿勢なのですよ。また、権力を分散した Decentralize (権力分散)というのも、重要なテーマですよね。下院議長就任時も、下院議長に権力を集中するのではなく、 Decentralize (権力分散) を宣言していました。


ジョンソン議長はPro-Israel

ツイッターにはわかりやすいくらい、親イスラエルとわかる写真がたくさん掲載されていますね。ジョンソン下院議長は、政治団体としてはAIPAC(アメリカ・イスラエル公共問題委員会)から最も献金をうけていますしね。
献金の話だけでなく、クリスチャンの価値観に基づいた支持ということだと私は認識しています。