週末の11月11日(10日に振替)はVeterans Dayで祝日のため、上院議会は3連休の予定。Thanksgivingがある23日がある1週間は休会。
下院議会は未だ混乱が続いているのか、直近のスケジュールのみ公表されていて6、7日は本議会は開催予定。それ以降は未定。
11/17のつなぎ予算期限切れにむけた動きと2024年度予算の進捗
11/17のつなぎ予算期限切れを控え、ジョンソン下院議長は新たにつなぎ予算を可決する方針を示している(引用元:Bloomberg)
ただし、“laddered CR”という新たなつなぎ予算の進め方を打ち出しているのは注意点だ。 12本の予算法案に対して、一括で進めないで1つずつ期限を設けて進めていくのだ(引用元:Roll call /usatoday)
もし、これで進めるとなると、すべての政府閉鎖ではなく、一部の行政機関が政府閉鎖となることになる。確かにこれで進めたほうが、共和党にとって重要な行政機関の年度予算は継続することができるだろう。
また、ジョンソン下院議長は 11/1に上院共和党の昼食会で上院共和党議員を前に演説を実施。ジョンソン下院議長はほぼ無名の存在だったので、これで初めて彼を知る議員も多数いた。なお、上院共和党からは4/15のつなぎ予算に対してはよい反応を得られなかったので、1/15で進める可能性が高い。しかも上院議員を目の前に Fiscal responsibility Act of 2023に基づき、年末までに予算が決まらないと国防費・非国防費ともに1%削減になることまで話したようだ。ジョンソン下院議長は年度予算の前年から1%削減を受け入れていることがわかる。これは民主党には決して受け入れられない話だ(引用元:Politico)
年度予算については、下院議会は12本のパッケージ中7本を先週可決できたため想定より進捗がいい(引用元:the Hill)
ただし、それとはまったく違う年度予算を上院は3本可決しており、下院と上院で調整が困難になりそうだ(引用元:the hill)
11/2が初会合となった共和党のジョンソン下院議長と民主党のシューマー上院院内院内。シューマー上院院内総務は、超党派で取り組むように促したようだが、ジョンソン下院議長は全く超党派で進める気がなく、そもそも聞く耳をもたなかったようだ。シューマー上院院内総務は、大きなディールも小さなディールも今まで数多く結果をだしてきているようなディールメーカーであり交渉上手だが、ジョンソン下院議長はそうする気はないようだ。もっとも、ジョンソン下院議長自身がそうというより、今の下院共和党というのは、超党派で取り組もうとする姿勢がないということだろう(引用元:Politico)
ジョンソン下院議長は自身を “a Bible-believing Christian”と明確に定義している。世論調査よりも聖書に書いてある世界観を信じると明確に回答している。これほど世論を置き去りにして、聖書をベースに進めようとする議員も少数ではあるが、LA州の代表議員として選ばれ、下院共和党議員から代表に選ばれたのだからそういうことなのだろう。ちなみに、LA州の議員から下院議長が選出されるのは歴史上はじめてだそうだ(引用元:the Hill)
先週の下院の動き
ジョンソン下院議長が就任してから、法案投票が進んだので振り返り。
これらは、今のところ上院で可決できるかは未定
①イスラエルへの$143億の支援
バイデン大統領・民主党の上院シューマー院内総務は、イスラエル・ウクライナへ・インド太平洋支援とあわせて$1060億の支援法案を進める方針を示していたが、下院はウクライナとは切り離した法案を可決。
【$143億の内訳】国防費が$106億で大半を占める
・$40億はイスラエル「アイアンドーム」や「デイビッズ・スリング」として知られるミサイル防衛システムを購入するために利用できる
・$13億はイスラエルが短距離ロケットに対抗するための「アイアンビーム」システムの開発
・バイデン政権は人道支援の費用を計上していたが、人道支援は下院共和党の法案には含まれず
・イスラエルへの支援$143億は、インフレ削減法で増額したIRS(米歳入庁)の予算を削減することでオフセットにする
ただし、CBO(議会予算局)の試算では、IRSへの予算削減はむしろ赤字を10年間で$125億増加させると警告している(引用元:Roll Call)
尚、バイデン大統領は拒否権を発動すると宣言しているし、シューマー上院院内総務も上院ではこの法案は取り上げないと宣言した。
②年度予算の7本目を可決。 次年度予算をEPA(米環境保護庁)40%削減・内務省4.5%削減
213-203 で下院では可決した。この予算額は、過去30年間で最も少ない予算で約$62億になる。もともとEPAは、1963年大気浄化法( Clean Air Act)によって設立された機関だが、オバマ政権・バイデン政権と役割を大きくもたせてきた。もはやバイデン政権では、Environmental Justiceを積極的にする行政機関となってしまっていて、Justiceを嫌う共和党からは”Woke”として攻撃されていた。
何度か書いているが、”Woke”は決して「意識高い系」ではない。要は差別是正・公平を求めるJusticeに対する反発なのだ。
・EPAが全米の発電所に対する規則を施行するために予算がつかないように
・内務省のうち国立公園局は13%の削減と大きな削減
③議会年度予算におけるDiversity, Equity and Inclusionプログラムを禁止
年度予算の中で最も小さい予算ではあるが、議会の予算も年度予算にくみこまれている。前年度の水準から4.7%、2億6290万ドルの減少に相当し、上院も含めると$67億になる見込み。議事堂警察は、今年度より6%増の$7億の資金を得て、議会図書館、議会予算局などはそれぞれ2%の小幅増に留まる。
④イラン産原油への強い制裁
342対69で可決されたStop Harboring Iranian Petroleum (SHIP)法案は、米国の制裁に違反してイランから輸出された原油を外国の港湾や精製所に措置を課す法案を下院は可決した(引用元:ロイター)
ただし、米大統領に多くの裁量を認めているため、どれだけ効果があるかはバイデン政権次第。イランの原油輸出量は日量約150万バレルで4年ぶりの高水準であり、8割が中国向けといわれている。米中トップ会談を控えて、バイデン政権がどうでるか注目だ。