3/6-11米議会/共和党保守はCPACとClub for Growthで分裂

上院議会の本会議開催は3/6ー9、下院議会は3/7-10とそれぞれ4日間の開催予定
下院の議題はこちら

銀行委員会でのパウエル議会証言

118会期になってはじめての上下院銀行委員会(正式名称は上院と下院で異なるが、簡略的に銀行委員会と書くことにする)でのパウエル議長の議会証言だ。
3/7が上院で、3/8が下院での議会証言。どちらも東部標準時間AM10時~。
下院は共和党がPatrick McHenryが委員長。最近のツイートをみていると債務上限についても質問がでてくるかもなあ。
上院の銀行委員会委員長は117会期と変わらずブラウン委員長(OH州選出)。Pro-Unionで銀行委員会において social justiceが政策の中心。
一方で、財政規律派として名高かったPA州トゥーミー議員が引退して、スコット議員がランキングメンバー(共和党でトップ)となった。スコット議員は2024年か2028年大統領選出馬もささやかれており、活躍が期待される。注目されているパウエル議会証言でどういう質問をするか楽しみだ。

https://www.banking.senate.gov/

話はそれるが、スコット議員は、民主党が求めるFairやJusticeに対して、政府の権限を拡大して解決させるというより、政府の権限を拡大しない方向で解決を求めていく印象が強い。共和党上院で唯一のアフリカ系アメリカ人ということもあり、超党派の警察改革などではリーダーシップを発揮して取り組んだ(結果的に可決できなかったが)。また、彼自身、シングルマザーで恵まれた経済環境ではなかったが Charleston Southern University (SC州バプテスト私大)を卒業、スモールビジネスを成功させて地元の議会から上院議員まで階段を歩んできた。
ある意味、民主党が描くアフリカ系アメリカ人の成功パターンの一つではあるが、彼が FairやJustice にいかなかったというのは興味深い。こういう議員が目立ってくると、民主党は FairやJusticeだの主張しにくくなるだろうなあ。


CPAC 2023は盛り上がりに欠けた?

米国内の Conservative な政治家・活動家が集まるCPAC(Conservative Political Action Conference)が3/1~3/4の日程で開催された。

トランプ前大統領の発言が注目される一方で、注目を浴びたのはデサンティスFL州知事、ペンス元副大統領、マッカーシー下院議長、共和党全国委員会の Ronna McDaniel、VA州ヤンキン知事などが出席していないことだ。また、 マコネル上院院内総務も参加していなかった。デサンティスFL州知事なんかは Freedom Caucauの中心人物の一人なので2021年、2022年とスピーチしていて今年はしないということは明らかに何かあるとみていい。

RollCallの報道でも”Crowds were noticeably smaller”とはっきり書かれていて、集客数もどうやら少なかったようだ。

それにしても、トランプ前大統領は「ウクライナ戦争の終結と米国の対外援助の削減」と宣言したようだし「 world war Ⅲ」予言もしてしまったようだ。共和党議員の最大コーカスであるRepublican Study Committeeはウクライナ支援を継続したいと望んでいるわけであり、この発言は共和党議員の半数以上から支持が得られないだろうなあと。
ただでさえメガドナーから資金が得られなくて苦しいだろうに、この発言はさらに首をしめている気がするなあ。

で、 デサンティスFL州知事・ペンス元副大統領はCPACを欠席する一方で、ほぼ同日に開催されていた別の「Club for Growth」というconservative groupに参加して演説をしていた。 「Club for Growth」 はトランプ前大統領を招待していない。

で、この 「Club for Growth」 だが、 pro-growth と強調して書いているくらいだから経済成長を最優先としているということだろう。そのための limited government だし、 economic freedomということだろう。
Freedom CaucauやLibertyを重んじるメンバーもCPACと Club for Growth の2つでゆるやかに分かれていくのかもしれない。共和党下院の最大コーカスであるRepublican Study Committee議長のJim Banksも 「Club for Growth」 から支持されているので、 Republican Study Committeeと元CPACメンバーでトランプ前大統領から離れた人たちが団結していくと共和党内では最も大きい勢力の一つになるかもしれないなあと。

The Club for Growth is a national network of over 500,000 pro-growth, limited government Americans who share in the belief that prosperity and opportunity come from economic freedom.
The Club for Growth is the leading free-enterprise advocacy group in the nation. We win tough battles and we have an enormous influence on economic policy.

Some of the Club’s top policy goals include:
・Reducing income tax rates and repealing the death tax
・Replacing the current tax code with a fair/flat tax
・The full repeal of ObamaCare and the end of abusive lawsuits through ・medical malpractice/tort reform
・Reducing the size and scope of the federal government
・Cutting government spending and passing a Balanced Budget
・Amendment to the United States Constitution
・Regulatory reform and deregulation
・Expanding school choice

https://www.clubforgrowth.org/about/what-we-do/

ブティジェッジ米運輸長官への批判が民主党内でも強まる

OH州の列車事故での対応が遅かったことで共和党から批判があるのはもちろんだが、民主党内でも批判が高まっている。

たまにエリート出身のブティジェッジ米運輸長官が大統領として適しているのではないか?という話をいただくが、現運輸長官が決定的に欠けるところは集団票が取れていないことにある。さらにゲイと公言しているので、半数以上のカトリック信仰者やアフリカ系アメリカ人も支持がとれないということもあるだろう。米国内のカトリック信者も半分くらいが LGBTQを容認しているが、半分くらいは容認していない。ローマ法王はつい最近の発言でも「 homosexuality  はcrime(刑罰)ではないが、カトリックの教えには背いている」と発言している(引用元:AP通信

バイデン大統領やサンダース議員などは、労働組合からの支持がある。ウォーレン議員は労働組合の中でも教員組合団体からの支持がある。
ハリス副大統領も、正直、こういった支持団体がLGBTQ団体くらいで民主党で大きな支持団体である労働組合と環境団体がとれていない。それではいけないと気づいたのか、副大統領就任してからハリス副大統領はやたらと労働組合に顔をだすようになった。

それだけではなく、プログレッシブな団体からも評判が悪い。これも致命的だ。
今回のOH州の列車事故については素早く動くことで環境保護団体からも支持を取り付けられたかもしれないがそのチャンスを逃した。ブティジェッジ米運輸長官も2024年大統領選候補者ではあったが、これでは無理だろう。

Progressives, who had taken a dim view of Buttigieg during the 2020 primary and were critical of his background as a McKinsey consultant when he was nominated for the post, have also suggested he and his department are too close to powerful transportation interests.
Additionally, the Progressive Change Campaign Committee tore into Buttigieg for “being silent for 10 days” following the Ohio train derailment.

https://thehill.com/homenews/administration/3883037-transportation-post-has-become-political-nightmare-for-buttigieg/