ワシントン誕生記念日をはさみ1週間の休会をおえて、米議員はワシントンに戻ってくる。下院は月曜日から投票予定が入っているが、上院は連邦裁判所の判事承認業務くらい。下院の投票予定についてはこちらを参照ください。
少し注目しておきたいのが、上院の連邦裁判所の判事承認数だ。民主党シューマー多数党院内総務は、戦略的に判事承認をものすごい勢いで進めている。バイデン大統領が指名した連邦裁判所の判事は先日100人を超えた。これはトランプ大統領、オバマ大統領以来のことでブッシュ(子)大統領と並ぶ承認数になった。これはバイデン大統領の指名も大事だが、何よりも上院院内総務が優先的にこの判事承認を進めないと実現できないことだ。
元補佐官のロン・クレイン氏によると「今期末までに変革的な200人の裁判官を任命できる見込み」と発言している(引用元:NBC)
まあそれでも最高裁判所の一つ前の控訴裁判所は13地区に1つあるが、5つの裁判所(第5、第8、第11巡回区)では、現役裁判官のうち共和党の任命者が過半数を占めており、いずれもすぐに変わることのない状況だ。
現在の最高裁の判決をみればわかることではあるが、自党の理念を共有している判事を選ぶことで、裁判所で有利な判決を導ける。
それにしても興味深いのは、ある州の上院議員が連邦地方裁判所の裁判官指名を阻止できる「Blue slip」という規範があることだ。”Blue slips, being a norm and not a rule, could be scrapped without a Senate vote. One day, McConnell simply stopped deferring to this tradition. ”
上院議員が共和党なら、自分の地区の連邦地方裁判所でプログレッシブな裁判官が任命されようとしたら拒否権を行使できるということだ。上院議員は自分の州の代表なので、司法の一部にも介入できる。
上院議会内のRuleではないので、投票なしに上院院内総務が辞めるといえば辞められるものだ(引用元:The Hill)
最高裁の審理が開始
さて、先日はセクション230の行方がきになる2つの裁判の審理が行われたが、最高裁判事の発言を確認している限りはセクション230(通信品位法203条)の見直しや弱体化させる方向性にはいかない感じだ(引用元:Bloomberg)
これはハイテク業界にとって朗報だろう。
今週はバイデン政権(というよりもプログレッシブコーカス)の主要政策の一つである「学生ローン債務キャンセル」の裁判の審理が開始する。
個人的には、バイデン政権が負けると思ってます。バイデン政権は、 the Higher Education Relief Opportunities for Students (HEROES) Act を根拠とした行政として発令しているが、5月に緊急事態宣言も解除されるなら無理じゃないだろうか。
バイデン政権、クレジットカード延滞手数料の引き下げ案を発表
米消費者金融保護局(CFPB)がまとめた規制案では、カードの支払いが延滞した場合の手数料を現行の最大41ドル(約5300円)から8ドルに引き下げるよう求める。現行水準は多くの場合、カード発行会社が延滞金を回収するコストをはるかに上回っているという。意見を公募した上で、来年までの導入を目指す。
https://jp.wsj.com/articles/biden-administration-proposes-rule-to-lower-credit-card-late-fees-11675286813
業界関係者は、こうした規制は逆効果で、支払い延滞を思いとどまらせるほど手数料が高くなければ延滞の増加につながると指摘した。
立法するなら話は別だが、立法しないで進めようとしたらどう考えてもBill of Rightsの侵害になるので共和党の司法長官から訴訟にあうのではなかろうか。
まあ今はパブリックコメント募集中なので、共和党州司法長官がどういったコメントするかだろうなあ。バイデン政権は2024年に実現したい意向のようだがけど、2024年に規則発表→共和党州の司法長官から訴訟→一時停止となりそうな予感がする。2025年五共和党の大統領になったら即停止じゃないですか。まあバイデン大統領が再選したとしても、何年もかけて裁判で決着させることになるのではないでしょうか。
米議会もJunk Fee Protection Act を考えているようですが、下院共和党が支配する現在では下院では少なくとも可決が難しいのではないかなあ。