いよいよ2022年中間選挙投票日/再集計が入ると11月下旬まで上院選は決着つかない可能性あり

米株はこの80年間で中間選挙後に必ず上昇してきた。今年はそうではないという見解が多いが、いずれにせよ選挙は株価を動かしてきた大きなイベントの一つであることは間違いない(引用元:WSJ)。11/6(東部標準時間)時点で、RCPもFiveThirtyEightも上下院で共和党が勝利する予測をだしてきているので、大きなサプライズがでるということはなさそうだ。

ただし、上院は11/8~9(日本時間では11/9~10)で決着がつかない可能性が多分にある。1週間で決着がつけばいいだろうが、もしかすると11月いっぱい、上院でどちらが過半数になるか決まらないまま続く可能性まである。再集計が入ると、12月になってもおかしくないだろう。そんな状況のまま、11/14(月)が議会が再開し、12/16には2023年度の年度予算〆切がやってくる。年内まで現在の議会になるが、民主党が多数党の米議会はなかなか苦しい運営になるだろう。

先週も書いたが、バイデン大統領の拒否権があるのでいくら上下院が共和党になったところで法案は可決しにくくなる。米国と外交する側にとっては、一番嫌なパターンの一つであろう。各国との条約批准は上院が担うので、バイデン政権と合意しても議会を通らないことになる。詳細は先週の共和党が上下院多数党になったらどうなるかをご覧ください。


さて、voting trackerによる郵送投票を含む期日前投票 4011万(11/6)に達した
In-Person Early Votes: 18,325,512
Mail Ballots Returned: 21,789,241
すでに2018年を上回る勢いで投票が続いている。尚、2020年には期日前投票は1億票(そのうち、6500万が郵便投票)に達している(引用元:Election Project

各州の投票締め切り時間と再集計ルール

選挙のルールは、50州でそれぞれ規則が異なる。なので、投票締め切り時間も異なるし、郵便投票をどのタイミングで開票開始するか、僅差の時の再集計ルールも異なる。
今回は、接戦が予想される州の上院選挙が5つもあるが、その5州でどちらが多数党になるかが決まることになる。11月下旬まで上院でどちらが多数党になるか判明しない可能性もあるのだ。

https://www.270towin.com/poll-closing-times

Politico( Poll closing times: How states vote and more )とBallotpedia(Election recount laws and procedures in the 50 states)と
FiveThirtyEight(When Will We Know 2022 Midterm Election Results?)をつかって、投票締切時間、各州の再集計ルールを参照。例のごとく、州によってバラバラで、開始日までルールがある州もあれば、ない州もある。詳しくみたい方は、 Ballotpediaを参照するとよい。

投票締切
日本時間9日
再集計ルール郵便投票の集計タイミング開票
GAAM
9時
得票差0.5%以内の差なら候補者は再集計を要求できる。州法では再集計期限は決められていない。州務長官にも候補者や州高官からの要請により再集計を命じる権限もある。投票15日前から開始 迅速
PA AM
10時
0.5%以内の差であれば自動的に再集計となる州規則
(遅くとも11/16には開始し、22日には完了するルール)
投票日から集計開始遅い
AZ AM
11時
0.5%以内の差であれば自動的に再集計となる州規則 到着から開票・集計 標準
WI AM
11時
候補者か特定の有権者が再集計を要求できる
※ 4,000票以上の投票なら1%の差で再集計を要求できる
投票日から集計開始 迅速
NV正午※候補者で負けた候補者は再集計を要求できる。 再集計の請求期限は、投票の集計が終わってから3営業日以内で、要請後5日以内に再集計開始到着から開票・集計 標準

まず、NV州の投票締め切りについて。NV州は正午と決まってはいるが、列の最後に並んだ人が投票終了するまで結果報告を認めていない。また、郵便投票も11/12までに到着した分まで受け付けているので、僅差の場合結果が遅れる可能性も多分にある。NV州の最終的な結果は11/15までには発表される。
また、 NV州は得票差に関係なく、候補者が再集計を要求すれば実現できるのでここも再集計にもちこす可能性があるだろう。 特に民主党現職は負けるわけにはいかないだろうから接戦の場合、再集計にもちこすのではなかろうか。

上院の接戦とされているGA州は開票や結果は早いだろうが、おそらく僅差になることが予測されるので再集計になる可能性が高いとみている。
PA州、WI州は郵便投票でさえも投票日から集計開始するため、翌日明け方(日本時間になることが予測されている。日本時間夕方~夜になるだろう。

下院で接戦となる州一覧

上院選で注目する州を除き、接戦となる選挙区とその投票締め切り・郵便投票開始のタイミングのみ記載とする。再集計ルールはこちらはスキップ。
関心がある方は、 Ballotpedia(Election recount laws and procedures in the 50 states)の各州を参照ください。

投票締切
日本時間AM
郵便投票 開票
AZ9区上院選と同様
CA13,22,27,47,49区午後
1時
投票29日前から集計開始遅い
IL 6,13区AM
10時
到着から開票・集計 遅い
IN 1区AM
8時
到着から開票・集計 標準
ME 2区 AM
10時
選挙7日前から開始 遅い
MI 3,7,8区 AM
10時
選挙2日前から開始遅い
MN 2区 AM
11時
到着から開票・集計 迅速
NC 1区AM
9時半
投票35日前から開票・集計 迅速
NH 1,2区AM
11時
選挙当日から開始 遅い
NV 1,3,4区上院選と同様標準
NY 3,4,17,18,22区AM
11時
到着から開票・集計 標準
OR  5区午後
1時
到着から開票・集計迅速
PA 17区上院選と同様
RI 2区AM
10時
選挙14日前から開始 迅速
TX 28区AM
10時
選挙20日前から開始 迅速
VA 7区AM
9時
到着から開票・集計 標準
WA 8区午後
1時
到着から開票・集計 標準

下院は共和党が奪還すると想定されていて、議席数も伸ばすと予想されている。ここにサプライズはないだろう。ただ、どこまで議席を伸ばせるかが焦点になるし、議席数を獲得すればマッカーシー下院院内総務にとって下院議会の舵取りもかなりやりやすくなるだろう。

また、今回の選挙は10年ぶりの選挙区割り変更が入っていることもあり、2030年までの選挙を見通すことになる最初の選挙となるのは忘れてはいけない。そういう観点も交えて、下院選挙の結果をみていきたい。