レッド・ウェーブのまま11月8日投票日が近づく/共和党が上下院多数党になったら

先週は、プログレッシブメディアといわれるAXIOSでさえ「Red tsunami watch」という記事をリリース(引用元: AXIOS )と指摘した。レッド・ウェーブ のまま11/8の中間選挙をむかえることになるだろう。
RealClearPoliticsでは、上院は53議席が共和党、47議席が民主党と予測されている。下院は過半数の218議席を超える225議席がほぼ確実視。FiveThirtyEightでは上院が50vs50が一番確率がされている。CookPoliticalReportでは上院5議席(WI、AZ、GA、NV、PA)が接戦のToss-UP。下院はどこも共和党勝利予測でずっと変えていないので、問題は上院選だ。
先週から大きく変わらないので、先週のを引用しておきます。

民主党シューマー上院院内総務がバイデン大統領との会話で“The state where we’re going downhill is Georgia”と発言したのが話題になったが、FiveThirtyEightをみても10月20日以降の世論調査は、共和党候補者のハーシャル・ウォーカーがリードしているのしか出てきていない。
民主党はなんとかPA州は守ろうとオバマ前大統領は演説にいっている。フェッターマン候補者とオズ候補者の討論会後はオズ候補者がリードしている(引用元:FiveThirtyEight.com)。残り1週間で、どこまでできるのか。


選挙当日の投票締め切りと開票時間

https://www.270towin.com/poll-closing-times

投票締め切りは早いところでは、日本時間9日(水)朝7時に終了する。
ただ、上院で接戦している州の締め切りは朝8時GA州、朝9時PA州、朝10時AZ州、WI州、午前11時にNV州となる。接戦州の結果は正午以降になるだろう。
正直、GA州は過半数(50%)を獲得できないと12月6日に決選投票になる。今回もその可能性が高いとみられている。

州によって郵便投票からカウントするところと、当日対面投票からカウントするところがある。そのあたりは来週にでも書くことにする。

共和党が上下院多数党になったらどうなるか

そろそろ結果がみえてきたので、共和党が上下院で多数党になったらどうなるかの話をしていきたい。
まず、法案は上下院が共和党になったとしても、バイデン大統領の署名が必須だ。中国対策以外は、ほとんどがバイデン大統領に拒否権行使される運命になるだろう。拒否権行使されても米議会が3分の2の賛成を得れば法案は可決できるが、上院で60票得るのはかなり困難だろう。2025年1月中旬の新大統領就任までこの流れは続くため、議会の承認が必要なものは滞る。
民主党が特に懸念していることの一つは、連邦判事の承認が難しくなることだ。バイデン大統領派就任以来、142名を指名して84人が上院によって承認されたが、共和党が上院多数党になればストップしてしまうだろう。

マコネル上院院内総務とマッカーシー下院院内総務はまとまれるのか

上下院共和党が多数党になるといっても、マコネル少数党上院院内総務とマッカーシー院内総務少数党がまとまることができるのか疑問だ。
もちろん、マッカーシー下院院内総務が下院議長になれるかは下院議会で過半数を獲得する必要があるので下院共和党が団結できるかも重要になるが。
まず、マッカーシー院内総務とマコネル上院院内総務でそれぞれ支持団体も違う。さらに、トランプ前大統領の付き合い方も大きく変わる。マコネル上院院内総務とトランプ前大統領派、メディアを通して非難をしあっており、トランプ前大統領からは「RINO」と呼ばれて激しく非難されている。
マッカーシー下院院内総務も、共和党内のトランプ前大統領支持派を巻き込むためにトランプ前大統領への発言をコロコロ変えている。今では基本的には擁護する立場にはなっている(引用元:The Hill

債務上限問題とウクライナ軍事・経済支援

まず、債務上限問題。 2023年9月以降にくる債務上限問題。 下院共和党は来年の債務上限交渉のためにメディケア削減などを視野に入れて交渉してくる構えだ。下院共和党がどこまで強硬策にでるかはまだ未知数だが、オバマ政権時の米国債の格下げ懸念が再燃する可能性がある(引用元:The Hill

次にウクライナ軍事・経済支援だ。 ウクライナへの軍事・財政支援は来年から縮小する可能性がある。下院を奪還する予定の共和党マッカーシー下院院内総務は今までのような“blank check”はないと警告した(引用元:The Hill)。 先月可決したウクライナへの$123億の軍事・経済援助に共和党下院議員約60名が反対票いれているので可能性は多分にある。
正直、ウクライナのゼレンスキー大統領もペロシ下院議長にアクセスしてきた経緯がある。マッカーシー下院院内総務はウクライナ訪問していないし、一から関係を構築する必要がある。ウクライナにとって、中間選挙の結果をふまえた米国内の政治情勢の変化はかなり厄介なことになるだろう。実際、 ウクライナのクレバ外相は懸念を表明している(引用元:Axios

一方で、ウクライナに関しては民主党内部のプログレッシブコーカスは中間選挙直前に「バイデン大統領はウクライナとロシアの和平をとりもつべきだ」という書簡を送り、民主党内から猛批判をくらった(引用元:The Hill)。あまりの内部批判で1日で書簡の内容を撤回してしまったほどだ。
こういったプログレッシブコーカスからの動きをみても、いままで通りのウクライナ支援とはいかないだろう。

2024年大統領選の問題

中間選挙で民主党が大敗したら、バイデン大統領再選は民主党内部からの反対により断念せざるおえなくなるだろうという見方が多い。
しかしながら、厄介な問題がある。
仮に、トランプ前大統領が「2024年大統領選に出馬する」と宣言したら、バイデン大統領は「トランプ前大統領に勝てるのは自分だけだ」と主張できるので、民主党もバイデン大統領にせざるおえなくなるだろうということだ(引用元:The Hill

民主党をリードしてほしいと民主党が考えている人物もオバマ前大統領以外は、ほぼ一律だ。正直、Biden(69%)Harris (65%) Sanders (64%) Warren (63%) Ocasio-Cortez (56%)とほぼ並んでしまっている。

https://www.ipsos.com/en-us/October-2022-ABC-news-poll

おそらくサンダース議員は2024年大統領選にもう一度出馬する可能性が濃厚になってきていると思う。確かに、この状況なら勝利してしまうかもしれないだろう。正直なところ、ハリス副大統領もブティジェッジ氏も有力候補ととられているが、アフリカ系アメリカ人から人気がないこととカトリックから多く票をとれる見込みがないのでかなり厳しくなるだろう。じゃあサンダース議員なら獲得できるかというと、それも難しいだろうが。

民主党は、大統領3選の禁止を改正するのは困難だとわかっているので、第二のオバマ前大統領をうみだす(見つける)しか道がなくなってきているように思う。

もちろん、共和党も安泰ではなく、デサンティスFL州知事が有力候補とみられているが、トランプ前大統領支持者がデサンティスFL州知事を支持するかというのは別の問題になる。