米議会は11/14まで休会/中間選挙まであと1カ月/接戦区の候補者の資金調達状況

上院、下院ともに、年度予算のつなぎ予算(12/16まで)を可決後、早々に休会に入ってしまった。連邦議員たちは、あと1カ月選挙戦に全力投球できるようになったわけだ。
次の米議会の本会議は上院・下院ともに11/14(月)に設定されているため、これ以上の予算可決や政府高官の承認は行われない予定だ。
現在の117会期は12月末。中間選挙で勝利した議員は、2023年1月2日から118会期メンバーとして連邦議員として活動することになる。

つなぎ予算の期限は、12月16日までだ。既に今から、2023年度予算は年内に可決できないのではないかという話がでている。118会期のメンバーに任せざるおえない可能性も出てくるだろうが、まずは中間選挙でどちらがどれだけの議席数を獲得できるかにもよるだろう。

今回のつなぎ予算に加えて可決された予算は以下二点だ。バイデン政権が要求したCOVID19とサル痘の予防接種追加費用$110億は除外された(引用:WP)
・ウクライナの対ロシア戦争を支援するための軍事・外交費 $124億
・西部山火事、KY州の洪水、ハリケーン対応など、国内の災害復旧に$188億

マンチン議員が提案していた 「the Energy Independence and Security Act of 2022」は継続して取り組むとシューマー院内総務は約束しているが、118会期に入ると民主党議員は増えるはずなので、マンチン議員の政治力は小さくならざるおえないとみている。なので、この法案は葬り去られたと思っている。(引用:The Hill


中間選挙下院議席の予測

上院は、引き続きFiveThirtyEihgtでは民主党が51議席獲得の予測が続いている。最も接戦となっているのはNV州、GA州が、州内の資金調達を考えるとどちらも民主党が勝つと私は考えている。
あとは、OH州、NC州も接戦になるとみている。仮に、これらの議席も民主党が勝利すれば53議席になるだろうが、いずれにしろ51~54議席の範囲だろう。もう上院はほぼ勝負がついている状況だと私はみている。
しいていうと、民主党が53~54議席獲得できれば、もうマンチン議員とシネマ議員の強い交渉力は完全になくなるだろう。51~52議席の範囲だとしても、ずいぶんと交渉力は弱まるとみている。

さて、下院は共和党が圧勝だとみられていたのが夏頃だったが、ずるずると議席獲得予測数が下落して遂に FiveThirtyEihgtでは 224議席となってしまった。下院議席数は435議席なので、218議席を獲得すれば多数党になれる。 FiveThirtyEihgt の予測ではたった6議席しか民主党より多く取れないということになる。前回のブログで、私もかなりギリギリではないかということを書いたが、まさにそれが実現になりそうだ。
民主党下院も団結しきれていないが、共和党下院も団結しきれていない。そのため、こういうギリギリの議席数では数名の造反者がでてくるとコントロールが難しくなる。

Real Clear PoliticsでToss-Up選挙区の各候補者の資金調達状況

Real Clear Politicsでは2022年の下院選挙予測は共和党218議席、民主党が184議席がほぼ確実視されている。残り33議席が接戦とされている。さきほど書いた通り、218議席獲得すれば多数党になれる。現時点ではほぼ共和党が多数党になるのは確実視されているということだ。
前回は、 FiveThirtyEihgtでToss-upとされている13選挙区の候補者の資金調達を調べたが、今回はReal Clear Politicsで接戦とされている33の選挙区の各候補者の資金調達および世論調査を調べた。例によってアラスカ州下院議員選挙は、結果がでたばかりなので民主党にカウントする。

補足すると、下院議員に関しての世論調査は実施していないか、実施したとしても1~2回しか調査されていないことが多く、サンプル数も少ない。まあ1つの選挙区だからサンプル数が小さくなるものしょうがない。そういった事情もふまえると、州内の資金調達状況の方が参考になると私は考えている。そのため、資金調達状況を必ず確認するようにしている。
また、資金調達状況のソースは OpenSecrets.comから取得。


1. AZ州
州内でも州外でも現職民主党議員が圧倒的
8月世論調査では現職議員がリード

CandidateRaisedSpentCash on HandLast Report
Greg Stanton (D) • Incumbent$2,992,366$839,960$3,196,80807/13/2022
Kelly Cooper (R)$1,510,850$592,164$918,68607/13/2022

2. CA州 
いずれも現職が州内・州外ともに資金調達を上回る。CA州13区は資金調達でも世論調査でも接戦。

13区候補者RaisedSpentCash on HandLast Report
John Duarte (R)$1,076,116$703,448$372,66806/30/2022
Adam Gray (D)$946,316$544,735$401,58106/30/2022
22区候補者 RaisedSpentCash on HandLast Report
David Valadao (R) • Incumbent$2,453,745$893,349$1,716,22606/30/2022
Rudy Salas (D)$986,879$296,402$690,47606/30/2022
27区 候補者RaisedSpentCash on HandLast Report
Mike Garcia (R) • Incumbent$4,801,024$3,495,767$1,683,11506/30/2022
Christy Smith (D)$1,301,853$1,165,346$305,91506/30/2022
47区 候補者RaisedSpentCash on HandLast Report
Katie Porter (D) • Incumbent$16,954,492$7,361,462$19,860,78306/30/2022
Scott Baugh (R)$1,773,064$619,299$1,153,76506/30/2022
49区 候補者 RaisedSpentCash on HandLast Report
Mike Levin (D) • Incumbent$3,431,661$1,995,150$2,938,77206/30/2022
Brian Maryott (R)$2,409,290$1,914,360$506,72509/26/2022

3. イリノイ州
どちらも民主党議員が州内・州外ともに資金調達上回る。13区は民主党リード。

6区候補者RaisedSpentCash on HandLast Report
Sean Casten (D) • Incumbent$3,368,231$3,140,029$574,33906/30/2022
Keith Pekau (R)$435,122$381,735$53,38706/30/2022
13区候補者RaisedSpentCash on HandLast Report
Nikki Budzinski (D)$2,045,245$1,014,374$1,030,87106/30/2022
Regan Deering (R)$436,806$399,208$37,59806/30/2022

3. インディアナ州1区 共和党新人が資金調達を上回る。5月世論調査では現職民主党議員がリード

CandidateRaisedSpentCash on HandLast Report
Frank Mrvan Jr (D) • Incumbent$939,868$423,125$630,97106/30/2022
Jennifer-Ruth Green (R)$969,536$513,045$456,49206/30/2022

4. メイン州2区 現職民主党議員が州内・州外ともに上回る。世論調査も民主党リード。

CandidateRaisedSpentCash on HandLast Report
Jared Golden (D) • Incumbent$3,688,361$1,511,339$2,307,88306/30/2022
Bruce Poliquin (R)$2,600,495$289,489$2,311,00506/30/2022

5. ミシガン州  3区とも民主党が資金調達、世論調査の両方でリード。

3区候補者RaisedSpentCash on HandLast Report
Hillary Scholten (D)$1,225,031$281,580$970,64107/13/2022
John Gibbs (R)$479,309$333,894$145,41507/13/2022
7区候補者RaisedSpentCash on HandLast Report
Elissa Slotkin (D) • Incumbent$6,805,985$1,810,971$6,561,69507/13/2022
Tom Barrett (R)$1,388,743$941,675$447,06807/13/2022
8区候補者 RaisedSpentCash on HandLast Report
Dan Kildee (D) • Incumbent$3,335,031$1,253,260$2,863,49207/13/2022
Paul Junge (R)$1,412,185$882,609$540,05307/13/2022

6. ミネソタ州  現職民主党議員が資金調達を上回る。7月世論調査は民主党現職がややリード。

CandidateRaisedSpentCash on HandLast Report
Angie Craig (D) • Incumbent$5,231,778$1,558,145$4,705,63307/20/2022
Tyler Kistner (R)$2,097,640$1,579,789$551,86307/20/2022

6. NC州1区  共和党がややリードだが接戦
6月の世論調査では民主党Davis氏がリード。

CandidateRaisedSpentCash on HandLast Report
Sandy Smith (R)$957,524$934,357$43,73706/30/2022
Don Davis (D)$909,586$700,900$208,68606/30/2022

7. NH州
1区は州内だと資金調達は接戦。2区は民主党現職
世論調査では両方とも民主党リード。

Chris Pappas (D) • Incumbent$3,134,023$1,076,139$2,271,79608/24/2022
Karoline Leavitt (R)$1,497,015$922,658$574,35708/24/2022
2区候補者RaisedSpentCash on HandLast Report
Ann Kuster (D) • Incumbent$3,165,803$1,382,140$2,856,74808/24/2022
Bob Burns (R)$185,998$128,950$57,04808/24/2022

8. NV州
1区は州内資金調達だと民主党共和党が接戦。3区、4区は民主党現職議員がリード。
世論調査では3区、4区が接戦。

1区候補者RaisedSpentCash on HandLast Report
Dina Titus (D) • Incumbent$1,714,646$357,604$1,685,93206/30/2022
Mark Robertson (R)$638,553$437,441$201,11206/30/2022
3区候補者RaisedSpentCash on HandLast Report
Susie Lee (D) • Incumbent$4,232,814$1,703,050$2,558,46806/30/2022
April Becker (R)$1,417,377$1,054,285$363,09109/08/2022
4区候補者RaisedSpentCash on HandLast Report
Steven Horsford (D) • Incumbent$3,222,345$1,223,817$2,494,44606/30/2022
Sam Peters (R)$937,570$776,089$165,01809/08/2022

8. NY州
4区は共和党リードだが、それ以外は民主党がリード。世論調査では22区が共和党リードだが、それ以外は民主党リード。

3区候補者RaisedSpentCash on HandLast Report
George Devolder-Santos (R)$2,017,546$1,295,694$789,57508/03/2022
Melanie D’Arrigo (3)$389,062$367,906$28,59608/03/2022
Robert Zimmerman (D)$1,425,166$948,497$476,66908/03/2022
4区候補者RaisedSpentCash on HandLast Report
Anthony D’Esposito (R)$634,804$89,388$545,41608/03/2022
Laura Gillen (D)$628,590$462,715$165,87508/03/2022
17区候補者RaisedSpentCash on HandLast Report
Sean Patrick Maloney (D) • Incumbent$3,970,994$2,430,387$2,400,61008/03/2022
Mike Lawler (R)$519,321$83,733$435,58808/03/2022
18区候補者RaisedSpentCash on HandLast Report
Pat Ryan (D) • Incumbent$2,596,650$2,185,948$410,70209/12/2022
Colin Schmitt (R)$1,388,491$739,770$648,72208/03/2022
22区候補者RaisedSpentCash on HandLast Report
Brandon Williams (R)$212,202$76,232$135,97008/03/2022
Francis Conole (D)$1,047,344$742,131$306,14308/03/2022
Steve Wells (3)$678,838$450,887$227,95208/03/2022

8. オレゴン州5区 民主党がリード

CandidateRaisedSpentCash on HandLast Report
Jamie McLeod-Skinner (D)$1,256,596$867,877$388,71906/30/2022
Lori Chavez-Deremer (R)$1,122,251$953,507$168,74506/30/2022

9. ペンシルベニア州17区 州内の資金調達は共和党リード。6月世論調査は接戦。

CandidateRaisedSpentCash on HandLast Report
Jeremy Shaffer (R)$1,431,023$493,635$937,38808/25/2022
Christopher Deluzio (D)$907,312$559,223$348,09006/30/2022

9. ロード・アイランド州2区 資金調達は民主党リード 。6月世論調査は共和党リード。

CandidateRaisedSpentCash on HandLast Report
Seth Magaziner (D)$2,371,361$993,653$1,377,70808/24/2022
Allan Fung (R)$1,197,499$239,013$958,48608/24/2022

10. TX州28区 資金調達は民主党リード

CandidateRaisedSpentCash on HandLast Report
Henry Cuellar (D) • Incumbent$3,281,013$4,592,279$239,20606/30/2022
Cassy Garcia (R)$692,740$467,808$224,93306/30/2022

11. バージニア州7区 資金調達は民主党リード

CandidateRaisedSpentCash on HandLast Report
Abigail Spanberger (D) • Incumbent$5,530,624$1,210,652$4,902,10606/30/2022
Yesli Vega (R)$742,352$495,910$246,44209/19/2022

12. ワシントン州8区 資金調達、世論調査の両方で民主党リード

CandidateRaisedSpentCash on HandLast Report
Kim Schrier (D) • Incumbent$6,077,804$2,223,641$5,571,91707/13/2022
Matt Larkin (R)$967,683$487,243$480,44007/13/2022

これらをふまえると本当に接戦になっているのは、現在民主党が議席をおさえているCA州13区、IN州1区、NC州1区、NV州1・3・4区の合計6区ではなかろうか。逆に民主党は現在共和党議席のIL州13区、MI州3区を巻き返して獲得できそうだ。このように接戦区をみていくと現職議員の指示が弱まっているというよりは、やはり民主党議員が一気に30議員ほど引退したことが強く響いているのではないかという気もしてくる。

となると民主党下院議席は207議席はほぼ確定とみてよいのかもしれない。
共和党は222議席。あとの6議席をどちらが取るかというところだろう。
NV州は、上院選でも共和党が奪還する可能性があるといわれていることもあるので非常に興味深い。


https://www.pewresearch.org/hispanic/interactives/mapping-the-latino-electorate/iframe/

ちょうどNBCの最新調査で、ラテン系有権者(ヒスパニック)の共和党支持が高まっているという調査結果(引用元:NBC)がでた。NV州もまさにラテン系有権者が多い。さきほどあげたNV州1区は約30%がラテン系有権者だ。4区は21%、3区は15%。CA州13区も15%とそこそこ多い。NV州は州全体だとラテン系有権者比率が20%しかいないが、選挙区でかなり偏りがあることは覚えておかなくてはいけない。
なお、ラテン系有権者が最も多いのはNM州で42%、ついでCA州・TX州で30%。AZ州は23%、FL州は20%。
なお、データはいずれも2020年の投票実績にもとづく比率。