26日はロシュ・ハシャナ(ユダヤ暦の新年祭)で上下院ともに休会。
何の祝日で米議会が休会になっているかを知ると、何の価値観で動いているかよくわかりますね。なお、10/4-5は、 ヨム・キプール(Yom Kippur) でユダヤ教にとって贖罪の日ですね。 まさにその日を中心として来週も上下院ともに休会予定です。また、10/10はコロンブスデーですね。
中間選挙前までの米議会開会期間は、今週と10月の中旬にある2週間のみです。
年度予算期限切れは9月30日PM11:59
マンチン議員は、つなぎ予算にくっつけて可決すると約束されている「 the Energy Independence and Security Act of 2022 」をやっと発表した。
しかも、プレスリリース文にばっちり「 2022年8月日署名された Inflation Reduction Actの一環として、シューマー院内総務、ペロシ下院議長、バイデン大統領から、2022年9月30日の会計年度末までに可決するつなぎ予算に付属して可決する確約した」とまで書かれていた。シューマー院内総務は交渉の中心人物だったので約束したと公言してきたが、ペロシ下院議長、バイデン大統領はこの約束に対してやや濁してきていたが逃れられなくなった。ペロシ下院議長はこのプレスリリース発表後、再度支持表明をせざるおえなくなった(引用元:The Hill)。 下院民主党80名ほどの議員はRaúl Grijalva民主党下院議員が主導で、この条項に反対している。ただし、つなぎ予算を否決してまで反対する議員は多くないと認めている。
I’m proud to release the text of the Energy Independence and Security Act of 2022, the comprehensive permitting reform bill to be included in the Continuing Resolution. To learn more & to read the full text of the bill, click here: https://t.co/AiMpupblUj
— Senator Joe Manchin (@Sen_JoeManchin) September 21, 2022
さて、この法案は民主党上院議員も数名が強く反対表明し、共和党ジョン・スーン院内幹事、コーニン議員も支持しないとしている。同じエネルギー&天然資源の上院委員会のナンバー2である共和党のバラッソ議員まで否定している。同じWV州キャピト議員だけが支持表明をだしている。賛成も反対表明もしていない議員がいるが、60名の議員に賛成させることは難しいだろう。ちなみに、法案内容が環境審査の期限を決めるだけではなく、なかなか踏み込んだ内容なのだ。
・ 大統領が国家戦略上重要なエネルギープロジェクトを25件決定することを義務づける。最初7年間は、25件のうち5件を化石燃料かバイオ燃料、6件はクリーンエネルギー、4件は重要鉱物関連とする
https://www.energy.senate.gov/services/files/92E7EAA5-E7BC-48E1-8E7F-FE688AE43252?utm_source=DCS+Congressional+E-mail&utm_medium=Email&utm_term=https%3a%2f%2fwww.energy.senate.gov%2fservices%2ffiles%2f92E7EAA5-E7BC-48E1-8E7F-FE688AE43252&utm_campaign=MANCHIN+RELEASES+COMPREHENSIVE+PERMITTING+REFORM+TEXT+TO+BE+INCLUDED+IN+CONTINUING+RESOLUTION
・ 承認プロセスの一部である環境レビューの期間は、主要プロジェクトは2年、重要度の低いプロジェクトは1年に制限
・ 未完成のWV州とVA州を結ぶガスパイプラインMountain Valley Pipelineについては、30日以内に建設と操業の認可を発行すること
・ 訴訟を起こすことができる期間を最終決定から150日間に制限
・エネルギー省長官が国益になると判断した送電線については、州が反対しても、建設許可をだし承認プロセスを引き継げる。また、州の境界戦をまたぐ送電線の建設は、適切な按分費用になるようにエネルギー省が各州に送電線建設費用を振り分ける
米国は何を建設するにも時間がかかる。それはどの議員も認めている。The National Mining Association によると、”米国と同様の環境基準や慣行を持つオーストラリアやカナダでの許可は2~3年かかるが、米国での許認可手続きは7〜10年かかるという(引用元:Roll Call)
マンチン議員が提案していることは、 Mountain Valley Pipeline建設許可を除けば、連邦全体として考えれば進めなければいけないことではあるがやや理想主義というか本質主義なところが垣間見れる。
これだけ反対表明が出ている中で、シューマー院内総務がどうやって進めるのかに注目が集まっているが、未だ定かではない。しかも26(月)は休会なので4日間でなんとかしなくてはいけない。政府閉鎖を起こしたい議員はいないが、それでも偶発的に起きてしまう可能性はあるだろう。
とはいえ、政府閉鎖が長引くかというと、そうでもなさそうだ。今回はマンチン議員だけやや孤立している状況なので、彼が納得すれば、つなぎ予算が可決するだろう。
中間選挙で下院共和党は勝利しそうだけど、かなりギリギリでは
あまり変わり映えがない世論調査結果しか出てこないので、どこも大きく選挙予測が変わっていない。
さて、trafalgarがWI州上院選についての最新調査でロン・ジョンソン議員がリードしている結果がでてきた。さすがにWI州は現職議員が当選しそうだ。資金調達もジョンソン現職議員がリードしている。上院はやや巻き返してきて民主党が51-53議席になるのではなかろうか。民主党がリードしていることは変わらない。
New @trafalgar_group
— Robert C. Cahaly (@RobertCahaly) September 23, 2022
#WISen #Poll (9/15-19) shows tight race w/ #Johnson taking the lead #wipol
48.7% @RonJohnsonWI
46.5% @TheOtherMandela
4.8% Und
See Report: https://t.co/MleAfCLsJy pic.twitter.com/0U3J97uNrI
一方で、下院選挙。
RCPにしろ、FiveThirtyEightにしろ共和党は214~218議席が獲得できることはみえている。何度かこれは書いているが、今年は選挙区割りが変更になりゲリマンダの効果で共和党が有利になっているのだ。未だ訴訟が続いているので、2024年も共和党が有利になるとは限らないが、ひとまず今年は共和党が有利な状況だ。
一方で民主党は185~208議席を獲得するとみられている。接戦となっているのは13~32議席だ。
FiveThirtyEightでToss-upとされている13の選挙区でOpenSecrets.comから取得して資金調達状況を調べた。 正直、下院選挙区の調査なんて1~2回しかされていないので信用しにくく、資金調達の方が選挙予測の参考になると考えられる。なお、AK州は13議席のうちに入っているが先日特別選挙で結果がでたばかりなので民主党がリードとしておく。
NY州19区
世論調査でもToss-UPではあるが、共和党が資金調達リード
Candidate | Raised | Spent | Cash on Hand | Last Report |
Marc Molinaro (R) | $1,888,356 | $1,305,544 | $582,812 | 09/12/2022 |
Josh Riley (D) | $1,389,387 | $891,125 | $498,262 | 08/03/2022 |
NY州22区
世論調査でもToss-UPではあるが、民主党が資金調達リード
Francis Conole (D) | $1,047,344 | $742,131 | $306,143 | 08/03/2022 |
Steve Wells (3) | $678,838 | $450,887 | $227,952 | 08/03/2022 |
Brandon Williams (R) | $212,202 | $76,232 | $135,970 | 08/03/2022 |
IA州3区
世論調査では共和党リードだが、民主党現職議員が州内・州外で資金調達リード
Cindy Axne (D) • Incumbent | $4,721,628 | $1,718,964 | $3,022,184 | 06/30/2022 |
Zach Nunn (R) | $1,142,650 | $841,147 | $301,504 | 09/22/2022 |
AZ州2区
世論調査では共和党リードだが、 民主党現職議員が州内・州外で資金調達リード
Tom O’Halleran (D) • Incumbent | $2,704,000 | $717,960 | $2,049,188 | 07/13/2022 |
Eli Crane (R) | $2,013,972 | $1,794,659 | $219,313 | 07/13/2022 |
NM州2区
世論調査でも資金調達でも共和党がリード。
Yvette Herrell (R) • Incumbent | $2,645,435 | $1,004,537 | $1,695,442 | 06/30/2022 |
Gabe Vasquez (D) | $1,173,141 | $549,911 | $623,230 | 06/30/2022 |
OR州5区
世論調査では共和党がリードしているが資金調達では民主党
Jamie McLeod-Skinner (D) | $1,256,596 | $867,877 | $388,719 | 06/30/2022 |
Lori Chavez-Deremer (R) | $1,122,251 | $953,507 | $168,745 | 06/30/2022 |
PA州7区
世論調査では共和党リードだが、現職民主党議員が資金調達リード。
Susan Wild (D) • Incumbent | $4,067,238 | $1,002,563 | $3,143,371 | 06/30/2022 |
Lisa Scheller (R) | $2,327,197 | $1,216,054 | $1,191,724 | 06/30/2022 |
VA州2区
世論調査では共和党リードだが、現職民主党議員が資金調達リード。
Elaine Luria (D) • Incumbent | $5,884,058 | $1,704,141 | $4,322,092 | 06/30/2022 |
Jen Kiggans (R) | $1,565,857 | $1,152,128 | $413,729 | 06/30/2022 |
KA州3区
世論調査、資金調達ともに民主党がリード。ただし、州内の資金調達ではAdkins (R) が上回る
Sharice Davids (D) • Incumbent | $4,690,877 | $1,684,455 | $3,485,573 | 07/13/2022 |
Amanda Adkins (R) | $2,208,237 | $779,567 | $1,471,380 | 07/13/2022 |
TX州15区
世論調査では民主党リードだが、Cruz (R) は資金調達リード。州内の資金調達が6割
Monica De La Cruz (R) | $2,864,818 | $2,317,294 | $555,029 | 06/30/2022 |
Michelle Vallejo (D) | $697,480 | $538,992 | $158,488 | 06/30/2022 |
CA州22区特別選挙
世論調査では民主党。詳細がでてないのでよくわからず。
Candidate | Raised | Spent | Cash on Hand | Last Report |
---|---|---|---|---|
Phil Arballo (D) | $1,549,220 | $1,457,274 | $121,211 | 06/30/2022 |
Nathan Magsig (R) | $417,208 | $399,683 | $17,525 | 06/30/2022 |
Connie Conway (R) | $178,620 | $124,689 | $53,931 | 06/27/2022 |
CA州27区
世論調査でも資金調達でも共和党がリード。
Mike Garcia (R) • Incumbent | $4,801,024 | $3,495,767 | $1,683,115 | 06/30/2022 |
Christy Smith (D) | $1,301,853 | $1,165,346 | $305,915 | 06/30/2022 |
どうやらToss-UPとなっている13議席のうち、共和党が議席獲得できそうなのは5議席ていどではなかろうか。そうなると、選挙区割りによって獲得見込みの214議席と合計すると219議席になる。下院議席数は435議席で、218議席が確保できれば多数党になれるが、かなりギリギリなところではなかろうか。
こうなると、共和党が多数党になるとはいえ219議席しかないのはかなりマッカーシー下院院内総務も運営しにくいことになる。
それにしても、民主党のほうが資金調達力があるのは確かなのだが、資金配分についてはどうもうまくいっていないようにみえる。目立つ上院選や大統領選にばかり献金者は注目して献金してしまい、州議会や州知事、州議会への候補者献金がうまくいっていないことがPoliticoにも書かれていた。
今回の11月中間選挙についても同様の現象が起きているようだ。無党派のCenter for Political Accountabilityによると、州議会議員候補者を支援するキャンペーンの支出金額は共和党は民主党の2倍になっているとのこと。 一方で、注目されているパープルステートの上院選には多額の献金が集まっていると。
正直、共和党が勝利するといっても219議席ていどだとすれば、どこか数議席に集中的に資金をまわせば多数党とれる可能性もあるだろうに…
これは知らなかった、民主党が州議会をおさえることができない大きな要因
— Reika.H (@doll__en) September 19, 2022
”無党派のCenter for Political Accountabilityによると、2010~2020年の間で、州知事、州司法長官、州議会の候補者への献金総額は共和党は$10.5億を超えたが、民主党へは$6.3億だった”https://t.co/Uet8FyoBow
小口献金のBlue Actで莫大な資金調達できるようになった民主党ではあるが、うまく資金配分ができていないとするのは大きな問題だろう。
中絶規制も、EPA vs West Virginiaも、今の最高裁判決は「州で決めなさい」という方向性を強く打ち出しているのに、州議会・州知事を制覇できないって致命的だと思うんだけどどうなんだろうか。 まあメガ・ドナーからすれば特定の州を救う気はないという考えも色濃くでている気がする。
このあたりは非常に興味深い。