2022年中間選挙予測/下院は共和党勝利・上院は民主党勝利になる見込み

つい一か月ほど前までは、共和党が上下院とも勝利するという予測が大半をしめていたが、明らかに風向きが変わってきたといえるだろう。
まだ予備選挙が進んでいて、まだ8/23に人口の多いFL州の予備選も控えているため、あくまで現段階ではあるが整理しておくことにする。

上院は民主党が議席を増やし多数党に
52~53議席見込み

2022年中間選挙上院選は、もともと民主党に有利な状況で、共和党上院議員は21議席が再選挙になり(民主党は14議席)、共和党から5名も引退する。
8月第一週、第二週で重要な共和党予備選も終わり、蓋をあけてみると、どうも重要な州で民主党候補者に勝てるほどの人気・実力がなさそうなことが露呈されてきているように思う。
特に、PA州でトランプ前大統領と深い関係にある富豪で有名なオズ候補は、PA州内から資金調達ができていないし、現職民主党知事のフェッターマン氏に大きくリードされている。まず、共和党はPA州で1議席失うことになる。
GA州もトランプ前大統領が支持しているウォーカー氏ではあるが、いろいろ問題が露呈されてきているのもあり、現職ワーノック上院議員がリードしている世論調査しか7月に出てきていない
また、最も負けそうな現職民主党上院議員といわれていたケリー議員は、8/16の最新調査では大きくリードしている。ケリー議員の対抗馬であるブレイク・マスターズ候補者は富豪で起業家のピーター・ティールが金銭面で大きく支援しているが、どうも勝つのが難しいように思う。また、OH州も基本的には赤い州ではあるが、やっと8月にヴァンス候補がリードする世論調査がでてきた。トランプ前大統領から強く支持をうけていたヴァンス候補なので、トランプ前大統領の機密資料持ち出しの件など影響はこれからだろう。

上院選。各州は私の予測でカラーリングしてみました

さらに、どうやら現職共和党上院議員も苦しい立場になってきているようだ。WI州は共和党ロン・ジョンソンが3期目をかけて再選しているが、対抗馬である民主党 Barnesがリードしている世論調査が8月に2回もでてきている。また、8月にはFL州上院選でUniversity of North Florida調査でルビオ議員の対抗馬であるデミングス下院議員がリードする調査もでてきている(引用元:The Hill

下院は共和党が勝利する見込み

下院議員は全員が再選挙となるわけだが、おさえておいた方がいいことが2点ある。
1つ目は、今回の選挙は10年に1度の国勢調査をふまえて新たな選挙区割りになっていることだ。今回は民主党が選挙区割りで勝利しており、民主党に有利な選挙区が増えた。未だ訴訟中のものもあるが、少なくとも今年の選挙は208議席が共和党が有利な選挙区、187議席が民主党が有利な選挙区になり、接戦となっているのは40議席なのだ(Five Thirty Eight調べ)。
RCPでは44議席だったり、 Cook Political Report では45議席だったりするが、だいたいそのくらいが接戦している選挙区割りなのだ。

2点目に重要な点として、現職の民主党議員で下院議員を引退する議員が多いということだ。知事選出馬、上院選出馬のために引退する議員も含めると35名も引退となる。特に、ブラックコーカスから Bobby Rush 議員、中道派のブルードッグ連合の幹部Stephanie Murphy議員が辞めることは大きな打撃となっている。あとは、下院予算委員会の議長を務めているJohn Yarmuth氏など下院民主党を支えてきた議員の引退もちらほら出ているのだ。
すでにこの2点だけでも、民主党は下院選挙で不利なのである。ましてや、バイデン大統領の支持率が40%前後でうろうろしていることを考えるとなかなか難しいといえるだろう。

現在の議席数は、民主党が220議席、共和党が211議席、空席4議席だ。
下院民主党内は、プログレッシブコーカスが最も大きな派閥となっている。大きなコーカス別に引退者数(重複者あり)をみると、ますますプログレッシブコーカスが勢いづけることになるといえるだろう。もちろん、プログレッシブコーカス所属の議員が全員再選すればの話ではあるが。
プログレッシブコーカス幹部のKaren BassがLA市長選で苦戦していたり、AOCが強く支援していたプログレッシブコーカスからの立候補者Vicente GonzalezがTX州下院選でCuellar氏に負けたりなど逆風が吹いているのは確かだ。
どうもプログレッシブコーカスが予備選で負けていることも、下院民主党が議席を伸ばせない一つの要因になっているのかもしれない。

一方で、圧勝と思われていた共和党だが、下院議席数予測は6月末時点では共和党が238議席まで増やす見込みもあったが、8/21時点では議席予測数が230議席まで下落している。共和党は、「有権者はインフレを不満をもち共和党に票をいれてくれる」と期待を寄せているようだが、インフレ率も高止まりあるいは下落傾向がみえてきた中でどう影響するのかはまだわからない(引用元:ブルームバーグ
ずるずると共和党の議席獲得予測数が下落してきているのが気になるが、その分析はまた別途実施することにする。