5/23-28米議会/下院は2週間の休会入り

下院議会は5/30のメモリアルデーをはさむ2週間の休会に入りました。上院議会は、来週から休会です。

https://www.govinfo.gov/content/pkg/CCAL-117scal-2022-05-23/pdf/CCAL-117scal-2022-05-23.pdf

米議会

① ウクライナ追加支援法 が立法完了

ウクライナ追加支援法(H.R.7691 – Additional Ukraine Supplemental Appropriations Act, 2022)が無事にバイデン大統領署名まで到達した。法律全文はこちら
2月と今回のウクライナ支援は合算して総額$540億に膨れあがり、ロシアの年間軍事予算に迫る勢いになってきている。とはいえ、法案原文にも書かれている通り、ロシアの侵略に関連する有形・無形資産について差押え・押収して処分してその売却費を今回の支出に充てることができると書かれているため、実際の支出がどれくらいどうなるかはまだわからないが…

ポイントをいくつか抜粋するが、まず、これらの措置は2022年9月30日までと期限を決められている。
・ウクライナ軍の武装と装備、武器購入資金の援助、戦場に派遣された米軍装備の交換、近隣諸国に展開する米軍 $240億
・ウクライナ政府を維持するために$90億
・ウクライナ穀物を購入してきた世界中の国々のために$50億
・米国内のウクライナ人難民支援
・ロシア人オリガルヒの資産の差し押さえ
・キエフの米国大使館の再開
・ロシアの戦争犯罪の訴追のための資金

共和党から11名も”Nay(反対)に票を入れたわけだが、上記資金が尽きる9月末までに更なる追加支援を実施するかどうかといったところだろう。
選挙が接戦になっているようなら、両党ともアピールしたいのでまた追加で可決するかもしれない。

② 粉ミルク不足とガソリン価格高騰への対処

さて、今まではガソリン価格高騰に悩まされていた民主党だったが、さらに粉ミルク不足問題まで生じてしまい、てんやわんやである。
下院民主党は、素早く粉ミルク緊急支援法案(H.R.7790 – Infant Formula Supplemental Appropriations Act, 2022)を可決させた。FDAに対して$2800万を投下し、FDAの検査スタッフの増員などに使われ、現在の不足だけではなく将来おきうる不足にも対処しようとするものだ(引用元:CNN
一方で、これが上院を可決するかというと微妙だ。複数名の議員が「共和党から十分な数の支持を得ていない」という指摘があるが、マコネル上院院内総務次第のような気もする。

一方で、バイデン政権も国防生産法を発動して、製造元のAbbott Nutritionが優先的に原材料を入手できるようにし、海外からの緊急輸入も軍用機をつかって実施した。政権としては24時間体制で取り組んでいるとアピールしている。(引用元:The Hill


さて、ガソリン価格高騰問題。ガソリン価格高騰については下院が共和党から1人の賛成も得ずに「the Consumer Fuel Price Gouging Prevention Act」を可決させた。“unconscionably excessive” な価格で販売することが違法になり、FTCの調査権限が拡大することになるんだけど、何が “unconscionably excessive” な価格が定義できていないのにどうするんだか…(引用元:Vox
消費者への選挙対策だとしても、ちょっと度が過ぎる。

以下の重要法案は、ほぼ進捗していない。
・COVID19追加支援 $100億
・マリファナ合法化(刑事罰の廃止)法案
・ Bipartisan Innovation Act
→ペロシ下院議長は7/4より前に可決する可能性を発言(引用元:The Hill
→5/12に上下院で選別されたメンバーが初回MTGを実施。次回未定。(引用元:Conference Committee Meeting on Bipartisan Innovation and Competition Legislation
・マンチン議員が進めるエネルギー法案


バイデン大統領の訪韓

訪日はこれからだが、Politico、The Hillといった米国内の政治メディアをみるかぎりバイデン大統領の今回の東アジア外交の注目度が低いように感じる。そもそもトップニュースになっていない。まぁ”日曜日”だからと思いたい。先日もASEAN首脳とワシントンで特別サミットしていたが、それも盛り上がらなかった印象もある。
米議員も共和党、民主党ともにあまり話題に出していない。まあ選挙前だし、選挙で外交はあまり関係ないとするのが通例というのもあるだろう。バイデン大統領のツイートみても、どっちかというと粉ミルク不足問題に誠意とりくんでいる!こんなたくさん輸入した!というほうが多いように思える。


それにしてもバイデン大統領のサムスン訪問時の演説文、ヒュンダイでの演説文をみると、中国をけん制しているような演説にみえないのだが気のせいだろうか…
労働組合と連携していくこと推奨したり、EV産業における組合員雇用のメリットをあげたりとしていて米国内うけはよさそうだ。
今回のアジア訪問は 対中を意識して「安保に加え経済重視」と言われていたけど、どうも米国内の雇用・労働組合員の賃金UPなどいつものPro-Union発言が目立つ。

President Joe Biden encouraged Hyundai Motor Co. to partner with unionized US workers following a meeting with the company’s chief executive.
“Hyundai and any company investing in the United States would benefit greatly from entering into partnerships with some of the most highly skilled, dedicated and engaged workers in the world,” Biden said in a joint appearance with Hyundai’s Executive Chairman Euisun Chung. “And that is American union members.”

https://www.bloomberg.com/news/articles/2022-05-22/biden-urges-hyundai-samsung-to-embrace-union-workers

共和党の上院予備選挙について

先日、注目されていたペンシルベニア州で上院予備選挙が行われた。
民主党は現職副知事の John Fetterman 氏であっさり当選したが、共和党上院予備選は再集計になった。結果がでるのが6月に持ち越される可能性がでてきた。
NC州下院選でトランプ元大統領支持派だったMadison Cawthornが自身のスキャンダルがあったこともあり、落選してしまった。
OH州上院予備選でトランプ元大統領が支持していたヴァンス氏が当選したこともあり、トランプ元大統領の影響力が勢いづいていたが、ここへきて少ししぼんできた感がでてきた。PA州のOZ候補もトランプ元大統領が支持していたが、楽勝とはいかなかったのだ。OH州上院予備選で勝利したヴァンス氏もOZ候補支援で演説にかけつけていたが、それでも楽勝とはいかなかったようだ。

https://abcnews.go.com/Politics/pennsylvania-2022-primary-election-results/story?id=84673779#senate

一方で、NC州上院予備選ではトランプ元大統領に支持 されたT. Buddが勝利した。おそらくだが、PA州の上院予備選の結果で、トランプ元大統領の影響力がだいたいわかってくるだろう。

そして5/24には注目のジョージア州の予備選だ。特に知事選については、トランプ元大統領が支持するパーデュ元上院議員が出馬しているが、現職のケンプ知事の方が世論調査でも圧倒的に優勢だ。
どうも民主党が騒ぐほどにはトランプ元大統領の影響力は小さかったということではなかろうか。とはいえ、共和党にとっては分裂していることには変わりないので、引き続き注視していきたい。