5/16-21米議会、今週の議案/11月米中間選挙にむけた動き

今週は上下院ともに本会議開催。来週、下院は一足先にメモリアルデーの祝日をはさみ2週間の休会(地元に戻って活動)になります。

https://www.majorityleader.gov/calendar

米議会、注目議案の進捗

以下の重要法案は、ほぼ進捗していない。今週は、ウクライナ$330億の支援法案への可決に向けた動きがメインだろう。
・マリファナ合法化(刑事罰の廃止)法案
・ Bipartisan Innovation Act
→5/12に上下院で選別されたメンバーが初回MTGを実施。次回未定。(引用元:Conference Committee Meeting on Bipartisan Innovation and Competition Legislation
・マンチン議員が進めるエネルギー法案

ウクライナへの$330億支援/オルガリヒ資産の売却

共和党ポール上院議員が「アフガニスタン復興特別監察官にウクライナでの支出を監督する権限を与えるという文言を法案に追加」したいということで全会一致が阻まれていたことが話題になっていた。 ポール議員の言い分としては、ウクライナに莫大な資金を支援しているのだからきちんと支出管理すべきだということだ。 むろん反対しているのは彼だけでなく、少なくとも6名の共和党議員が反対すると予測されている。
しかし、シューマー院内総務は月曜日に cloture motion(討議を打ち切る動議) の投票をかけることを決めたようだ。ここで60票獲得できれば、最大30時間の討論に限られるため、今週中には可決できるだろう。
(引用元:Roll callThe Hill

さて、この米国の税金を投下してウクライナ支援することwトランプ元大統領は、非難している(引用元:The Hill
実はこのウクライナ支援をめぐって、共和党はマコネル上院院内総務vsトランプ元大統領ということで対立してきているのだ。そういう事情もあり、マコネル上院院内総務はウクライナへの支援支持を強く印象づけるために極秘訪問を果たしている。マコネル上院院内総務は、ゼレンスキー大統領との会談で「ウクライナを支援することは、米国の利益になることだ」とも発言している。一方で、トランプが支持する共和党上院議員候補として有名になっているJ.D.ヴァンスは「地域が崩壊しているのに$何十億も海外援助にしている」と批判している。Politicoは、マコネル上院院内総務vsMAGA(Make America Great Again)という表現をしているが、RINOvsMAGAともいえなくもない。共和党が次の中間選挙でたとえ多数派になったとしても、RINOvsMAGAで進まなくなる可能性も多分にあるというわけだ(引用元:Politico


11月中間選挙にむけた進捗

① 選挙区割りの確定・訴訟の進捗

FL州の選挙区割り(共和党が有利にゲリマンダ)が州憲法に違反しているとみなされた。州はこの判決を不服として控訴。控訴中は、デサンティス知事が承認した選挙区割りが続くことになったようだが、8月にはFL州は各党の予備選挙がはじまるのだが間に合うのだろうか…。

Smith ordered that a map drawn by a Harvard professor who testified for the plaintiffs should be used, but the state’s appeal keeps the DeSantis map in place. The case goes to the 1st District Court of Appeals.

https://thehill.com/news/state-watch/3488127-florida-appeals-judges-ruling-against-district-map/

もし、州最高裁でもFL州の州知事が決めた選挙区割りが敗訴すればFL州で共和党議席は減らすことになるだろう。となると、FL州において大統領選も共和党は苦戦することになるかもしれない。

② ペンシルベニア州の上院選

トランプ元大統領が支持するOZ候補がトップを走っているが、Barnette氏、 McCormick氏も追いかけている。特に Barnette氏の追い上げは興味深い。が、彼女の問題発言がかなり際立っていて、反イスラム・反同性愛などリベラルから総じて攻撃をうける人物である。 McCormick氏はQアノン支持者だったりして、なかなかアレな状況。財政緊縮派でFED金融政策にもたびたび口をだしていてパット・トゥーミー共和党上院議員の後任者になれる人はOz候補くらいしかいなさそうだけど、どうなることやら。

https://www.realclearpolitics.com/epolls/2022/senate/pa/pennsylvania_senate_republican_primary-7485.html

③ 民主党の攻撃フレーズがどうにも弱い

さて、バイデン大統領は ‘Ultra MAGA’と表現して共和党を攻撃しはじめた。未だに、トランプ元大統領の影響が色濃いということだ(引用:WP

民主党の選挙フレーズとしてはだいたい以下5つに絞られる。
①と②はバイデン政権、民主党はいまだによくつかっているよね。

①オイルメジャーが暴利をむさぼっているから、ガソリン価格が高騰している
②Putin’s Price Hike (プーチンがインフレを引き起こした)
③インフレはサプライチェーンの問題
④かつてないほど赤字を削減したバイデン政権。赤字削減はインフレを押し下げる効果をもつ
⑤共和党はインフレを叩いているが、共和党はインフレ鎮静化する案を一つもだしていない。むしろ、彼らは増税しようとしている!

それにしても、④が全く響いていなくて、記者会見の時もスルーされているのには苦笑いだった(引用元:Whitehouse) 。度々、この発言をしているけど、これは響かないだろうなー。

そういえば、粉ミルクが極端に不足していることでバイデン政権、民主党は対応に追われている(引用元:The Hill
米国のニュースはウクライナ関連はどんどん少なくなり、今は中絶問題と粉ミルク不足の問題が大きく取り上げられている。

④ MI州中絶制限の判決は6月下旬~7月上旬

6月に最高裁のMI州中絶制限の判決がでる予定とされているが、Row vs Wade判決が覆る可能性は高いとみている。民主党はこれをキッカケに選挙で有利になればと考えているようだが、そんなに有利に働くとは思えない。

というのも、別に連邦政府として中絶が禁止されるわけではなく「中絶に関する制限は州が決めよ」ということになるだろうから、州がどう判断するかになる。
いわゆる民主党が強い州は、すでに州別に中絶容認な法律ができているので影響はない。問題は、以下の地図のオレンジ・赤の州だろう。
確かに、パープル州については、中絶問題が追い風になって投票率が高まり民主党が有利になる可能性がでてくる。また、上院選で注目されているGA州、AZ州、PA州あたりでも影響がでるかもしれない。

ポイントは、
・連邦政府(バイデン政権)がどこまで対応できるか
・中絶に関する制限は、州が決めることに。州議会と州知事選挙に注目
・立法は中間選挙で民主党が大勝しない限り無理
このあたりになるだろう(引用元:Politico)

余談ではあるが、この中絶問題は、白人医師vs黒人助産師(midwives)の戦いがあり、そこに人種差別問題があったということは忘れてはならない。
なので、中絶(Abortion)の問題は、女性の権利、キリスト教、人種問題などかなり色んなことを横ぐしでみていかないと理解できない部分がある。