米議会5/2-7/下院休会、上院で山積みの議案はどこまで進むか

今週は下院議会が1週間休会になりますが、上院は通常通り開催される予定。下院で可決する必要がある議案は5/10まで動かないことを注意する必要がある。

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米議会、注目議案の進捗

先週も書いた通り、中間選挙が迫っているため、民主党にとっては「パフォーマンス投票(可決しないとわかっていても、支持者に民主党は可決させる意思があるということを示す)」が入ってきます。
議案が山積みなのだが、地元に戻って選挙活動が本格化する8月より前、7月までに可決しなければ年内可決というのは難しくなるとみていい。

① America COMPETES Actと The U.S. Innovation and Competition Act の進捗

上院は、下院との正式な協議プロセスを開始した(引用元:congress.gov)これで、両院がそれぞれ異なる法案を調整できるようになった。Bloombergの報道によると、法案の最終的な可決はまだ数カ月先かかるとようだ(引用元:Bloomberg)。両院ともに米国内半導体製造のための$520億予算については賛同しているのだが、下院バージョンAmerica COMPETES Actには国連気候変動基金への$80億割当など気候変動対策が割当られていることが共和党から大きな反発をよんでいる。
共和党が譲歩するとは考えにくいので、民主党が共和党から反発する条項を削除できるかどうかにかかっているかと思われる。

また、 下院バージョンAmerica COMPETES Act には、米国にとって重要な商品やサービスが、中国や懸念がある国への依存度を高める可能性がある対外投資に該当するかUSTRが精査するという規則が盛り込まれている。一部観測では、バイデン政権は、中国へのハイテク投資分野について米国投資を制限する大統領令も議論されているという。下院が新たに作成する規則は、かなり広範囲になるため明らかに該当しないM&Aの案件でも審査に時間がかかったりしたり混乱に陥る可能性がある。また、こうした余計な審査が入ることで中国との摩擦が大きな可能性もあるとのことだ(引用元:Bloomberg

さらに、 下院バージョン 「America COMPETES Act」 には外国企業説明責任法(HFCAA)に基づく措置 で上場廃止を3年から2年に短縮するかが盛り込まれている。これも最終的に盛り込まれることになるかどうかチェックしておいたほうがいいだろう(引用元:The Forbes

②ウクライナへの$330億支援

バイデン大統領は、米議会へウクライナへの追加支援のための補正予算(軍事援助$200億を含む)$330億を要求した(引用元:Whitehouse

Politicoによると、この$330億の支援そのものは超党派で可決される見込みだとされている。しかし、ここで民主党お得意の法案抱き合わせ戦略が障害になりそうだ。早くも、暗雲立ち込めている。

まず、バイデン大統領はこの法案に$100億のコロナ対策費を一緒に可決させるように呼び掛けている。バイデン政権にとっては、現在はコロナ対策追加支援費用とウクライナ支援が米議会に求める最優先事項だ。
この法案がなかなか可決しないのは、公衆衛生上の理由で不法移民を追放できる 「タイトル42」撤回の撤回にも共和党は投票を求めているためである。共和党上院議員の多くは、コロナ対策支援を縮小させたいと考えているので、バイデン大統領が要求した$320億から、$100億まで交渉で減額させている。正直、コロナ対策追加支援がもうなくてもよいと思っているのだろう(引用元:Politico

さらに、シューマー院内総務は、すでに下院で超党派で支持をえて可決した「米国が制裁対象に指定したロシアのオルガリヒたたいの資産を押収して売却する法案」をウクライナ支援法案に含めるとしている(引用:The Hill

下院は休会の為、まずは上院でどの法案を抱き合わせで審議にかけるかが注目されることになるだろう。

③マリファナ合法化(刑事罰の廃止)法案

すでに下院ではMarijuana Opportunity, Reinvestment and Expungement (MORE) Actは可決している。シューマー院内総務は、上院では4月末までに可決させたいと発言していて、共和党から賛成票を集めると話していたが、どうやらまだ共和党マカウスキ議員(AL州) にしか接触していないようだし、詳しい話さえしていないようだ。共和党からも3名しか賛成票を集められていないだけでなく、民主党マンチン議員から懸念を抱かれているので、現状では上院で可決する見込みは限りなく低くなったといえよう。シューマー院内総務は、法案提出を夏の休会前(7月)までに提出される意向を示している(引用元:The Paper

このマリファナ合法化法案が可決できなくなったことで、民主党は公約を一つ守れなくなったことになる。選挙に確実に響くだろう。

④マンチン議員が進めるエネルギー法案

マンチン上院議員が昨年のインフラ法案のようなエネルギー法案を進めているとの期待が先日報道されていたが、早くもいくつかについて期待が打ち砕かれる結果になった。

まず、バイデン政権が提案していたEV購入者への $5,000, $7,000, 最大$12,000  (米国企業で労働組合によって生産されたEV車)への税控除については “ludicrous” とマンチン議員が発言したことで終了した。これは以前から批判していたし、トヨタがWV州に投資したロビー活動が効いたこともまだ継続してあるのだろう。(引用元:Bloomberg

マンチン議員の考えだと、 輸送部門の脱炭素化、水素開発について予算をさくべきだと考えているが詳細はまだ明かされていない。


学生ローンキャンセルの動き

バイデン大統領が、ウクライナ追加支援の演説をした時 (引用元:Whitehouse) 、記者からの質疑応答で話がでたのだが、どうやら学生ローンキャンセルについての大統領令が2週間以内に発表されるようだ。そもそも民主党の公約の一つだったわけだが、未だ実現できていない。どう考えても、このタイミングで発表するのは民主党の選挙対策だろう。

ホワイトハウスは、学生ローンをおっている人、一人あたり少なくとも$1万の返済免除を検討しているようである。一方で、民主党議員は$5万を要求しているので乖離はあるものの、何らかの発表があるだろう(引用元:Bloomberg