今週も上下院ともに本議会が実施されます。そういえば、3/17はカトリックにとってSt. Patrick’s Day がありますね。
3/10に可決した2022年度予算、ウクライナ支援予算
2022年度予算が無事に上下院で可決したのだが、実はまだバイデン大統領の署名まで到達していない。というのも、2700ページほどの法案になるため、手続きで時間がかかるためだ。金曜日にバイデン大統領は、3/15までのつなぎ予算には署名した。というわけで、2022年度予算署名は3/15までには終了する見込みだ。
① $1.5兆の2022年度予算(9月末まで)
正確に表現すると「裁量的支出」についての予算。
◆国防費$7820億 前年度比△5.6% ($420億の増額)
- 海軍艦艇 、F35戦闘機などに増額されている(引用:Roll Call)
- 軍人の給与2.7%引き上げ(引用:Bloomberg)
◆外交や教育など国防以外の政策経費$7300億 前年度比△6.7% ($460億増額)
さて、今回は特定の支出に紐づけるイヤーマークが4000以上にのぼると報じられている(引用元:The Hill)。2010年に禁止されてから、ここまでの復活は11年ぶりになり、数十億が各議員の選出州に資金が流れるように紐づけられた。
再選挙を今年に控えているシューマー院内総務(NY州)のイヤーマークの総額は$8000万にものぼる。
なお、トランプ政権下で国境障壁の資金として過去に割り当てられた$19億を削除するという民主党主導の取り組みは失敗に終わっている。
他にも、富裕層投資家にグリーンカードを付与するEB-5ビザの復活などが盛り込まれている。
② NATO欧州軍強化、ウクライナへの軍事支援&人道支援へ$136億
この法案と一緒に、ウクライナへの軍事支援法案も可決した。バイデン政権が当初求めていた$60億の倍増となった。 内訳の引用元:WP
①国防総省へ$65億
-欧州軍への増額$30億
-ウクライナに提供された米軍装備の補充 $30億
② 米国国際開発庁 $26.5億
-食糧、医薬品等の重要物資提供
③国務省 $33億
-難民のための人道的支援
-必要に応じてウクライナ亡命政府を支援できる経済支援基金
-クライナのビザ申請やその他の移民問題の支援
バイデン政権スタート当初は「外交に強い政権」などと言われていたが、もはやアフガニスタン撤退のドタバタ劇からそのような表現はメディアから一切消えた。
今回のウクライナ危機では、政権に委ねられることが多い外交政策について米議会がリードしているという状況だ。もはや異例ともいえる状況で、米議会が超党派で動き、バイデン政権の方針を変えさせている(引用元:Politico)
次の焦点となっているのは、ウクライナへの戦闘機を提供するかだ。
すでに42名の共和党上院議員は、バイデン政権に対して書簡を送付している(引用元:The Hill)。ウクライナコーカスの一員、民主党のクローブシャー上院議員もバイデン政権の決定を尊重するといいつつも「 時期が来れば米国の戦闘機を派遣してほしいとホワイトハウスに伝えた 」と発言している(引用元:The Hill)
現段階では、民主党のウクライナコーカスが声をあげているような感じだが、いずれにしろ米議会が圧力をかけるのも時間の問題と思われる。
米議会で残されている議案
さて、脳梗塞で入院していたため欠席していた ルハン上院議員が 先週から戻ってきている。そのため、バイデン政権の高官承認など手続きが粛々と進むだろう
一方で、NATO欧州軍強化、ウクライナへの軍事支援&人道支援$136億が迅速に進んだのは、これ以上の大きな法案は可決しないからだろうという推測があったりもする。もうこのまま中間選挙モード突入になるかもしれない。
【民主党上院議会内で合意がとれていないもの】
①Build Back Better
②中国への競争力法案( America COMPETES Act of 2022 )
③FRBラスキン氏の承認
④連邦ガソリン税の一時停止
① Build Back Betterについては、少し動きがあるようだが、結局はマンチン上院議員次第ということがあるのでまだ不確定だ。BBBをインフレ対策に変えて秋までに可決させようということだが、いかんせんまだよくわかっていない。
マンチン上院議員とプログレッシブコーカスの意見がおりあうかが重要なんだろうけど、どうなんだろうか…
Democrats’ most at-risk senators want to transform the artist formerly known as “Build Back Better” into an inflation-buster, just in time for the midterms.
https://www.politico.com/news/2022/03/08/deal-manchin-reshape-dems-senate-defense-00014883
③FRBラスキン氏の承認については、数日前に上院銀行委員長のブラウン議員は、いまだに「バイデン大統領が指名した5名を一緒に投票する」と主張している。一方で、共和党銀行委員会メンバーの投票ボイコットがいつ終わるかは定かではない。共和党議員は、ラスキン氏を指名候補から外せば投票に進むと主張している。硬直状態が続いているため、このまま中間選挙突入というのもありえるかもしれない。
Brown said in an interview Thursday that he has no intention of putting before the panel a portion of the nominations, including the renomination of now-acting Fed Chair Jerome Powell.
https://www.bloomberg.com/news/articles/2022-03-10/raskin-nomination-takes-hit-as-manchin-backs-separate-fed-votes
④連邦ガソリン税の一時停止
連邦ガソリン税を年内一時停止させようと動きが民主党上院議員にみられる(引用元:The Hill)。
ただし、連邦ガソリン税はHighway Trust Fundの財源となっているので、たしかマンチン上院議員が反対していたはずだ。 民主党の半数も支持はしていないが、選挙対策としてはいいだろう。
メリーランド州、ジョージア州知事などは州議会と協力して州のガソリン税を一時停止する動きにでている(引用元:The Hill)
American Rescue Planで州や地方政府には$3500億の財政支援がでているのに加えて、コロナ禍でも州の財政は好調だったので、各州でのガソリン税を一時停止などして進むだろう。もちろん、選挙対策ということも絡む。