3/7-12の米議会 つなぎ予算期限は3/11/ロシア産エネルギー禁輸とウクライナ支援予算

今週は上下院ともに本会議を開催する週。3月は上院議会では休会なしのため、上院は忙しい1ヵ月となるだろう。

https://www.majorityleader.gov/calendar

つなぎ予算の期限は3/11

もう皆さんお忘れだと思うが、2022年度の年間予算は未だに可決できていない。3回のつなぎ予算(前年で可決した予算で、とりあえず進めるもの)で乗り切っている。前回、3/11までの短期予算で交渉妥結できるだろうと予測されていたが、まだ年間予算の交渉妥結には至っていない。

下院ホイヤー院内総務は、3/8(火)に下院では2022年度年間予算を可決させたい意向を示したが、「つなぎ予算」になるとは発言していない。希望的観測ではあるが、12の予算のうち、9~10は可決するのではないかという話もでている。

“I don’t know that we’ll get all 12 bills, but I think we’ll at least have probably 9 or 10 of them,” said Idaho Rep. Mike Simpson, the top Republican on the House Energy and Water Appropriations Subcommittee.

https://rollcall.com/2022/03/02/pandemic-relief-disaster-aid-strain-omnibus-spending-talks/

いくつか、年間予算に含めたい予算として、ウクライナ&NATO支援予算($64億~$100)、COVID19支援対策予算、ハリケーン・アイダからの復興支援予算で見解が大きく分かれているため、来週中に交渉が完了するかはかなり不確実な状況だ。
それにしても、米国の年度予算は10月スタートなので、2022年度年間予算でこれだけ時間がかかっている状況なので2023年年間予算も時間がかかりそうだ…

ロシア産エネルギーの禁輸とウクライナ支援予算案

まず、ロシア産エネルギーの禁輸について。

バイデン政権は一般教書演説でも、インフレについて言及して価格コントロールが最優先課題だと認識している(引用元:WHが公開した一般教書演説より)。色々なロシア制裁を実行してきているが、「エネルギー」については除外としてきている。

しかしながら、上院エネルギー委員会議長のマンチン議員(WV州選出)とマカウスキ議員(AK州)がロシアからのエネルギー輸入禁止法案を提出した(引用元:マンチン議員HP)。マンチン議員は声明文でも明確に書いている通り、1917年から国家緊急事態宣言に基づき大統領は禁輸を発動する権限を有している。米議会で立法化しなくても、大統領が禁輸を決定することができるのだ。米議会は立法化するというよりも、政権に圧力をかけるために提出したものだといえよう。

この法案の賛同者をみると、一部ウクライナコーカスもいるが、MT州、ND州、LA州などの化石燃料産業がさかえている州の上院議員もいる。マンチン議員もマカウスキ議員も、化石燃料産業の代表者であるから、ロシア産エネルギーを禁輸することで米国内化石燃料産業に恩恵をもたらしたいということもあるだろう。

一方で、ロシア産エネルギー禁輸をキッカケとして再エネ促進させたい米議員もいるわけだ。ウクライナコーカスのメンバーであり、クリエネ推進派のマーフィー議員なんかはそのような発言をしている(引用元:The Hill)。同じく長年のウクライナコーカスメンバーであり、民主党上院幹部のダービン院内幹事もロシア産エネルギー禁輸については支持表明をした(引用元:The Hill

化石燃料推進派にしろ、クリーンエネルギー推進にしろ、「ロシア産エネルギー禁輸」がキッカケになるならば使おうという話でもあるだろう。
金曜日の時点で、マンチン議員とホワイトハウス高官が密に連絡をとっていることは報道されているし、マンチン議員にはBuild Back Betterの一部譲歩というカードももっている。いずれにしろ、ロシア産エネルギー禁輸は進むだろう。ガソリン価格高騰はまだあると思っていた方がいい。

ちょうど今日のニュースで全米平均レギュラーガソリン価格が2008年6月以来で$4.009を超えた。こうやって州別のガソリン平均価格をみると、民主党州は全般的に価格が高いよね。ガソリン車ではなく、EVに移行したいという気持ちはわからなくはない。

https://gasprices.aaa.com/

あともう一つ重要なのが、ホワイトハウスが要求している$100億のウクライナ&NATO支援だ。土曜日にゼレンスキー大統領は米国の連邦議会議員全員(上院100名/下院435名)にオンラインMTGを呼びかけ、支援をよびかけた。
正式な参加者が公表されていないが、280~300人前後の米議員が参加したようだ。この中に、シューマー上院多数党院内総務、マコネル上院少数党院内総務が参加していたことは救いだろう。ペロシ下院議長は不明。下院プログレッシブコーカスはほとんど参加していないのではないかな…

あれだけ市民で被害者が出ていても、ゼレンスキー大統領とのMTG参加者は米議会の半分くらいしかいないということは受け止めなくてはいけないだろう。関心が薄いというのは続いているということだ。

シューマー多数党院内総務は、ウクライナへの軍事・人道支援$100億を、マコーネル議員と協力して実現すると誓ったそうなので、実際にどうなるかは今週わかるだろう。

According to another person who was on the call, Schumer told Zelenskyy he was “inspired by you and the strength and courage of the Ukrainian people.” He also vowed to work with Senate Minority Leader Mitch McConnell to deliver the Biden administration’s recent request for $10 billion in military and humanitarian assistance for Ukraine, which is likely to materialize as soon as next week.

https://www.politico.com/news/2022/03/05/zelenskyy-plea-congress-aid-00014419