上院議会は1/31~再開、下院議会は2/1~本会議が再開になります。
大型案件というより、小さいけど注目されている案件がいくつも出てきているので整理します。いつもながら、上院議会に注目していきます。
米議会で注目されている法案
【民主党上院議会内で合意がとれていないもの】
①Build Back Better
②2022年度年次予算(2/18までつなぎ予算で対応中)
③民主党発案のロシア制裁法案
④中国への競争力法案( America COMPETES Act of 2022 )
【まだ委員会での承認ステップ】
①FRBパウエル議長再任/ブレイナード副議長任命
②大統領に指名されたFRB理事の承認
③最高裁判事1名引退に伴う新たな指名
① Build Back Better
ペロシ下院議長の最新の発言では、3月1日(バイデン大統領の議会演説)までに可決させることを目指していないと発言している。期日をひかなくなってしまったのだ(引用元:The Hill)
WPにまで「誰も再検討するためのスケジュールをひいていない」と書かれてしまっているほどだ(引用元:WP)
まあ「合意する」という希望は捨てていないが、実際のところ誰も動いていないといったところだろうか。結局、バイデン大統領がマンチン議員とシネマ議員と交渉するしかないので民主党議員も手だしできない状態なのだろう。
党内の上院議員を統括する立場のシューマー院内総務のリーダーシップでまとめられない状態になっているのは明らか。シューマー院内総務の発言は、スケジュール以外は聞き流していいだろう。投票を含めた各法案の討論スケジュールはシューマー院内総務が決定権限あります。
一方で、米経営者団体のビジネス・ラウンドテーブル(BRT)の議長が今月から変更になり、GMの メアリー・バーラCEOが就任した。GEは、労働組合をもつ自動車メーカーなので、EV税額控除増額になるためBuild Back Better可決で多大な恩恵をうける。先日もフォードやMS、SalesforceなどBuild Back Better賛同者のトップとバイデン大統領は会合を行っている(引用元:ロイター)。
一方で、 ビジネス・ラウンドテーブルに加盟する大半の企業は増税に猛反対しているので、 Build Back Better反対の姿勢を崩さない構えだ。この数カ月で$数百万も投資して反対ロビー活動している(引用元:Politico)
まあなんというか、企業団体が反対ロビー活動に活発なうちは、マンチン議員&シネマ議員に多額の献金が流入し続けるので Build Back Better可決は難しいといったところだろう。共和党の億万長者の献金者でありホームデポ共同創業者のKen Langone もマンチン議員に多額の献金ですって(引用元:The Hill)
② 2022年度年度予算(2/18までつなぎ予算で対応中)
話題にのぼらないなと思っていたら、2/18までに間に合わない見込みのようだ。
そもそも歳出委員会内で共和党と民主党で合意がとれていないので、もはや本議会まで辿りつかないだろう。既に半年間のつなぎ予算で対応してしまっているわけだが、このタイミングを逃すと1年間つなぎ予算で過ごすことになる。最悪の事態だが、この可能性が高まっているということだ(引用元:The Hill)
つなぎ予算というのは、簡単にいうと前年度の予算支出内容のまま継続的に支出を許すというものだ。つまり、新たな支出ができないのだ。
そうなると何が起こっているかというと、先日可決したインフラ法案( Infrastructure Investment and Jobs Act )の一部が進んでいないのだ。
新規支出の部分は、約$6000億ほどあるが、以下のように2022年度年度予算を可決しないと動かせないものがある。法案は可決したものの、思うように進んでいないのだ。
Among them is $1.2 billion to help reduce carbon emissions and $1.4 billion to protect roads and bridges against the effects of climate change. And although the Federal Railroad Administration is in line to receive $66 billion in the next five years, Monje said the agency can’t hire the staff it needs to manage the significant infusion of money.
https://www.washingtonpost.com/transportation/2022/01/29/infrastructure-climate-goals-delay/
Some states, meanwhile, are putting off projects until Congress approves $9 billion in additional highway money.
③ 議会によるロシア制裁法案
私は、米国の議会はロシア制裁に積極的だが、バイデン政権はあまり乗り気でないと考えている。バイデン政権とゼレンスキー大統領の衝突は何度も起きているので考えが違う(引用元:AXIOS)
肝心の米議会は、まだ交渉中。 ロシア制裁法案についてメネンデス外交委員長は合意に近づいているという発言があるが、 「ロシアが敵対行為をしていると現職大統領が判断したら制裁」になっているのがひっかかる。 NordStream2への制裁はまだ党内合意を得ていないが、SWIFT制裁承認は盛り込まれてるようだ。 NordStream2 に制裁加えなくても、ロシアにSWIFT使わせないとドイツには結局痛手だと思うんだけど…(引用元:The HIll)
で、ゼレンスキー大統領と蜜月関係のジョンソン英首相がやたらはりきっているわけですよ。英国は、一足先に月曜日にロシア制裁を発表するとのことで、制裁発表後にジョンソン首相はロシア訪問になるようです…(引用元:The Gardian)。ロンドンにあるロシアのDirty Moneyに対してなんの制裁するんだろうかね~
Meanwhile, the Foreign Office is expected to announce tougher sanctions on Monday, meaning the UK can target Russia’s strategic and financial interests – despite reported US worries over the extent of “dirty” Russian money in London.
https://www.theguardian.com/world/2022/jan/29/boris-johnson-to-visit-ukraine-region-and-hold-call-with-putin-next-week
④中国への競争力法案( America COMPETES Act of 2022 )
先日下院議会が発表した米国の競争力強化を目指す法案「America COMPETES Act of 2022」なんだけど、上院で可決したものから気候変動対策項目を中心に色々追加されてしまっている(引用元:The Hill)
ペロシ議長が発表した「 America COMPETES Act of 2022」 はこちら。途上国の気候変動への対応を支援するための国連「緑の気候基金」への2年間で$80億拠出 とか関係ないしw
一方で、昨年可決したHolding Foreign Company Accountable Actで米国の開示ルールに従わない外国企業の上場廃止までの猶予が3年→2年に縮小されている。まだ200企業くらい上場している中国企業の米国市場からの撤退が早まるかもしれないのでここはおさえておいた方がいい。
当然、気候変動対策など盛り込まれていることを共和党下院は反発。下院では民主党が多数党なので通過するが、上院では共和党から10票を獲得できるかはマコネル上院の発言待ちかな。
上院銀行委員会での承認ステップ
バイデン大統領によって指名されたFRB要職の公聴会は2/3
・FRB銀行監督担当副議長にサラ・ブルーム・ラスキン元FRB理事
・ エコノミストのリサ・クック
・エコノミストのフィリップ・ジェファーソン
既に銀行委員会トップのトゥーミー議員が懸念を示しているので、すんなり承認とはいかなそうですね(引用元:ロイター)
パウエル議長の再任スケジュールは、まだ上院HPでは公開されていない。