ウクライナ侵攻騒動の背後にあるウクライナと英国の蜜月関係

欧米は「ロシアがウクライナを侵略しそうだ」というニュースが飛び交わせているが、どうも今回は英国発で仕掛けているような気がしてならないので書きとどめておく。

ウクライナについて

ウクライナは ロシア産天然ガスを欧州へ輸送するパイプラインのガス通行料収入が、GDP4%に達するほど重要な収入源になっている。NordStream2ができると、直接ドイツに天然ガスを輸送可能になるため、この収入が激減する。ウクライナにとって、NordStream2を進めるドイツは自国の収入を奪う敵なのだ。

実は、従来ロシアから欧州へのパイプライン輸送能力は、ノルドストリーム2がなくても物理的には十分足りていた。現在でもロシアはウクライナ経由パイプラインで大量の天然ガスを欧州向けに輸送することができるのである。ただし、ロシアがウクライナ経由パイプラインを利用すれば、2004年の親欧米政権樹立以降、関係の悪化しているウクライナにガス通行料を支払わざるを得ず、その懐を潤すことになってしまう。加えて過去にロシアはガス輸送に係るトラブルで欧州向けガス輸出をウクライナに止められたこともある。そのようなリスクを避けるためにも、ロシアはノルドストリーム2が必要なものと判断したと考えられている。
(少し中略)
一方、ウクライナがロシアとの欧州向け天然ガスパイプライン輸送契約を更改した2020年1月以降、ロシアは契約した最低数量しか天然ガスを送出していない。自国を経由してロシア産天然ガスを欧州へ輸送するパイプライン容量の7割が使用されなくなったため、ウクライナは毎月この利用者を募集してきたが、ロシアはこれに1回も入札せず、その一方で、ノルドストリーム2の建設を推し進めた。
今回、ロシアは、欧州を疑似的なガス不足にさせてでも、ノルドストリーム2を正当化し、エネルギーセキュリティーを高めたければ早く使用すべき、と迫っているとする見方が、いわゆる西側では大勢となっている。

https://oilgas-info.jogmec.go.jp/info_reports/1008924/1009220.html

ウクライナは収入源を心配しているようだが、そもそもウクライナのガス通行量はどんどん減ってきている。ピーク時の3分の1にまで縮小している。 しかもウクライナ経由した天然ガスの最終地点は、スロヴァキア、ハンガリーなどの東欧諸国しかなくなっているのだ。欧州大国はウクライナ経由以外の天然ガスを受け取っていることになる。 ハンガリーでさえ、ハンガリーでさえ、2021年10月にウクライナ経由の輸入を停止した。 (引用元:CSIS

転載:https://www.csis.org/analysis/can-european-energy-cope-conflict-ukraine

同じくパイプラインのガス通行料収入がありNord Stream2に反対しているポーランドを一緒に欧州でロビー活動していた。結果的に、イタリア、英国を巻き込むことに成功し、最終的に European Commission (欧州委員会)と Nord Stream2 反対で同盟を組むことに成功した。
また、米国議員の中には、昔からロシア強硬派(親ウクライナ)が存在していて2019年に欧州エネルギー安全保障保護法(PEESA)を可決させている。
引用元:The Guardian

ゼレンスキー大統領は、特に英国(ジョンソン首相)にすり寄っている。

英国とウクライナは、英国の欧州離脱後、いち早く自由貿易と戦略的パートナーシップを結んでいる。2021年11月には、英国製の$22億のフリゲート艦やミサイル艇を購入している(引用元:overtdefense.com

ウクライナと英国ジョンソン首相を親密にさせたのは、米国のトランプ大統領が最初のキッカケとなったのだろう。米国は2014年以降、総額約$15億もの軍事支援をウクライナに提供してきたがトランプ元大統領がいきなり打ち切りを表明したりしてきたわけだ。ウクライナとしては一番の後ろ盾だった米国から他国へ切り替える必要があったわけだ(引用元:BBC

さらに、バイデン大統領はNordStream2について承認する発言を既にしている。そのため、民主党議員内でもバイデン政権の親ドイツ(欧州との同盟関係強化)に舵をきったもんだから、民主党議員内でもやや混乱が生じていた。
今までロシア制裁に対して強気にでていた議員が、急に躊躇しはじめたため、今では「ロシアがウクライナに侵略したら実施する制裁」の立法化を進めている。
ポイントは、バイデン政権がドイツ寄りになったということだ。

しかしまぁ、こうやって「ロシアがウクライナを侵略する!」と騒げば、こうやって欧州委員会は支援金をくれるし、それをわかっていて騒いでいる気もする。

欧州委は今年ウクライナに追加で1億2000万ユーロを提供し、支援金を倍増させる予定だ。フォンデアライエン氏は、ウクライナの将来の資金需要を満たすため、第2弾の融資パッケージをまとめる作業を近く開始すると述べた。

https://jp.wsj.com/articles/nato-to-send-ships-jet-fighters-to-eastern-europe-amid-standoff-with-russi-11643032352

英国について

ジョンソン首相は、NordStream2について反対表明をしている。欧州離脱こそしたが、Nord Stream2反対については欧州委員会、ウクライナなど東欧諸国と見解は一致している。しかも、武器を大量に買ってもらっているため、ウクライナの収入がなくなるのは困るだろう。

Prime Minister Boris Johnson underlined British opposition to the Nord Stream 2 pipeline at a meeting of his senior ministers, his spokesman said on Tuesday.

https://www.reuters.com/world/uk/pm-johnson-underlined-uk-opposition-nord-stream-2-pipeline-spokesman-2021-11-16/

英国は、ヨーロッパの中では、ロシア産天然ガスがなくても困らない国の一つだ。風力発電出力状況によっては、全く必要がない時もある。
つまり、ロシアに対してエネルギー問題を抱えていないので強くでれる国の一つであるということだ。一番困るのは、ロシア産天然ガスが輸入の半分をしめるドイツ、あと今年については原発が停止しているフランスだ。
イタリアについては、LNG基地をもつので高価格になってもよければ輸入で賄えるだろう。価格が折り合うかは別問題ではあるが。

https://www.dailymail.co.uk/news/article-10435251/Ukraine-tensions-Europes-eco-policies-increased-reliance-Russian-gas.html

英国外務省は「ウクライナにロシアの傀儡政権を樹立しようとする計画があると英国情報機関がキャッチした」という報道をしている(引用元:The Gurdian
今回、ウクライナに武器を真っ先に提供したのも英国だ。

どうも英国の動きが匂うわけです。
ロシアの通貨ルーブルをみると、ドルに対してもう地に落ちているといっても過言ではなく、経済力は低い。何年も前から「ロシアは米国の敵ではない」と書かれているので、真剣に相手をしないだろう。

ウクライナのガス通行料収入の話を知ると、収入懸念があるたびに、こうした問題を起こしては各国から支援金を受け取って荒稼ぎするのかもしれない。

まとまりがないが、最後にしておく。
「問題は解決してはいけない」ということを考えると、NordStream2がこれらの問題を解決してしまうことになる。つまり、NordStream2を開通させてはいけないのだ。経済力がない東欧諸国にとって、 NordStream2 が敵だということを考えると、解決してはいけない問題になるのだろう。さて、欧州は団結し続けられるのだろうか。