12/6-11 今週の米議会はNDAAと債務上限引き上げ

先週は、NDAA(国防権限法)を可決して進めなければならない週だったが、結局、合意できずに終わってしまった。
12/3に期限切れとなる2022年度つなぎ予算は無事に2/18まで延長できて政府閉鎖にならずに済んだ。

https://www.congress.gov/calendars-and-schedules

シューマー院内総務は、12/13~の週にBuild Back Betterを可決する(引用元:The Hill)と意気込んではいるものの、最新カレンダーは未だに12/13から休会に入る予定となっている。

米議会で年内に進める法案

先週のを引用しつつ、一部アップデートした。
以下の法案は、民主党指導部、あるいは超党派で年内に進めなくてはならないと考えられている法案だ。

①NDAA(国防権限法)
3週間前から審議入りした米国防権限法。米国の国防予算であり、年度予算の大枠を占めるものだ。NDAAには、軍人の昇給や、軍事建設、船舶、航空機などへの資金提供が含まれている。今年度予算は$7,779億を予定しており、前年比△約5%となる見込みだ。
先々週、シューマー院内総務は、 中国に対抗するため米国の競争力強化を目指す法案を盛り込む考えを示していたが、共和党からの反対にあって考えを撤回した。
現在の問題は、 2つの修正案だ。特にウイグル人強制労働防止法が一番のハードルになっている。

1)Nord Stream 2への制裁
・メネンデス議員(民主党)は、ロシアがウクライナへの侵攻や転覆を開始した場合に限り、大統領がノードストリーム2 を制裁できるようにする修正案
・リッシュ議員(共和党)は、ノルドストリーム2パイプラインを建設するロシア企業の幹部とその資金提供者に対して、米国への入国を拒否し、米国内での資金使用を禁止するという制裁措置を実施する修正案

どちらも修正案として投票にかけるようだが、少なくとも12/6に投票は予定されていないため12/7以降になるだろう。

2)ウイグル人強制労働防止法
新疆ウイグル自治区のウイグル人などの強制労働によって作られた製品が米国市場に出回らないようにすることを目的としている。既に7月に上院を全会一致で通過しているが下院で可決していないため、それを法制化したい意向なのだ。
中国強硬派のルビオ議員は、この法案が法制化される道筋がつくまで、NDAA修正案の投票を行うことに同意しないと発言してNDAAはまた足踏みをすることになってしまった。

なお、NDAAはなんとしても年内に可決したいという超党派の議員の意向が強いのでこれが最優先となるだろう(引用元:Politico/WSJ

②債務上限引き上げ
当初は12/3に債務上限引き上げに達すると見込まれていたが、債務上限に達する最新予測が12/15だと公表された(引用元:The Hill
ヤーマス下院予算委員長は、債務上限引き上げは財政調整プロセスも視野にいれるべきだと発言しているが、 シューマー院内総務が、かたくなに単独法案(60票必要で共和党から10票必要)を主張していて、財政調整プロセスを拒否している。それに以前は財政調整プロセスは2週間ほど時間がかかるとあったので、既に手遅れなので単独法案以外、選択肢はないだろう(引用元:ブルームバーグ

シューマー上院多数党院内総務とマコネル上院少数党院内総務は話し合い継続しているようだが、非公開のため情報が出てこない。
NDAAで共和党の意向を取り入れることと交換条件として、債務上限引き上げに合意するなんていうことはじゅうぶんありそうだ。いずれにしろ、共和党は自らの意向を通しやすい状況にある。

④Build Back Better

民主党指導部としては、バイデン大統領の支持率下落、バージニア州の敗北、NJ州で敗北はしなかったがすれすれで知事当選したことなどがあり、極めて危機感を抱いている。中間選挙で巻き返しを図るために何がなんでも可決させたいと考えている。できるだけ年内にというのが彼らの意向だ。

しかし、下院Ways and Means 委員会ニール委員長は、年内の議会は議案山積みなので、財政調整法案(Build Back Better)は来年になるんじゃないかと発言をしている( 引用元:Tweet