Veterans Day(退役軍人の祝日)の1週間は地元に戻っていたが、上院議会は15日午後から再開する。しかし、またThanksgiving Dayが11/25に予定されているので、その1週間も地元に戻るため本議会休会の予定だ。
そして12月は、13日から例年通りなら休会となる。
さて、インフラ法案はバイデン大統領による署名まで先週に終えたので一歩進んだ。しかし、マーケットにとっての問題は、債務上限引き上げと2022年度予算がまだまったく進んでいないことだ。もう2022年度予算は、つなぎ予算をもう1回とか言い始めているのでそうなる可能性が高い (引用元:The Hill)
①2022年度予算
12/3までのつなぎ予算で政府閉鎖回避
②債務上限引き上げ( $4800億の増加)
12/3に、次の債務上限に達する見込み。
(12/4になれば自動的に債務上限に達するわけではない)
財政調整法案の進捗
ペロシ下院議長は、今週、下院議会でBuild Back Betterの採決をやる気満々だ。しかしながら、前回書いたように、CBO(議会予算局)による試算待ちの状態であるし、まだ下院内でも合意がとれているか不明な部分もある。
Immigration(移民への市民権付与)、SALT ( 州・地方税 )、富裕税(含み益課税)については、少なくとも下院民主党と上院民主党員とで合意がとれていないことは確かだ。詳細は先週のブログを参照ください。
下院議会では、マンチン議員が反対表明した家族有給休暇手当を再度追加しているし、下院が可決したとしても、バード・ルールやマンチン議員の意向で上院で大幅な変更が加えられるだろう。なので、今週、下院議会が可決しても、重要なのは上院議会での投票になる。あと、おそらく投票前のマンチン議員との直前交渉でも大幅に変わる可能性があるので要注意だ。
★先週のマンチン上院議員の発言
先週のCPI発表後、 マンチン議員は、Build Back Better(財政調整法案)による財政支出に改めて懸念を示した。(引用元:The Hill)
以前から「今、財政出動をするべきなのか?」ということにも懸念を示してきたが、再度、それを表明した。
また、マンチン議員は、8月からパウエル議長に「インフレが起きている。金融政策を見直せ」と書簡を送っているくらい、インフレについて懸念を示している。
また、トヨタのイベントで、 「米労働組合を持つ拠点で組み立てられたEV購入の$4500税額控除」には反対だと表明した。かなり唐突だったが、どうやらトヨタがWV州への新規投資と引き換えに反対表明をしてもらったようだ。トヨタのロビー活動の勝利ですね。この控除部分で$数千億くらいの支出が変わる気がするので、また支出が減りそうですね。
Today I visited Toyota's Buffalo facility to see their new $240M hybrid transaxle line & to honor our Veterans & Gold Star Families. Toyota West Virginia has been a strong partner for 25 years & I thank them for their commitment to employing Veterans & supporting Veterans' orgs. pic.twitter.com/G1oHKNthU9
— Senator Joe Manchin (@Sen_JoeManchin) November 11, 2021
このマンチン議員の反対表明で、MI州の上院議員がものすごい反発しているのがまた面白いですね。MI州上院議員は、フォードやGMといった米自動車産業の代表として動いているからね。
厄介なインフレに直面しているバイデン政権
Texas families are paying 74% more than what they did just 1 year ago every time they fill up their tank.
— Senator John Cornyn (@JohnCornyn) November 8, 2021
Unfortunately, President Biden and Democrats are only trying to make things worse by including a new tax on energy in their multi-trillion dollar tax-and-spending spree. pic.twitter.com/GVapecqboF
共和党議員が積極的に「BIDENFLATION」とタグつくったりして煽っていますね。共和党は ”インフレは、バイデン政権が多額の政府支出しているせい” という選挙広告が、民主党離れを引き起こし、共和党に票が集まるという強い正の相関関係を見出したようなので積極的につかっています(引用元:Politico)
物価高騰と、大規模な財政出動の関連性をホワイトハウスは一生懸命火消ししていますが、たとえその関連性がなかったとしても、消費者には響かないんだろうなあと感じています(引用元:ロイター)
一つだけ言えることは、「バイデン政権下のもとで、インフレが起きている」ということは事実です。これからエネルギー価格、特にガス価格、電気価格が高騰することはほぼ確実になっています。ラニーニャ現象が90%の確率で起こるらしいので、少なくとも2月までは東アジア厳冬、東海岸も厳冬、一方で、CA州は水不足というのは予測されることです。
(引用元:ロイター/ブルームバーグ)
その要因は、バイデン政権じゃなかったとしても、一般消費者にとっては、「バイデン政権の時は生活が苦しかった」と思うのでしょう。
そして、バイデン政権にとっても、インフレは是が日でも火消ししたいのです。
というのも、カーター大統領が大敗した1980年選挙を思い出すのでしょう。就任当時は、高い支持率だったのに、インフレがおきて支持率急落していった経緯がありますからね。民主党にとっては、そこからクリントン大統領就任させるまで12年かかったので非常に苦しい期間だったのだと思います。
1980年代は、ますます労働組合の力が弱まった時期なので、民主党の支持基盤を強化する戦略も大きく変えたタイミングですね。スウィーニー元AFL-CIO議長が1980–1995年の15年間でSEIU組合員を62.6万人から約2倍にした時期であり、賃上げを訴求する労働運動から社会運動ユニオニズムに変えていったタイミングとぴったり重なりますね。
しかも、着々と進むゲリマンダでも 選挙区割りの区割り再編成(ゲリマンダリング)で共和党が有利になりつつあるようです。このあたりも進捗をみていきたいと思います(引用元:The Hill)