11/1-6 インフラ法案は今週こそ下院で採決できるのか

バイデン政権および民主党幹部は、欧州出発以前に、なんとか取引をまとめたかった。しかし、実現できたのは、下院プログレッシブコーカスに対して Build Back Betterを$3.5兆から$1.75兆の減額と、いくつかの社会保障(家族休暇、無償カレッジ)などの削除を納得させたことだった。あくまで”framework”の合意であって、法案文書をおこして、より具体的につめていくのは、これからだ。

尚、先月末に1ヵ月だけ延長した highway and transit construction programについては10/28に下院議会をさらなる延長予算を可決した。しかし、12/3までだ(引用元:The Hill

https://www.majorityleader.gov/calendar

(1)$1.75兆の枠組みにマンチン&シネマ議員は承諾したのか?

バイデン大統領は、「党内で合意した」というような発表をしている。しかし、マンチン上院議員の最新コメントを見る限り、マンチン上院議員が納得しているとは思えない。3月に可決したAmerican Rescue Plan (2021年米国救済計画法)の経緯をみると、マンチン上院議員は直前で大きな変更を入れてきた。具体的には、失業保険給付は$400/週→$300/週に変更になり、2024年まで州税の減税を禁止する条項まで追加された。おそらく、今回も大きな変更が直前で入ってくる可能性もじゅうぶんにあるとみておいた方がよさそうだ。

(2)$1.75兆の枠組みの内容は何か?

https://www.washingtonpost.com/business/2021/10/28/biden-spending-plan-what-is-in-it/
(WPより転載)

1)Clean energy and Climate investments($5500億)
・発電所や住宅用の再生可能エネルギー、送電、EV、製造業に対して税額控除の拡大$3,200億(ここに米国内の労働組合によって製造されたEV控除$12500も含まれる)
・山火事や干ばつなど自然災害対応 $1,050億
・再生可能エネルギー技術の米国内サプライチェーン構築 $1,100億

※具体的な内容が明かされていないため、マンチン上院議員が化石燃料関連について含まれていないか確認中とWSJが報じている(引用元:WSJ

2)Child Care and Preschool ($4000億)
・3歳と4歳にfree prekindergarten
・ペルグラント奨学金上限額を$550引き上げ( 約500万人の学生を対象)

3) Child Tax Credit、または Income Tax Credit  1年間延長 $2000億
それぞれのCreditで$1000億
※子どもがいない場合は、earned-income tax credit を1年間延長

4)Housing  $1500億
-公営住宅の修理 $650億
-賃貸支援 $250億
-手頃な住宅建設のための信託基金 $150億

5)Home Care  $ 1,500億
高齢者や障害者のための家庭・地域密着型サービス拡大

6)ACA Premium $1300億
・メディケイドを拡大していない十数州の低所得者が、月々の保険料を支払うことなくACAの医療保険を購入できるよう、2025年まで延長

7) メディケア給付に聴覚障害者向けの給付を追加 $350億

大きなところでこんなところだろうか。
immigration$1000億と予算が計上されていることについて一言。「国境で引き離された移民家族1家族あたり$100万の補償金検討」とあるが、既に民事訴訟が進んでいるようなので、その対策を無理やり含んだのかもね。WSJによると、NJ州では2019年の和解で$12.5万受け取っている事例があるようです。

また、新たな動きとしては、薬価引き下げについてだ。
今回発表された内容には含まれていないが、未だ水面下で交渉しているようだ。メディケアパートD、医薬品交渉、リベートなど複数の話し合いが行われているようだが、未だ交渉中だ。早ければ、日曜日や月曜日にも合意される可能性があるようだ(引用元:Politico

(3)増税について

バイデン大統領が発表した今回のBuild Back Betterに対する財源を6つあげているが、いずれも細かいところが不透明だ。あくまで、マンチン上院議員とシネマ議員が反対しない部分を取り出してきた増税案ということだろう。これらも決まったわけではなく、まさにこれからつめていくことになるだろう。

-IRSに約$800億を資金投下して税金取締
-international tax code見直し
-年間$10億以上の米企業に15%の法人税
-パススルー企業への新たな税金
-1,000万ドル以上の所得者に対する増税
-自社株買いへの課税
引用元:WP

(4)今週注目する動き

民主党指導部の側近によると、インフラ法案は、早ければ月曜日に下院規則委員会、火曜日に本会議で採決とる見込みと報じられている(引用元:ブルームバーグ

一方で、プログレッシブコーカス議長のジャパル議員は、Build Back Betterとインフラ法案を一緒に可決させるとみなしている。ここ数カ月、このスタンスを変えていないのでインフラ法案が可決するかは不透明だ。