民主党のシューマー院内総務、ペロシ下院議長はともに今週中に $3.5兆の財政調整法案(社会保障の充実&増税) と インフラ法案といった2つの法案を上下院両方で可決すると意気込んでいる。日曜日もバイデン大統領、シューマー院内総務、マンチン議員と交渉を継続したようだが、進歩はあれど妥結なし(引用元:Politico)
つなぎ予算の期限
①surface transportation programs
10月末までのつなぎ予算で運輸省関連の閉鎖回避
②2022年度予算
12/3までのつなぎ予算で政府閉鎖回避
③債務上限引き上げ( $4800億の増加)
12/3に、次の債務上限に達する見込み。
(12/4になれば自動的に債務上限に達するわけではない)
まず、①について。
surface transportation programsが今月末(今週末)で期限が切れるわけだが、また短期のつなぎ予算を可決するのではないかという推測がでている。
次に、②についてだが、上院歳出委員会の委員長は2022年度の9つの歳出法案を発表した。(引用元:上院歳出委員会)
ただ、これもまず下院民主党の歳出法案と異なるため必ず調整が必要になる。また、共和党の交渉で進めるか、債務上限引き上げとあわせて財政調整法案で進めるかなど、どう進めるかがまだ決まっていない段階だ。
最後に③については、特に進捗がでてきた気配がなかった。
財政調整法案とインフラ法案の進捗
1. $3.5兆(10年間で)の財政調整法案
・マンチン上院議員は$1.5兆までしか支持しない
・民主党指導部の妥協ラインである$2.2~1.9兆と予算引き下げもマンチン上院議員とシネマ上院議員は反対を示した。
【New】
・コミュニティカレッジ無償化は、法案から削除される見込み(引用元:CNN)
・ 家族の病気看病のための有給休暇、高齢者介護のための有給休暇は予算をかなり低くして実施
2. インフラ法案(新規支出は上院では$5500億)
・下院での採決日未定
・下院プログレッシブコーカスは、「$3.5兆財政調整法案を先に可決しない限り、インフラ法案に賛成票をいれないと強硬姿勢を未だに崩していない。
・民主党シネマ上院議員は「インフラ法案を先に可決しないと $3.5兆財政調整法案に賛成しない」とプログレッシブコーカスと真逆の主張(引用:ロイター)
以下は、財政調整法案についてマンチン議員とシネマ議員の意向を整理
<マンチン上院議員の今まで発言した中での内容は以下の通り>
・キャピタルゲイン税は21%→28%が妥当
・法人税は21%→25%が公正
・低所得者層のみのchild tax creditは支持 (上限を設けて予算削減)
4年間で$4500億、10年間で$1.6兆もの費用が発生するプラン…
・最高税率39.6%に引き上げ支持
・無料のプリスクール には懸念を示す
・ Clean Electricity Payment Program(クリーンエネルギー発電に対して助成金)には反対(引用:The Hill)
<New!シネマ上院議員の意向は以下の通り>
・法人税率、個人所得税の最高税率、キャピタルゲインの最高税率を引き上げることに反対 (租税回避問題に対処せずに増税だけすることに反対)
・メディケアに歯科、眼科、聴覚を拡大することにも反対
・薬価引き下げも反対
ここへきて、シネマ議員が増税反対と主張してきたものだから、法人税の増税、キャピタルゲイン増税など幅広い増税プランがなくな見込みだ。とはいえ、財源を確保しないとマンチン議員から反対がくる。なので、財源を確保するために、企業の自社株買いへの税金や、超富裕層(約1000名)が保有する流動資産からの未実現キャピタルゲインに毎年課税など(引用元:WSJ)を民主党は検討している。
ここまでくると、Build Back Betterの大きなプランで何が残っているのか…?となってくるわけなので再度整理するが、大きな項目としては以下が残りそうなくらいなのだ。細かいものを含めたとしてせいぜい$5000億~1兆ではないだろうか。メディケア拡充、薬価引き下げ、Child tax creditが削られたのは大きい。
①Paid family leave 4週間の有給家族休暇
②Child tax credit 今年実施しているが、1年間だけ延長(予算$1100億)
③Affordable housing 規模を縮小して実施
なお、 マンチン上院議員は「自分はBuild Back Betterはなしでいい。この$2~3.5兆のプランが全くなくなっていい」と発言した(引用元:The Hill)
なので、本当になくなる可能性も多分にあるということだ。