10/18-23 米議会再開、民主党内の溝は埋まらないまま/2022年11月中間選挙

上下院ともに、本議会は再開します。
民主党のシューマー院内総務、ペロシ下院議長はともに10/31までに以下の2つの法案を可決すると意気込んでいるが、おそらくこのスケジュールでは厳しい。
・$3.5兆の財政調整法案(社会保障の充実&増税)
・インフラ法案

https://www.govinfo.gov/content/pkg/CCAL-117scal-2021-10-18/pdf/CCAL-117scal-2021-10-18.pdf

先々週、その場しのぎの「つなぎ予算」を可決したわけだが、今月末にはインフラ法案のつなぎ予算期限が終了する。まずは、今週から来週にかけて、これをどう乗り切るかだろう。また「つなぎ予算」でしのぐではないのかな…

surface transportation programs
10月末までのつなぎ予算で運輸省関連の閉鎖回避
2022年度予算
12/3までのつなぎ予算で政府閉鎖回避
③債務上限引き上げ
$4800億の増加。12/3が次の債務上限に達する見込みとなる。
(12/4になれば債務上限に達するわけではない)

インフラ法案、財政調整法案の進捗

先週1週間で交渉は進んでいるが、可決にむけて党内の溝は埋まっていないし、むしろ溝が広がっているような印象を受ける。

1. $3.5兆(10年間で)の財政調整法案
・10/7にマンチン上院議員とバイデン大統領は再度交渉。進捗・結果は非公開
・マンチン上院議員は$1.5兆までしか支持しない
・シネマ上院議員は、許容できる上限金額を提示していない。
【New】
・民主党指導部の妥協ラインである$2.2~1.9兆と予算引き下げもマンチン上院議員とシネマ上院議員は反対を示した。

2. インフラ法案(新規支出は上院では$5500億)
・下院での採決日未定
・下院プログレッシブコーカスは、「$3.5兆財政調整法案を先に可決しない限り、インフラ法案に賛成票をいれないと強硬姿勢を未だに崩していない。
【New】
・民主党シネマ上院議員は「インフラ法案を先に可決しないと $3.5兆財政調整法案に賛成票をいれない」と下院プログレッシブコーカスと真逆の主張を言い始めた(引用:ロイター

尚、財政調整法案については、予算規模で話すよりもマンチン議員が何に賛同しているかでみたほうがよい。

<マンチン上院議員の今まで発言した中での内容は以下の通り>
・キャピタルゲイン税は21%→28%が妥当
・法人税は21%→25%が公正
・低所得者層のみのchild tax creditは支持 (上限を設けて予算削減)
 4年間で$4500億、10年間で$1.6兆もの費用が発生するプラン…
・最高税率39.6%に引き上げ支持
・無料のプリスクール、コミュニティカレッジ無償化には懸念を示す
【New】
・ Clean Electricity Payment Program(クリーンエネルギー発電に対して助成金)には反対しているので法案から削除される可能性あり(引用:The Hill
・家族の病気看病のための有給休暇、高齢者介護のための有給休暇を政府がそれぞれ$4000億かけて助成金をだす(引用:Axios


それにしても、民主党内の非難合戦、環境団体から議員への嫌がらせが多発しているんですよね…
特に、民主党内のサンダース議員vsマンチン議員は非難合戦になっていてアレですね。まあサンダース議員の出身州のVT州みたいな60万人しか人口がいない小規模な州と、石炭産業で栄えて産業転換に今も苦しんで、全米でワースト5に入る貧困州はわかりあえないだろうなぁ…。

2022年11月の中間選挙までもうすぐ1年

だいぶ選挙の話も増えてきました。
民主党はご覧の通り溝が深い状況ですが、遂に民主党寄りのメディアPoliticoにまで「Democrats also recognize, though rarely admit aloud, that this Congress might be the last time in a long time that they control the House, Senate and the White House.」書かれてしまいました。要は、上下院の議席を多数党で大統領も民主党なるのは最後になるかもしれないということです。Politicoが書いているというあたり、かなり危機感があるのではないでしょうか。2010年の共和党ティーパーティームーブメントで下院議席数をとれなくなってから、取り戻すまでに10年の月日がかかったわけですが、ここまでくるのにまた10年かかるかもしれないね、ということです。
まぁ民主党の一番の支持団体は労働組合であり、そこと環境団体やら移民への権利を求める団体などが団結して取り組んだけど、やっぱりダメだったということになれば次はどういう手をつかって団結してくるのかは興味があります。

一方で、共和党もまたトランプ元大統領擁護派と反対派で分かれていて、どちらかというと反対派の勢いがしぼんでいる感じです。とはいえ、共和党も分裂していることには変わりないのですが、民主党が分裂している時こそチャンスなので、何がなんでも議席を取り返したいと考えているでしょう。

さて、先日共和党上院議員の重鎮の1人であるチャック・グラスリー(88歳!)がさすがに引退するだろうと誰もが考えていたわけだが、再選挙すると宣言して選挙活動をしはじめた。95歳まで議員やる気なのか…
アイオワ州といえば、トウモロコシだがまだ現役で農作業もしてるのか…

で、先々週の10/10のグラスリー議員の選挙キャンペーンにトランプ元大統領が演説応援しにきたと。グラスリー議員は、トランプ元大統領と意見があうことは少なかったんだけど、それでもグラスリー議員の選挙応援に来たということは、トランプ元大統領の人気を取り入れることを選んだということですね。
とはいえ、アイオワ州上院選挙で、共和党内の対抗馬(トランプ元大統領反対派)もあるので、一波乱あるかもしれないですね。