上院議会は、7/12午後から本議会再開。
下院議会は、7/12から再開ですが、7/12~16は投票はなしで、委員会活動。
【1】今後の法案スケジュール
①経済対策$4~6兆
大前提として、現在は上院予算委員会の予算決議待ちです。サンダース議員の$6兆規模の予算に対して委員会内で指示が過半数獲得できていません。2週間の休会中、ずっと協議していてまだ結論がでていない。(引用元:The Hill)
サンダース予算委員会委員長は$6兆案 、マンチン上院議員は$2兆程度が妥当としていて既にまた民主党内で見解が分かれている。さらに、超党派インフラ法案を先に通すか、財政調整法案可決後かでも党内で意見が分かれているしなぁ…
また、超党派インフラ法案($約1.2兆/新規支出は$5000億ほど)の賛同者は遂に21名に達しています。少なくとも共和党10名の同意は獲得していますので、共和党全員が賛同にまわれば可決するでしょう。ただし、「財政調整法案可決しないと」という条件付に憤慨している共和党員が多いので、財政調整法案と超党派インフラ法案がセットとみなされると、超党派インフラ法案の可決は難しくなるでしょう。
今週あった大きな動きとしては、この超党派インフラ法案を米最大の労働組合AFL-CIOが承認したこと。米商工会議所、 全米製造業者協会などの共和党寄りの支持団体が強く賛同するのは理解できるけど、まさか 労働組合AFL-CIOが承認するとは思わなかった。もしかしたら、この超党派インフラ法案を先に可決する流れが出てくる可能性は高いです(引用元:The Hill)
この流れをうけてか、シューマー院内総務は態度を変えてきた模様だ。7/19~の週に本議会で取り上げられる可能性があると報道されていたが、未だ法案作成が出来合がっていないので早くて7月末になりそうだ。 (引用元:The Hill)
まあシューマー院内総務は、上院議員宛の手紙で“senators should be prepared for the possibility of working long nights, weekends, and remaining in Washington into the previously-scheduled August state work period.”と書いたようなんで、まあ深夜、週末、夏にもワシントンに残って活動することを覚悟せよ!ということだそうです。
そして、バイデン政権の経済対策だけでなくて、あと3つの重要な法案も可決しなくてはいけない状況なので8-9月は議会はかなり立て込むことになる。
②9/30までに2022年度予算を可決
③9/30までにHighway関連法
④債務上限引き上げ
財政調整法案についても、そんなにすんなり通るとは思えないわけですよ。
現在の議席数を考えると、3議席までしか造反者を出せません。
既にSALT(米国の州・地方税(SALT)の税額控除の上限)について意見が分かれていて未だ合意できていないし、今度は 移民の市民権について財政調整法に盛り込まないなら、財政調整法案に賛同しないという議員まで出てきている(引用元:Roll Call)
【2】Child Tax Creditの還付が7/15~スタート。
7/15~からChild Tax Creditが還付されます。期限は2021年末までなので半年間ですが、毎月15日前後に受け取れます。
子供1人あたり最大$250(6歳未満は最大$300)
年収制限があるものの3900万人が対象で、子どもの90%以上がカバーされる。
確か5年間これを実施しようとすると$4000億ほど予算計上の必要がある気がしたので、ざっくり半年分で$400億の経済対策になると試算してよいのかな。まあでもその$400億が日用品・食料品の売上をあげるとすれば大きいかもね。
【3】G20最低法人税率合意の流れ
イエレン財務長官は、2022年春までには議会で審議可能だと発言したようですが、また嫌なタイミングですね。中間選挙前じゃないですか。
議員のツイートみていても、全然この話でてないんだよね。関心が薄いというより、上記に書いた通り、審議すべきことが盛りだくさんすぎて、そんなことまで関心がいかないのでしょうか。
Most members of Congress have paid little attention to details of international talks, and Democrats may raise taxes without going as far as Treasury officials want.
https://www.wsj.com/articles/global-tax-deal-heads-down-perilous-path-in-congress-11626008186?mod=hp_lead_pos2
そもそも論、これは国際法人税協定条約なら、条約の批准が必要とみなされるので米議会上院の3分の2(つまり60票)の賛成票が必要になるんですね。
そうなると、米議会を可決するのは絶望的になると思います。
ただ、オバマ前政権が「パリ協定は条約ではない」みたいな新ルールをつくって米議会を迂回したことがあった前例があるから、バイデン政権も同じことをやらかす可能性がある。とはいえ、税制についてはさすがに米議会で可決しないといけない気がしますよ。
【再掲】9月までの財政期限切れ、今後の法案スケジュール
市場の注目は、$4~6兆規模のバイデン政権が提示したインフラ法案だとは思いますが、9月末までに解決すべき議題が山盛り。また、米政府が実施してきた経済対策スケジュールも期限切れを迎えるのがまさに同時期に起こります。
まず、期限切れを迎える政策
1) 7/31 :賃貸者および住宅ローン滞納者の立退禁止が終了(約 700万人)
※延長ない予定
2) 9/4:全州で失業給付増額/PUA/PEUC終了 (ざっくり800~1000万人)
※マンチン議員が延長不要と宣言してるため、さらなる延長はないはず
3) 9/30:学生ローンモラトリアム終了(学生ローン4400万人)
※延長がありうる
4)9/30: 2015年に可決したHighway法案(5年)が期限切れを迎える。