【1】米議会上下院スケジュール
下院議会は6/14(月)から本会議再開。
①上下院議会でのインフラ法案の動き
まず、共和党カピト議員とバイデン大統領の交渉は失敗に終わった。次に、ロムニー議員を中心とした超党派グループ(民主党5名、共和党5名)が、インフラ予算に関してほぼ合意に達した。予算は$1.2兆。
ポイントとしては、増税は予定していないということ。特に2017年トランプ減税を巻き戻すような条項は盛り込まれていないということだ。ここは超党派で話し合える共和党員でもレッドラインのようだ。一方で、民主党側としても気候変動対策は必須なので、それは盛り込まれることになる。
具体的な予算としては、下院Problem Caucusの提案内容と近いようだ。 Problem Caucusの提案内容は以下の通りで、高速道路や道路に$5820億、ブロードバンド$450億、EVインフラ&バスの導入は$250億、クリーンエネルギー&電力網で$710億。まぁ、だいたいこのあたりの予算が超党派の落としどころなのかもしれない。
ちなみに、 レストラン業界がまた$600億も助成金うけとれる条項をもうけているようだ。 全米レストラン業界の政治力すごいですね、政治家動かして助成金価勝ち取るってこうだ。日本も見習った方がいいのでは(引用元:The Hill)
ただし、問題は、この案を民主党指導部(ペロシ下院議長、シューマー院内総務、ダービン院内幹事など)が納得するかどうかだ。
尚、下院の商&エネルギー委員会で3月に提示されたEVに関連する法案は以下の通りでEV関連にかなり比重をおいている。超党派の法案を民主党指導部が受け入れるかって難しいところだ。
① The CLEAN Future Act ($5650億)
―乗用車・トラックなどをすべてEVにするための取組( $1000億)
② The LIFT America Act ( $3120億)
―クリーンエネルギーやエネルギー効率向上 ( $699億 )
―電気自動車のためのインフラ構築( $418億 )
―バッテリー国内製造を加速させるための($125億)
― ブロードバンド網の拡充$1000億
② American Family Planやインフラ法案で盛り込まれそうな薬価引き下げについて
ペロシ下院議長やプログレッシブコーカスは、薬価引き下げを是が非でも盛り込みたいのですが、彼らが求めるレベルの引き下げは難しいと判断した。
どうやら、民主党上院議員のメネンデス議員(NJ州)は製薬会社の代表議員だったようだ。知らなかった。過去の投票履歴からみても、薬価引き下げには反対するだろうと予測されている。上院議員で1票でも落とすと可決しないからね(引用元:The Hill)
一方で、薬価引き下げの管轄であるワイデン上院財政議長は上院民主党50名で賛同得られる法案を検討しているとのこと。薬価引き下げは、民主党の優先課題ではあるので全員が賛同得られる法案を可決したいという意図はあるでしょう。
③Endless Frontier Act/U.S. Innovation and Competition Actの進捗
ざっとUS Innovation & Competition Actの内容は以下の通り。下院は6月下旬から7月にかけて独自に作成した法案を審議して可決するようなので、そこをみてからですね。
・半導体の米国内製造に5年間で$530億
・連邦政府の科学技術
・研究費見直しで$1900億(全米科学財団に$810億)
・月面着陸機2機 $100億 ・中国、CCPの脅威に対抗するため$150億
ちなみに、 5月中旬にThe Semiconductors in America Coalition (SIAC) という、米国内の半導体製造と利用する会社が連合をつくり、米議会に$500億の助成金をだすよう要請していた。米議会が可決したら、この連合に入っている企業はお金が流れるだろうけど、それ以外は「締め出しますよ」というメッセージのような気がしてならないです。
【2】バイデン政権
<G7について>
① 大規模な景気支援措置を継続し、刺激策を早まって巻き戻した過去の失敗を繰り返さないようにするとの意見で一致。
→G7すべての国の仕組みを知っているわけではないが、大統領がそう考えたからって、連邦予算を決めるのは米議会だし、州予算は各州の議会が決めることだからねぇ…
② 各国政府は年内に石炭火力発電への新規支援を終了
主要7カ国(G7)首脳は13日、G7首脳会議(サミット)の共同声明で、排出削減対策を講じない石炭利用について、脱石炭を加速させる技術や政策を迅速に強化すると表明した。各国政府は年内に石炭火力発電への新規支援を終了する。
https://jp.reuters.com/article/g7-summit-climate-coal-idJPKCN2DP0QY
これって、米国に限っては、エネルギー省の規則なり、大統領令で「新規支援は終了する」で可能だと思うんだけど、また訴訟になる気がするんだよなあ。
③ 中国への対抗
一致して立ち向かう部分もあるけど、中国との貿易で多大な恩恵をうけているドイツは「反中の取り組みとして作業部会を構成したくはないと記者団に語った」とあるので、足並み揃っていない感が否めない。
中国の高官は、日本よりも欧米の支配の仕方(Divide&Rule)をわかっていると思っていたが、この発言みると Divide&Ruleを理解していない気がする。
共同声明がまだ発表されていない段階で、中国はG7の協議を批判。西側諸国が言うところの「ルールに基づく国際秩序」を守るための計画は時代遅れだ
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-06-13/QUMSOTT0G1KW01?srnd=cojp-v2
④NATOは14日ね
北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は11日、記者会見し、ブリュッセルで14日に開く首脳会議について、防衛分野における最先端技術の開発や活用を促進するための「イノベーション(技術革新)基金」創設で合意するとの見通しを示した。人工知能(AI)などの軍事利用を加速させている中国やロシアに対抗する。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021061200339&g=int
【3】経済スケジュール
火曜の小売売上高と、木曜明け方のFOMC声明だね。