4/26-5/1 米議会・経済スケジュール

【1】米議会下院スケジュール

28(水)は上下院合同会議で、バイデン大統領の一般教書演説が実施される予定です。例年は、合同会議にゲストでいっぱいになるのだが、多くのホワイトハウススタッフはリモート参加になる予定。200名で行うらしく、米議員も上下院合同で555名になるはずだが、半分以上参加できないというのは異例ですね。(引用元:The Hill
また、先週は、相変わらず、下院議会はワシントン特別区を州にする法案(
Washington, D.C. Admission Act )とか上院議会で通過しなそうなものばかり取り組んでいた引用。

https://www.majorityleader.gov/calendar

【2】米議会上院スケジュール

粛々と、バイデン政権の高官承認(クローシャー含め)が続いています。
先週の目玉法案は、なんといっても、アジア系への憎悪犯罪対策法案であるCOVID-19 Hate Crimes Actが上院議会で通過したことでしょう。
米国でのアジア系って、太平洋諸島から東アジア、西アジアなどの中東まで含んでいるんだよね。下院議会にも  Asian Pacific American Caucus(アジア-太平洋系アメリカ人グループ)があるんだけど、いわゆる東アジア系の議員って10名もいない。確か東アジア系に絞ると、ユダヤ系アメリカ人と同じくらいの議員数だった気がする。ユダヤ系アメリカ人の数倍は人口がいるから、少なくとも政治力については弱いよなぁ。
”団結して、団体の代表をだして政治を動かす” って政治における基本中の基本なんだけど、東アジア系だけだとコーカス作れないんだな。

少し邪推をすると、シューマー上院院内総務がやたらとアジア系ヘイトをなくそうという集会に参加していて、やたらと支援しているのが目につく。NY州は他州に比べて東アジア系アメリカ人が多いのもあるので、選挙対策もあるのかもしれない。シューマー上院院内総務じたい、ユダヤ系アメリカ人で比較的貧しい層なのでマイノリティに対してのヘイトを嫌悪しているのはあるだろうけど、ちょっと肩をいれすぎな気がしている。

民主党議員は、自分たちの優先アジェンダが上院議会で審議にさえ入っていないのでイライラしているようです( ゚Д゚)
まあ、本質的な問題は、The Hillでも書かれているように、上院議員50名全員が賛成していない法案がけっこうあるということなんですよね。ワシントン特別区を1つの州にする法案だって、民主党上院議員は5名も賛成していないようですし。

尚、5/3~上院議会は休会に入ります。

【3】インフラ法案の行方

下院予算委員会のYarmuth委員長は、予算決議は7月に可決して、上下院可決は9月になるだろうと発言している(参照元:Roll Call) 。 財政調整プロセスの第一歩は、各委員会への予算配分を指示する予算決議をすることではじまる。要は、この予算決議が上下院で可決しないと財政調整プロセスに入れないのだ。
今のところ、それがオンスケジュールで動いているね。下院運輸委員会からは5月になんらかの法案がでてくるでしょう。

① 注目の民主党マンチン上院議員
従来のインフラ(橋、道路、ブロードバンド、上下水道)に焦点を当てて法案を可決するべきだと発言。民主党クリス・クーンズ議員と同様に $2.3兆法案を分割して進めるべきという発言もあったので、バイデン政権が思い描くようなインフラ法案可決は雲行きが怪しくなった。

“What we think the greatest need we have now, that can be done in a bipartisan way, is conventional infrastructure whether it’s the water, sewer, roads, bridges, Internet — things that we know need to be repaired, be fixed,” Manchin said.

https://thehill.com/homenews/administration/550033-manchin-floats-breaking-up-bidens-infrastructure-proposal

マンチン上院議員は、民主党単独で財政調整プロセスで進めることを非難しているから、上院の財政調整プロセス法案で反対票入れるんじゃないかという気さえする。 もしくは、賛成票いれる代わりに、何か大きな交渉をするかだ。後者の可能性が高いとみているが、 彼が一番実現したい経済政策はアパラチアストレージハブの建設なはず。どう出るか注目だな。

② 共和党からのインフラ法案提案
共和党は橋と道路を中心にしたインフラ法案を提出。 予算は$5680億で、内訳は、橋と道路$2990億 、ブロードバンドも$650億、公共交通機関$610億 、飲料水と廃水$350億(引用元:The Hill
バイデン政権が掲げる$2兆インフラ投資計画の一部がバード・ルールで通過しなかったとしても、共和党、少なくとも中道派の10名ていどはインフラ投資に$5680億も予算かけていいと考えているということだ。

③ バイデン政権の超党派交渉演出
バイデン政権は、超党派で会合をもってインフラ投資プランについて話しあう場を設けたり、政権メンバーのインフラ法案担当を議会に送って交渉させたりしているけど、あれすべて演出みたいね。
合意形成に向けて動いたということは示しておくけど、共和党の意向は聞かないよ~という感じで進めるようね。そうだろうなとは思っていたけどさ。だとすると、本気で超党派での合意を形成しようとしているマンチン上院議員やクリス・クーンズ上院議員の動きが重要になるだろうなあ。

【4】増税の行方

①キャピタルゲイン増税
先週は、ブルームバーグの匿名報道でキャピタルゲイン増税が話題になったが、米議会ではそんな話がまったく出ていない。そもそも、イエレン財務長官は、税制について発言しすぎだよね。
税制なんて米議会の特権で最たるものなのに、バイデン政権は口出しすぎだなぁという印象です。まあ、要望だすのはいいんですけど、詳細を決めるのは米議会ですよ。
下院議会でキャピタルゲイン増税が盛り込まれる法案がでてくるのは既定路線かなぁと思います。 まあ年収$100万の所得者に対して税率2倍にあげたところで、歳入が10年間で3500億$なんでね。
問題は、50-50の議席数なので財政調整プロセスをつかったとしても上院議会で可決するかです。やっぱりマンチン上院議員にかかっているわけです。

まだキャピタルゲイン増税について、ピンポイントで発言をしてはいないけど、過去の投票からヒントを探ると、100万$の所得者に対して30%増税までは許容範囲ではないでしょうか。 2012 年バフェット・ルール(100 万ドル以上の所得者に対して最低でも 30%の所得税を課す法案)で賛成票入れたことがあります。(参照元:マンチン議員公式HP

②SALT(州・地方税)の行方
州税・地方税(SALT)控除上限撤廃をめぐって民主党下院議員内で分裂している状況が続いている。撤廃を条項に盛り込まないと、インフラ投資プランに賛成しないと交換条件だす民主党議員までいるので合意形成が難しい局面にきている。 (引用元:The Hill
先週、 州税・地方税(SALT)控除上限撤廃 は、所得と富の格差を是正に反すると上院財政委員会で両党の見解が一致している。仮に控除上限撤廃を盛り込んだら、上院可決は難しそうだ(引用元:Roll Coll

【5】バイデン政権

①6月に英国で開催されるNATOにバイデン大統領が出席予定
トルコのエルドアン大統領ともこのタイミングで会談するのかな? (引用元:The Hill

②アルメニア人大虐殺の認定
バイデン政権は、制裁やる前に電話会談するのが常套手段なんですかね。ロシア制裁発表の直前にも電話会談していたよね。
で、アルメニア人大虐殺については、2019年末にも米議会がほぼ全会一致で非難決議しているわけですが、トランプ大統領は署名しなかったんじゃないかな。もしくは、署名したけど、公に非難はしなかったかな。米議会はずっとトルコ制裁をしたがっていたのに、トランプ政権はしてこなかったわけです。
WPにも書いているけど、オバマ政権だってジェノサイドがあったと認めながらも、大きく非難したり制裁はしてこなかった。
突然でてきた感はあるけど、米議会やワシントンにとっては、トルコは頭がいたいネタであったわけで、ここへきて一気にトルコ制裁とかが進む可能性があるかもしれませんね。バイデン大統領は、トルコがNATO離脱してもいいとも考えているようです。 (引用元:WP

【6】経済スケジュール

FOMC記者会見ですよね

米債入札は、4/26-27に集中しているね。