1/18-22 米議会・経済スケジュール/大統領就任式とオールブルーのスタート

1. 米議会スケジュール

現在、上院議会はプロフォーマセッションだったので休会みたいなものでした。19日から5つの委員会でバイデンが指名した人事の公聴会がやっとはじまります。今朝の速報で、21日に ピート・ブティジェッジの公聴会もはいりました。
そして、20日正午には大統領就任宣誓を議事堂で行われるのにあわせて上院議員も召集されます。法律で決まっているので、トランプ大統領の人気は20日正午までになり自動的に任期は終了となります。

ポイントは、ジョージア州決選投票の勝敗はついたのですが、投票結果の正式認証が完了していません。ジョージア州の選挙規定では1月22日までに終了することになっています。最新進捗では、あと159カウンティ中113カウンティが正式に承認されましたが、まだ全投票の30%ほど残っています。
これが終わらないと、正式に上院議員として認められないので議事堂内に入れませんし、上院議員としての宣誓もできません。したがってこのジョージア州投票結果の認証を終え、正式に上院議員宣誓をしたら民主党が多数党になります。
それまでは、まだ共和党が多数党として君臨します。
つまり、それまではオールブルーが実現しないということを留意する必要があります。

上院のスケジュールをみると、本会議は1月いっぱいは継続し、予定では2/14まで本会議が開催される見込みです。

◆来週に決まっていくことを整理

①  上院議会の運営方法

委員会委員長を半分ずつの議席にするなど権限共有協定締結を結ばなくてはいけない。1月19日以降に決まるとは言われているが…定かではない。

2001年の権限共有協定締結と同じようにするなら、委員会委員長の席が共和党と民主党で半々になるはずです。協定結ばないでシューマー院内総務が強硬にでるなら委員長議席はすべて民主党になるでしょう。ここ、非常に重要です。

②  バイデン政権閣僚の承認手続き

19日に5つの上院常任委員会で公聴会が開催されます。21日には1つ。多数党が現段階では共和党なのですが、スムーズに進むのか定かではありません。民主党は一刻も早く政権閣僚を承認したいはずですが、マコネル上院院内総務が1月22日まで多数党院内総務の予定なので本会議で承認するのかも定かではありません。公聴会を終えても、委員会採決、本会議採決とステップがまだまだあります。
前回も書いたが、WPによると1/8時点で、緊急時対応計画策定するなどして乗り切る予定だとのことだが、冷戦時代以降で国家安全保障チームの一部が配置されずに就任するのは初めてだそうだ。

2. 大統領令について再整理

トランプ大統領は就任当時に大統領令を乱発させたイメージが強いのですが、実は就任日から1/31までの大統領令・大統領覚書数としてはオバマ大統領の方がやや多いのです。

『トランプ大統領とアメリカ議会』著:中林美恵子

で、大統領令・大統領令覚書が発令されるたびに株価は動いちゃうかもしれないのですが、単なる行政命令ですからね。米議会を通さないので、法律的な拘束力はありません。どういうことかというと、④に書いた通り、既存の法律や憲法に抵触する大統領令がでたら差し止め請求をすることができるんですよね。トランプ大統領の大統領令は差し止めを数多くされたかと思います。

大統領は予算法案を提出できません。法案を提出できるのは連邦議員だけです。実際の法案作成は議員スタッフだけでなく、官僚やロビー団体が作成するということはよくあるそうですが、提出は議員を通さないとできません。FEMAという災害基金については大統領に裁量的権限が与えられていますが、500億ドルていどだった記憶があります。トランプ大統領は2020年9月~FEMAの予算440億ドルをつかった失業保険給付上乗せを数カ月実施しましたよね。そんな程度です。

大統領令の発令でいちいち株価は動くかもしれませんが、差し止め請求されて裁判に持ち込まれて違憲とされたなんて可能性もおおいにあるため、実現できないなんてことも頻発するでしょう。「小切手2000$配布せよ」なんて大統領令がでても、バイデン大統領自身はできませんからね。

3. バイデン政権が発表した経済政策についての備忘録

先ほど説明した通り、予算権限は議会にあります。
バイデン政権メンバーとしては、「 議会民主党スタッフに対し、共和党と協調し、政権最初の包括的経済対策案で財政調整措置を活用しない計画について説明した 」とあるので超党派で話し合って進めたい意向です(参照元:BBG
その割に、色んなところで「共和党と協力して経済対策をまとめていない」と指摘されているのが謎です。まぁ共和党議員巻き込まずに発表したんで相変わらず反発されています。

基本的に法案を可決するにはフィリバスター(動議妨害)を回避するために賛成票が60票必要なのですが、予算編成の範囲で財政調整措置法を用いて過半数で通過させることができます。ただし、歳入・歳出に関わり、義務的支出に該当するもので恒常的に発生するもので、バード・ルールに引っ掛からないって結構厳しいはずなんですよ。
(詳細は過去ブログを参照ください: 上院米議会が共和党50VS民主党50になって起こることの整理
WPもThe Hillも「民主党の補佐官は財政調整措置でもできるとしている」とあるんですが、BBGは 失業給付や最低賃金などの措置は「財政調整措置」として知られるプロセスを用いれば過半数で可決可能としている。AP通信は、州・地方自治体への支援、学校への支援、ワクチンなどの支援は裁量的支出に該当するだろうと書いている。どの記事も断定で書いていないから変わるんだろうなあ。
という前提なんで、自信ないのですが、一応書き留めておきます。

裁量的支出/義務的支出
小切手2000$配布 義務的支出
失業保険給付、9月まで400ドル上乗せ 義務的支出
州・地方自治体への支援金3500億ドル 裁量的支出
最低賃金の時給15ドルへの引き上げ 義務的支出
学校再開支援1300億ドル 裁量的支出
ワクチン・コロナ検査などに1600億ドル 裁量的支出
賃貸・小規模家主支援300億ドル 裁量的支出
保育サービス業者に250億ドル 不明
子育て税控除拡充 義務的支出

で、義務的支出と裁量的支出の分類がいまいちわからないなあと思っていたら、 アメリカ財政の権威者である 渡瀬 義男が書いた資料をみつけた!この分類はわかりやすい。これをみると、バイデン大統領の発表した経済対策は、ほとんど裁量的支出に該当するように思えるんだよなぁ。

https://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/keizai_prism/backnumber/h28pdf/201614903.pdf

フィリバスターを回避するのに必要な60票(民主党50票+共和党10票)も確保できないとみています。 1日経過して、メディアもそういう表現をするところが増えてきましたね。
だって、共和党(というかマコネル上院院内総務)はGA州上院選のために、5000億ドル→9000億ドルに経済対策を承認したようなものですからね。 選挙はひと段落しましたよね。 共和党議員の大多数がこんな大規模な予算を承認するとは私には思えませんよ。ミット・ロムニー議員とか5人くらいは賛同するだろうけど、共和党から10人ってなかなか難しいと思いますよ。 政策のうち、いくつかは失業率などをみながら必要に応じて承認する可能性はあると思いますが。

既にNRSC議長リック・スコット共和党上院議員、 115会期共和党院内幹事だったコーニン共和党上院議員、トゥーミー共和党議員は「浪費だ」などを述べて反対しています。ルビオ議員だけやたらとバイデン次期大統領に書面まで送って2000$小切手配布に賛同の意を示したようです。

ちなみに、財政調整プロセスについてですが、時間がかかるとやたらとメディアで指摘されていますが、典型的な流れでさえこんな感じです。もう最近は毎年9月末に間に合っていませんよね。バイデン次期大統領はハネムーン期間(就任後100日以内)で成果だしたいということを考えると、財政調整プロセスで進ませるのは難しいでしょう。

「トランプ大統領とアメリカ議会」 著:中林美恵子

4. 経済スケジュール

来週、NY証券取引所は休場だった!経済指標は21,22に集中しますね。