1/11-18 米議会・経済スケジュール/上院議会の再召集は19日正午予定

1.米議会スケジュール

下院議会は大統領弾劾投票に動いていますが、上院ではプロフォーマセッションしか入っていないので本会議の開催はない予定です。プロフォーマセッションなので、法案の決議や投票は行われません。 上院議員は1月19日正午に召集されています。バイデン大統領就任1日前(24時間前)ですね。

①19日正午まで、基本的に採決・決議は行われません。

上院がプロフォーマセッションと呼ばれる時短審議で法案を可決するには、先に全会一致の合意が必要となります。全会一致(全員が承認)には、ハードルがかなり高いので、まず無理と思っていいでしょう。

そうなると、 19日正午までのプロフォーマセッション中には、経済対策も弾劾裁判も進まないでしょう。
①小切手2000$配布などの経済対策の採決
②上院議会での大統領弾劾裁判

The Hillによると、上院で全会一致の承認がない限り、上院議会による弾劾裁判はトランプ大統領任期終了後(1/20以降)になります。
その時には、シューマー院内総務が多数党院内総務として上院議会の上程権限をもつようになります。なので、弾劾裁判じたいを進めることは容易でしょう。
しかし、問題は2/3の賛成が必要なので、上院議員が全員出席するならば、民主党全員50名+共和党17名の賛成が必要となります。ただ、 有罪判決に対する上院の投票は、投票して出席している人の3分の2が必要とのことなので、投票参加者が少なければ67票以下になるようです(参照元
マカウスキー共和党議員、トゥーミー共和党議員などは弾劾すべきだと前向きですし、共和党10名くらいの議員は弾劾承認に投票しそうですが、共和党から17名となるとやや難しいのではないのでしょうか。
共和党大統領候補として過去最大の7400万票も獲得した大統領として、たとえもう大統領選に出馬しない(できない)としても2022年中間選挙、2024年総選挙のキャンペーンの広告塔として利用価値があるとすれば任期終了後まで弾劾する必要はないと感じる議員も多いのではないでしょうか。

②現時点で上院議会の運営方法が決まっていない。

共和党と民主党が50議席ずつというのは、合衆国建国以来3回目の出来事で事例が少ないです。
2001年の事例にならい、委員会委員長を半分ずつの議席にするなど権限共有協定締結を結ぶことが濃厚とされていますが、未だそういう話は出てきていません。
ロイターの情報によると、 もし民主党が1月20日から強硬な態度をとりたいなら、こうした権限共有協定を締結する必要はないとのこと。民主党は50議席プラス副大統領の決裁票をてこに、自分たちの望み通りに上院を運営しようとすることも可能と。ただ、そんなことすれば上院議会は機能不全になるでしょう。
このあたりが決まってくれないと、法案の実現可能性とか全然わからない。早く決まってほしいが、19日以降に決定することになるかもしれない。

③ バイデン政権の閣僚メンバーが一人も承認されないまま大統領就任式を迎えることになる

バイデン政権は、政権閣僚メンバーの指名を11月から開始していた。しかし、上院議会では一つも承認されていない。WPによると1/8時点で、緊急時対応計画策定するなどして乗り切る予定だとのこと。
同じくWPによると、冷戦時代以降で国家安全保障チームの一部が配置されずに就任するのは初めてだそうだ。冷戦以降で大きな敵がいなくなったことはあるが、これは異常だなぁとも感じるし、既に米国の政情不安定に応じて暴れはじめてる中国、イラン、北朝鮮などが大きな何かを仕掛けてきてもおかしくないだろう。

President-elect Joe Biden’s incoming administration is in danger of not having a single Cabinet official confirmed on Inauguration Day, upsetting a tradition going back to the Cold War of ensuring the president enters office with at least part of his national security team in place.

https://www.washingtonpost.com/politics/biden-cabinet-confirmations/2021/01/07/a5e99198-4fbe-11eb-bda4-615aaefd0555_story.html

④ バイデン政権は、数兆ドル規模の包括経済対策基本方針を14日発表

ペロシ下院議長とシューマー院内総務ともバイデン大統領はすりあわせているようなので、10月に民主党が主導して下院議会で可決したThe Heros Act 2.0に近い内容になるのではないかと考えている。
あとは、税制改革がどこまで発表されるかが注目されるのではないだろうか。どうやら、 給与税を含めた社会保障給与税は財政調整プロセスに入れることができないようだが、どの税制をどう変更するか早く情報がでてほしい…

また、2000$小切手というのも、還元方法は色々あるわけで、 税制に含められるように年1回ではなく毎月還付することで実質的にばら撒くこともできるようなので、やり方はいろいろあるだろう。

あと、州・地方政府への財政援助は民主党がかねてから求めていたものだが、共和党内部にも一定数賛成者がいるので金額次第で意外に早く可決するのではないかと思っている。

2. 経済スケジュール

今週はそこまでたいした経済指標発表がないね。次回FOMCは1/26-27。