ジョージア州上院決選投票2020

連邦議会選挙では、11の州(アラバマ、アーカンソー、ジョージア、ルイジアナ、ミシシッピ、ノースカロライナ、オクラホマ、サウスカロライナ、サウスダコタ、テキサス、バーモント)では、過半数の票を得た候補者がいない場合は決選投票を行う。 それ以外の州では、過半数以下の票だったとしても 相対多数の得票で当選になる。(参考資料:早わかり「米国の選挙」

今年の連邦議会選挙ではジョージア州とルイジアナ州で決選投票が行われることになった。ルイジアナ州の下院議員については、11月に既に終了しているが、共和党員同士の決選投票であるため話題に上らなかった。
ジョージア州では、州議会や州の高官に関する決選投票は12月1日に行われて、すでに終了しているが、連邦議会については、翌年1/5(火)に実施予定だ。

GA州上院選、期日前投票の進捗

さて、GA州決選投票の対面期日前投票は12/14(月)から開始した。
現時点までの期日前投票の進捗をこちらから引用。

(12/15時点の期日前投票&郵便投票数) Total Votes: 482,792
Percent Turnout (of Registered Voters): 6.3%
(対面による期日前投票)Total In-Person Votes: 168,293
Percent In-Person Votes (of Registered Voters): 2.2%
(郵便投票)Total Accepted Ballots: 314,499
Return Rate (of Requested Ballots): 22.2%

有権者登録上の期日前投票&郵便投票数については、白人が5~6割を占める。
期日前投票については4割ほど黒人が投票しているのでやや多いが、人種構成比率から大きくはずれていないと思われる。

尚、2020年11月の総選挙では、投票数は400万票を超えて、有権者登録数に対しての投票率は74%に達した(引用元データ)。注目されているとはいえ、まだ有権者登録者数の6.3%という進捗ならたいしたことはない。

GA州上院選、直近の世論調査

直近の世論調査では、Five Thirty Eightでみると民主党候補者がリードしている。共和党寄りと揶揄されているTrafalgarの調査でさえ民主党リードの結果。

ただ、Trafalgar 調査結果資料をみると「Leaning」まで含めた結果で出しているため、それを除外するとローファー議員とパーデュ―議員の方が上回る。
ところが、この調査、そもそも一つ落とし穴がある。白人比率が6割なのだ。実際のジョージア州の人種構成は53%程度なので、共和党有利にでてもおかしくないが、民主党がリードしているという結果は受け止めたほうがよさそうだ。

引用元:https://www.thetrafalgargroup.org/news/ga-sen-1211/
引用元:https://www.thetrafalgargroup.org/news/ga-sen-1211/

民主党陣営は総力戦

元ジョージア州議会議員ステイシー・エイブラムス氏をはじめとした有権者登録活動が大きく貢献した。バイデンが勝利したのも、これのおかげであろう。ジョージア州内だけで80万人以上、有権者登録を実現させたのだからすごいことだ。特別選挙では、11/3から有権者登録締め切りの12/7までに18歳を迎える若者2.3万名を狙って、有権者登録(および民主党候補者への投票)を進めてきた。
しかし、この2.3万人の投票数をすべて民主党が獲得したとしても、11月総選挙の得票差である8万票には届かないのだ。
David Perdue (Republican) 2,462,739票
Jon Ossoff   (Democratic) 2,374,607 票
また、ジョージア特別選挙では、共和党候補者が2名いて票が分かれていたというのもある。仮に Doug Collins の票がすべて入るとすれば約50万票差がついているので民主党候補者のワーノックが勝利するのは難しいとも思える。
Raphael Warnock (Democratic) 1,617,070 32.9%
Kelly Loeffler (Republican) 1,273,284 25.9%
Doug Collins (Republican) 980,510 20.0%

バイデン次期大統領は、やっとジョージア州上院選応援にかけつけて演説して、ジョージア上院選への投票を促した。政策を通すなら、そりゃブルーウェーブにしておきたいだろう。

President-elect Joe Biden on Tuesday urged voters in Georgia to deliver him a Senate majority by casting their ballots for Democrats Jon Ossoff and Raphael Warnock in the state’s runoff elections.

引用元:The Hill

また、オバマ大統領もビデオメッセージで上院選に投票するよう民主党後者のバーチャルラリーで出演し、呼びかけた。元民主党大統領候補者のアンドリュー・ヤンなんか民主党候補者応援のためにジョージア州に11月初旬に引っ越して、ドアノック活動をして投票を促している。

共和党候補者はトランプ支持を継続

本日、マコネル上院院内総務がバイデン候補に大統領当選の祝意を表した一方で、ジョージア州上院選を控えたローファー上院議員は、トランプ大統領の支持を表明した。パーデュ―候補もまだバイデン勝利だと認めていない。この2人は、テキサス州の訴訟も支持したし、ジョージア州州務長官の辞任も求めた。
多くの共和党議員が、選挙人投票を終えてバイデン勝利を承認する中で、認めない姿勢を示しているのだ。トランプ大統領に絶大な人気があって、これを囲い込みたいからなのか、色々な憶測がよんでいるが、真意はわからない。
ただ、共和党上院がジョージア州上院選を控えて一致団結すべきなのに、バイデン当選承認をめぐって党が分裂してしまっている。

ペンス副大統領は12/11もジョージア州上院選の応援演説に駆け付けたが、17日も応援演説に来る予定だ。トランプ大統領は13日(日)のラリーに参加したが、不正選挙を訴え続けていた。厄介なのは、 トランプ擁護者弁護士のリン・ウッド等が、GA州上院選について「不正選挙だから投票には行くな」とか言い始めているのだ。これがどこまで選挙に影響を及ぼすかはわからないが、決してよい状況とはいえない。

GA州上院選、両党の資金調達

11月の上院選挙では、 ノースカロライナ州、メイン州、アイオワ州、サウスカロライナ州は民主党候補者が共和党の2~4倍も資金調達したのに負けた。トランプ大統領当選までは、資金調達が上回った方が大統領選を制していたが、すでにそのセオリーが当てはまらなくなってきている。とはいえ、資金調達状況はおさえておきたい。

ジョージア州決選投票では、共和党の方がリードしている。そもそもマコネル上院院内総務が関連するPACだけでも2020年で3.8億ドル資金を調達しているし、11月総選挙後も6000万ドルも手元に残っていた。また、GA州上院特別選挙では共和党候補者に対して、ブラックストーンのシュルツマンCEOやCitadel LLCのCEOがそれぞれ数千万ドル資金を支援提供している。
候補者のローファー議員の旦那は、インターコンチネンタル取引所のCEOだし、パーデュー議員だってビジネスマンでアフラックやGSから献金を受けている。この二人は共和党議員でもかなりの資産家なので、正直、資金調達に心配はなさそうなのだ。

一方で、民主党はオンライン小口献金に頼っている状況だ。それぞれ11月は毎日約300万ドル(多い時は1日500~600万ドル)を集めている(引用元:Politico)民主党候補者のオソフ候補者は、ドキュメンタリー作家だし、ワーノック候補は牧師だ。共和党候補者のような大口献金は見込めないだろうが、小口献金が集まってきているのは確かだ。シューマー院内総務が中心となったPACもそこまで資金調達できていないので、資金調達としては共和党よりは苦しそうだ。

ジョージア州上院選どうなるか

Trafalgarの最新世論調査や、共和党上院議員がバイデン勝利を認めない姿勢を貫き、トランプは不正選挙を訴えていることを加味すると、共和党議員2名とも勝利するのは厳しいのではなかろうか。

Trafalgarの最新世論調査がどうも引っ掛かるので、基本的には、両党1名ずつが勝利。なので、上院議会の多数党は共和党でねじれ議会が基本的な予測。
ただ、もしかしたら、2名とも民主党に奪われる可能性があるかもしれないということを考えておこうと思う。