米上院議会は、18日(水)から休会に入った。本来は23日(月)からサンクスギビングで休会予定だったが、一足先に休会となった。
全米コロナ感染拡大に伴い、米議員にもコロナ感染拡大している。共和党議員リック・スコットは、スタッフが陽性になったことで1週間隔離。また、87歳の上院仮議長チャック・グラスリー共和党議員がコロナ陽性になって自宅療養だ。今のところ容体は安定しているようだ。尚、共和党議員ばかり目立っているが、民主党議員も陽性になっているので「マスクを着用していないから」ということではなくなってきている。
米議会の中心話題は、2021年度予算案
現在の米議会の中心話題は、12/11でつなぎ予算が期限切れする2021年度予算案だ。19日(木)に、共和党の上下院トップであるマコネル上院多数党院内総務、マッカーシー下院院内総務、民主党からはペロシ下院議長、シューマー下院少数党院内総務が会合をもった。もちろん、協議内容は2021年度予算案について。Roll Callによると、既にマコネル上院院内総務とペロシ下院議長は歳出委員会での協議にまかせていて、上院歳出委員会委員長シェルビー上院議員と ニタ・ロウイ下院歳出委員会委員長の協議が続いているようです。合意は近いということなので、両党ともに調整できそうです。
さて、この段階になってきて米議会で一番の懸念事項はトランプ大統領が署名するかどうかです。どうやら、米議会(一部議員かも)は政府閉鎖もありえるというスタンスでみているようです。
その理由は、大きく3つありそうです。(The Hill参照)
1)現段階でコロナ追加対策予算が可決していない状況で追加要求する可能性
2)国防予算の大枠を定める国防権限法案に納得するか
3)国境の壁費用が20億ドルに納得するか
トランプ大統領は、 2018年12月~、国境の壁にこだわって34日間も閉鎖しましたね。なので、また頑なに拒む可能性があります。トランプ大統領は敗退確実になったところで、最後の置き土産として「政府閉鎖」をして去るかもしれませんね。 まさか政府機関を閉鎖させてクーデターを仕掛けるとかないよね…。
尚、今回は、両党ともつなぎ予算(継続予算決議)をする予定ではないが、継続予算決議であっても大統領署名は必要です。なので、続予算決議であろうと、あらたに作成した2021年度予算案であっても大統領署名がないと政府閉鎖になります。
2021年度予算案とコロナ追加対策予算は別モノ。
シューマー上院少数党院内総務が、コロナ追加対策予算について協議することで民主党と合意したと発言したので財政期待がでてましたね。ミスリードを意図的に誘導したように思えます。シューマー上院少数党院内総務は、ウォール街から 多額の献金もらってますが、まさかウォール街のために発言してませんよね!?Politicoの記者Jake Shermanがわかりやすく書いてくれています。
Lot of confusion about these comments from Schumer in NY
— Jake Sherman (@JakeSherman) November 19, 2020
The meeting is about appropriations, not Covid relief — according to sources involved.
Covid relief isn’t completely dead. But this is not that, per sources https://t.co/sHj95zOaMk
2021年度予算とコロナ追加予算は、基本的には別物です。ブルームバーグにもそう書いてあったので、ほっ。
ただ、一部の共和党議員は年度予算に、一部コロナ追加対策を入れることもありうるとしていますが、多くは一緒に考えていないようです。コロナ追加予算について共和党幹部と民主党幹部の間で話し合いが行われた形跡はないようですね。両者、予算規模を譲らないスタンスです。
The negotiations over how to fund the government are separate from stalled talks on a fifth coronavirus relief bill, though some Republicans have floated that they could be merged.
引用元:The Hill
Leaders on both sides disclosed this week that there had been no private conversations between congressional Democrats and McConnell about a fifth coronavirus relief bill even as cases climb across the country and some cities and states are reimposing restrictions to try to curb the spread.
上院議会の再開は11/30~だが、年内は残りわずかで共和党は1議席減少。
赤マークが米議会開会中ですが、残り少ない状況です。しかも12/11につなぎ予算が期限切れになりますからね。かなりギリギリだとみています。
11/30~は、アリゾナ州特別選挙の結果をふまえて、マーク・マクサリー上院議員(共和党)と差し替えでマーク・ケリー上院議員(民主党)がワシントン入りします。通常の総選挙での当選者は1/3~ワシントン入りしますが、アリゾナ州は故ジョン・マケイン上院議員がなくなったことの特別選挙だったこともあり、時期が異なっています。
これに伴い、11/30~年内の上院議席は
共和党 52議席 / 民主党 48議席(無所属2議席含む)となります。
ジョージア州再集計でバイデン勝利で共和党上院議員も慌てはじめた
ジョージア州で再集計が完了しても、バイデン勝利が変りませんでした。
さすがにこの状況には共和党上院議員も慌てはじめたようです。一方で、民主党は、上院選の敗因がつかめず暗中模索している状況です(参照元:The Hill)
バイデン大統領が勝利した州だからといって、上院選で勝利するとは限りません。上院選敗因の理由が、民主党上院幹部のあいだでつかめていないことは致命的です。一方で、共和党は議席を死守して手ごたえがあったのだから、総選挙と同様のメッセージでいくでしょう。それがジョージア州で効果があるかはわかりませんが。ジョージア州では黒人票32%というのは共和党にとっては非常に困難な状況だとは思います。
ジョージア州については以前も書いた通りですので、よければ参照ください。
2021年1月5日GA州上院選は両党とも1議席ずつになる可能性が高まってきてると考えています。来年1月の段階で 共和党 51議席/民主党&無所属 49議席になるように予測しています。
この議席数になると造反者を懸念しなくてはいけなくなりますね。
よく造反する議員は、ミット・ロムニー議員、スーザン・コリンズ議員、 リサ・マーカウスキ議員ですね。この3議員も、すべての案件について同じように造反を働くわけではありません。
例えば、ロムニー議員はモルモン教徒で中絶反対派ですが、コリンズ議員とマーカウスキ議員は中絶容認派です。このあたり、一概には一括りにできない議員なので、案件ごとに考えなくてはならないでしょう。
ちなみに、一番民主党になびきやすいスーザン・コリンズ議員については再選直後からバイデン大統領から勝利祝電だけでなく、少なくとも8名の民主党上院議員から電話をもらったようですね。すでにコリンズ議員の囲い込みははじまっています。
Shortly after her surprisingly strong reelection win, Susan Collins received a call from an old colleague: Joe Biden. It’s probably not the last time they’ll talk over the next four years.
引用元:Politico
(中略)
She says at least eight Democratic senators have come calling since she won. And the first call was at 7:30 a.m. after Election Day from aisle-crossing supporter Sen. Joe Manchin (D-W.Va.), who asked her: “What can we do next? How can we work together?”
ミット・ロムニー議員、スーザン・コリンズ議員、 リサ・マーカウスキ議員の中で常任委員会委員長に就任しているのは、資源・エネルギー委員会委員長の リサ・マーカウスキ議員だけです。次の会期では、ジョン・バラッソ議員になる予定なので外されるようです。
おそらくですが、本会議に来る前に、共和党の意にそぐわない法案を葬り去るために、共和党保守派の議員を常任委員会委員長に就任させるのではないでしょうか。なので、多数党をなんとか勝ち取り、常任委員会委員長にマコネル上院院内総務がコントロールできる委員長を就任させるのではないでしょうか。このあたり、非常に興味深いです。
あと、銀行委員会委員長は、財政保守派のパット・トゥーミー議員ですよ!これも驚きです。