現在、当選確定したものは共和党は48議席、民主党(無党派2議席含む)は48議席。アラスカ州、ノースカロライナ州の決着がついていないが、おそらく2議席とも共和党が勝利する見込み。ノースカロライナ州は郵便投票到着有効期間が11/12なのでそれを過ぎれば当確がでるはず。アラスカ州は11/18までかかるんですか…。
ジョージア州は未だ一部集計が済んでいないようだが、50%投票を超えないのでジョージア州上院選の規則に従って2021年1月5日に決選投票になりました。
厄介なことに、新たな会期(2021年1月4日)がはじまってからの決戦投票になります。民主党が2議席とることもありえるので、新たな会期が開始した時点でどちらが多数党になるかわからない状況となってしまいました。ただ、50%超えなかっただけで 共和党David Perdue議員の方がリードしていたし、 Kelly Loeffler現職共和党議員もDoug Collins共和党候補者と票が分かれたので Raphael Warnock 候補(黒人の牧師)にリードされていただけかとみています。
尚、候補者の得票率が50%超えないと決戦投票になる州はジョージア州とルイジアナ州のみですが、ルイジアナ州のどこかの地区が下院議員決戦投票12月5日となったようです。この投票のフローはジム・クロウ法の名残らしいですね。
民主党指導部はジョージア州上院選で勝利するつもりだが…
チャック・シューマー少数党院内総務の “Now we take Georgia, then we change the world,” が共和党上院議員の怒りをかなりかっている。ジョージア州は、共和党州であり、州知事、州議会上下院も共和党支配なのだ。
まぁ逆で考えれば「カリフォルニア州で勝利して、世界を変えるぞ~」と共和党のマコネル上院院内総務が発言したようなものだ。
しかも共和党のコロナ対策をあれだけ批判しておいて、ソーシャルディスタンスもとらずバカ騒ぎしているしねw まぁ色んな意味で批判されています。
“Now we take Georgia, then we change the world,” Chuck Schumer via @StatusCoup pic.twitter.com/JMtGPzgZUH
— Shane Goldmacher (@ShaneGoldmacher) November 7, 2020
ジョージア州の人種比率は約6割が白人で、今年の有権者登録では32.6%がアフリカ系アメリカ人です。アフリカ系アメリカ人はほとんど民主党でしょうが、白人票がどこまで入るかになります。
民主党はどういう戦略を考えているかというとヘルスケアの国民投票のように仕立てたいようですね。上院議会を共和党が多数党になっているような状況ではヘルスケア拡充はかなり厳しい。なので、上院2議席をジョージア州で勝利して50vs50にもっていき、副大統領(兼 上院議長)の1票で上院議会支配したいという意図でしょうね。民主党候補者であるオソフ氏も、コロナウイルスのパンデミックの中で、ヘルスケアに焦点を当てるキャンペーンを展開するようですね。
The stakes are high, and Democrats plan to partly frame the races as a referendum on health care. Without a Democratic majority in the Senate, Biden’s health care agenda would be severely limited to administrative action and bipartisan legislation which has become increasingly hard to pass in a gridlocked Washington.
引用元:The Hill
また、プロ・ライフ(中絶反対)グループもレフラー議員に献金すると表明して、またアイオワ州みたいにプロ・ライフとプロ・チョイスの代理戦争みたいな側面がでてきました。
On Thursday, for example, an anti-abortion group announced it would spend $4 million to back Perdue and GOP Sen. Kelly Loeffler, who is battling Democrat Raphael Warnock in a special election runoff.
引用元:Roll Call
とはいえ、民主党戦略家たちはジョージア州で2議席とるのは難しいと考えてるようです。まあそう思いますよ。
But Democratic aides and strategists concede it will be very difficult to win both races in a traditionally Republican state to make Schumer majority leader and give Democrats unified control of the White House and Congress.
引用元:The Hill
しかし、シューマー少数党上院院内総務の中では選挙は終わっていないのです。
ここがポイントです。彼の中では「選挙は終わっていない」のだから、年内の審議や議事内容についても「選挙は終わっていない」というスタンスで挑んでくるでしょう。これは、下院議席を減らしたペロシ下院議長も同じでしょう。上院で民主党が多数党になれば、彼女の責任追及もうやむやになる予感がしています。
ジョージア州決選投票前にコロナ追加経済対策予算を可決するのか疑問
最後、うやむやになりましたが、明らかに選挙目的でペロシ下院議長はホワイトハウスとの交渉を前進させなかったと私は考えています。また、その一方で、9月も10月も上院議会では共和党案の採決に向けた動議さえ否決されて審議に進みませんでした。
明らかに選挙対策のためです。バイデン大統領を誕生させたとしても上院では議席を伸ばせず、下院では議席を減らしたんだから両者のこの選挙戦略は失敗したってことです。
しかも民主党内部のブルードッグ連動など複数のコーカスから「このままだと支持基盤が弱い下院議員が議席を失うから、とにかくコロナ追加経済対策を進めたい」という意見が強くあって法案提出までいくつかしていたにも関わらずはねつけてこの結果です。
もっというと、シューマー下院院内総務に至っては2016年、2018年、2020年に上院の過半数を取り戻す3つのチャンスがあったのに失敗していますので大問題ですよ。ウォール街との付き合いがある彼は、上院選で各州に2~4倍の資金調達できたし、自らのPACでも資金投下したのに、結果が惨敗じゃないですか。
で、話を戻します。
シューマー少数党上院院内総務の中では選挙は終わっていないのです。 年内の審議や議事内容についても「選挙は終わっていない」というスタンスで挑んでくるでしょう。 つまり、9~10月と同様の交渉を仕掛けてくる可能性があります。
マコネル上院院内総務や重鎮のグラム議員は、コロナ追加対策予算の審議と、つなぎ予算となってて12/11に期限切れを迎える2021年度予算を年内に可決させたい意向を示しています。っていうか、共和党でコロナ追加対策予算を可決させたくないのはランド・ポール議員一人くらいで、あとは議員全員可決したいのですが、民主党が動議否決をしてくるから進まないのですよ。
政治理念や政治信条の問題なので、5000億ドルをこえるような予算規模にはならないでしょう。この金額だと20数名の上院議員が反対します。少なくともジョージア州決選投票が終わるまでは共和党は分裂を避けたいはずです。
となると、民主党が多数党ではなくなった段階が確定して、民主党がどう戦略を変えてくるかによって予算規模が変わるはず。
私には共和党が民主党案で妥協するとは思えません。3月の経緯を見てても、民主党が共和党案の意向に沿う以外はないと思います。微調整して多少は増額がありえるかもしれませんが1兆ドルは超えないでしょう。
問題は、こうやってコロナ追加経済対策の協議が長引いてるうちに、うっかり更にいい雇用統計がでてきて「もっと規模小さくていいんじゃない?」と共和党議員が考えてどんどん予算規模を収縮させていく気もします。
ある意味、時間との闘いになってくるでしょう。